人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
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N.スロニムスキー『クラシック名曲「酷評」事典』

2021-10-28 05:00:00 | 読書

本書の著者スロニムスキー(1894-1995)は、「プロフィール」
によれば、サンクトペテルブルク生まれのロシア系アメリカ人。
1923年アメリカに移住後、ボストンを中心に、音楽学者、事典
編纂者、作曲家、指揮者、ピアニストとして活躍。


スロニムスキーいわく、
 音楽批評家たちは、私生活ではたいていの人が温和なことこの上ない人物な
 のに、なぜこれほど罵倒の言葉を用いることが多い
のだろう?

 (本書は)ベートーヴェン時代以降の作曲家を攻撃したアンソロジーである。
 ・・・・・・この『「酷評」事典』では、偏見に満ち、
不当で、とげとげしく、先
 見の明を著しく欠いた判断の数々を取
り上げている。・・・・・・本書の心楽しき
 目的は、音楽は発展し続けている芸術であると示すこと、そして、音楽界の
 革新者に向けられた抗議は、どれも同じ心理的抵抗から生じたものであると
 示す
ことである。この心理的抵抗とは、『なじみなきものに対する拒否反応
 とでも呼べるだろう。




たしかに、音楽上の「革新」とは something new と言い換えられ
るのかもしれない。


例えば・・・・・・ 本書より

〇ベルリオーズ《幻想交響曲》
最終楽章は、不協和音だらけのうんざりするような大混乱、長々
と続く意味不明のたわごとである。


〇ブラームス《交響曲第1番》
単なる過剰さ、執拗なまでの反復に次ぐ反復があるように見受け
られる。まるで、自分の考えをきっぱり述べることができない、
あるいは自分自身で満足のいくようにさえ整理できない人のよう
だ--形式、調性、リズムが次々に変わり、平凡さが露骨に表れ
ているところも一、二カ所ある。


〇ブルックナー
このように腐りかけた対位法による不協和音から発せられる、鼻
腔を刺すような腐臭の前には、恐れをなしてたじろいでしまう。


〇プッチーニ《ラ・ボエーム》

愚かしくたわいない出来事や対話が、(中略)楽器という絵の具
を用いてまだらに塗りたくられているが、たいした理由や効果は
なく、せいぜい騒々しい興奮と混乱を生み出す程度だ。



そもそも「酷評」するにもそれなりの知識が必要である(笑)。

初版発行は2021年4月10日。



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