このところ、「戦前昭和史」からやや離れ、「日本の戦後史」を勉
強している。
大学の先生ともなると、一つのテーマで500冊は読むのではないか
と推測するが、当方は専門家ではないので、入手しやすい本をいく
つか読んでいる。今の高校生教科書レベルかもしれない。
その関連で、吉田茂『回想十年』を書棚から引っ張り出した。20年
ほど前に読んだものだ。
この本は既にブログでも取り上げたと思いきや、まだアップしてい
なかった。
吉田茂には、同じ中公文庫で、『日本を決定した百年』という本が
あるが、それよりおもしろい。
「序文」からしてユーモアある吉田茂らしくおもしろい。いわく、
由来、私は自叙伝や回顧録を書かぬかと勧められると、いつも思
うことは、これらの多くは、結局、自画自賛か、自家広告か、然
らずんば弁疏の類に過ぎない。第一そんなものが世を益したり、
後世史家の資料として、価値あるものとも思えぬ、だから自叙伝、
回顧録の類は書きたくないということである。またそう答えても
きた。
それに私は在外勤務中から日記をつけないと決めていた。どんな
ことで盗まれるとも限らず、落とさないともきまらない。・・・・・・
その後、この禁を破った経緯が長々とつづられている(笑)。
「第一章日本外交の歩んできた道」では、「底流は断然親英米」と
して、
・・・・・・満州事変から太平洋戦争に至る日本の対英米関係の狂いは、
歴史の大きな流れから見れば、日本の本然の姿ではなくて、ただ
一時の変調であったことを知るのである。
と書いている。
「第十八章 サンフランシスコ会議前後」--「無責任なる批評を
排す」
サンフランシスコ講和が「次の戦争を準備するものだ」などとい
ったソ連グロムイコ代表の公言は、たとえ嫌がらせの言辞にして
も、如何に荒唐無稽であったかは、その後の歴史的事実が厳然と
実証しているではないか。
(参考)
幣原喜重郎:1872-1951
吉田茂:1878-1967
鳩山一郎:1883-1959
三木武吉:1884-1956
石橋湛山:1884-1973
緒方竹虎:1888-1956
岸信介:1896-1987
吉田茂『回想十年』(中公文庫)★×5
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