人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
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伊藤栄樹『人は死ねばゴミになる』(小学館文庫)

2009-01-14 05:30:25 | 読書
元検事総長伊藤栄樹氏の、驚くほど冷静にして客観的なガン闘病記である。

氏は、検事として巨悪と戦い続けた。小物は相手にしない。刑事局長時代にはダグ
ラス・グラマン事件(ロッキード事件ではない。)の国会答弁で「初めに5億円あ
りき」と答えている。



人はガンになると、そのことには触れたがらないタイプと冷静に自己を見つめるタ
イプとあるようだが、氏はあきらかに後者のタイプだった。私の4歳年上の元上司
も昨年肺がんに倒れたが、後者のタイプだった。病状をあまりに客観的に説明され
るのでこちらが戸惑ったことも何回かあった。私もかくありたいと思った。

なお著者には『秋霜烈日』(朝日文庫)という自ら手がけた事件の回顧録がある
が、これも一読の価値がある。それはまさしく氏の絶筆となった。

(伊藤氏の略歴)
大正14年2月生まれ
昭和22年東京帝国大学卒業
昭和24年11月東京地検検事
昭和50年11月最高検検事
昭和58年12月東京高検検事長
昭和60年12月検事総長
(昭和62年7月ガン手術)
昭和63年3月検事総長退官
昭和63年5月永眠

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