人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
現在は、暇に飽かして、日々更新。

『田中角栄』--中公新書と講談社現代新書

2020-03-17 05:00:00 | 読書

このところ、新コロナウイルス騒ぎもあり、もっぱら近所で散歩、
買い物と本の整理などで平穏に暮らしている。
マスク、うがいと、とくに手洗いは欠かせない。

平成20年代に『田中角栄』と題する新書版が2冊発刊された。一つ
が早野透著(R24[2012])であり、もう一つが服部龍二著(R28
[2016])である。

早野本は元朝日新聞記者(政治部、編集委員等)が書いたものであ
り、服部本は中央大学教授がまとめた研究だ。

早野氏はかなり近くで田中角栄を見ている。
それらによって、今だから分かることもある。



早坂本「第Ⅳ章ロッキード事件の衝撃--刑事被告人へ」と服部本
「第6章誤算と油断--ロッキード事件」を読み比べると興味深い。


ロッキード事件が勃発したのは昭和51(1976)年2月であり、田中
角栄が逮捕されたのは同年7月27日だ。私はサラリーマン1年目の時
期だった。

一審の裁判では、「同年7月28日に5億円の授受を認めたことを自白
した」という、田中の秘書の榎本調書は信用できるとして、昭和58
(1983)年に田中角栄は懲役4年、5億円の追徴金という有罪判決を
受けた(即日控訴)。

服部本のp244「田中の油断」、p288「榎本三恵子の証言」(ハチの
一刺し)、p298「榎本の激白」はまことに生々しく、当時を思い出
させる。


順序が不同となるが、昭和47(1972)年の自民党総裁選は田中角栄
の金権選挙となった。「時事放談」に福田赳夫が呼ばれ、細川隆元
から「どうなんですか?え?」と水を向けられた福田が「今回の選
挙は桁違いですな」と言っていた記憶がある。


田中角栄が光っていたのは、(私をして言わせれば)何といっても
佐藤内閣の幹事長時代ではなかったかしらん。
田中は、昭和44(1969)年12月に、①沖縄の「核抜き本土並み」返
還、②過激的暴力的学生の反乱を鎮圧した「大学臨時立法」、③日
米安保の「自動延長」を争点とした選挙を取り仕切り、自民党を大
勝に導いた(自民288の大勝。社会は90の大敗)。
田中角栄は、当時、私が傾聴したNHK討論でもまことに説得力ある
議論を展開していたのではないかしらん(--私には選挙権はなか
ったが・・・・・・)。

早野本p211「早くベルを鳴らせ」には、「大学臨時立法」の採決を
ためらう重宗参院議長に向かって、
「おい、じいさん。なんでベルを鳴らさないんだ。早く鳴らせ」
とすごむ田中角栄の迫力が臨場感をもって記録されている。
(野党がとった牛歩戦術などは今でいうパフォーマンス?)。
「大学臨時立法」ができて、全国で燃え上がっていた大学紛争は潮
が引いていった。最後に残ったのは連合赤軍(昭和47[1972])だ
った?




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 山室信一『キメラ--満洲国... | トップ | 3/16 元気かい »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事