人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
現在は、暇に飽かして、日々更新。

福永陽一郎『私のレコード棚から』(音楽之友社)

2009-05-14 05:16:06 | 読書
福永陽一郎先生(どうしても「先生」を付けないと書けない。)は昭和元年生ま
れ。今も生きておられれば、83歳である。残念ながら平成2(1990)年に63歳で亡
くなられた。

私の学生時代、福永先生の最も近くにいたというわけではないが、私は気さくでニ
コニコとして、好き嫌いがハッキリした福永先生が好きだった。音楽評論の文章も
お上手だった。私の学生時代、無作法ながら一、二回、鵠沼の先生のお宅におじゃ
ましたことがあったが、先生の書斎の机上には「文章表現辞典」が置かれていたこ
とを思い出す。

ロリン・マゼールがクリーヴランドだったかとブラ1を演奏した時(新宿厚生年金
大ホールだったかしらん。)、クライマックスとならないフィナーレが終り、聴衆
がそれでも「盛大な」拍手をする中、1階の客席で背の高い人がさっと立ち上が
り、脱兎のごとく退場する人がいた。私はあわててその方向を見た。福永先生だっ
た。先生にとっては耳を覆いたくなる思いだったのであろう。当時、先生は55歳前
だった。


本書「世界の指揮者」編には、小澤征爾を含む17人の指揮者についての評論が掲載
されている。とくにカラヤンの分析、評論はその論理、結論、筆力とともに優れた
もので、絶対に真似はできない。




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