10月に入って初めての「近現代史」。今年8月15日付ブログ、田原
総一朗『日本の戦争』のところで、加藤陽子『それでも、日本人は
「戦争」を選んだ』について「未購入」として触れたが、10月に入
って本書を購入、読み進めている。
本書は、加藤陽子東大文学部教授が栄光学園の中高生を相手に日本
の近現代史--中でも日清戦争(*)、日露戦争、第一次世界大戦、
満州事変、日中戦争、太平洋戦争について行った授業をまとめたと
ころに特色がある。
表紙には「普通のよき日本人が、世界最高の頭脳たちが『もう戦争
しかない』と思ったのはなぜか?高校生に語る--日本近現代史の
最前線。」と書かれている。
(*)これらの戦争の中では、日清戦争が意外と分かりにくく、難
しい。自分なりのノートが必要である。
高校生対象とうたっているがレベルは相当に高い。
加藤先生のレベルが高いのはもちろんであるが、中高生のそれも大
変に高い。
ハッとするところに赤い線を引くとすると2ページに一箇所の割り
で真っ赤になってしまいそうだ。
「歴史とは現在と過去との対話である」とはE.H.カーの有名な言葉
であるが、本書を読むと歴史は暗記科目ではなく、ひたすら考える
学問であることに気づかされる。
加藤先生は、現在の立場から戦前のいい悪いを描くのではなく(-
-いいかえれば左右のイデオロギーを排して)、当時の人びと--
内閣、政治家、軍部、国民大衆等々がどのような状況でいかなる判
断をしたのか、そして各国の動きが日本にどのような影響を与えた
のかをさまざまな史料を駆使して掘り起こしている。
著者は、私より10歳若い世代。一次史料を整理し、実証主義的な研
究を行ってきた伊藤隆東大名誉教授の教え子である。
ちなみに加藤先生のご主人は予備校の歴史の先生のようだ。
田原総一朗『日本の戦争』もおもしろかったが、本書はさらに奥が
深い。
なお、まだブログで取り上げていないが、加藤陽子『満州事変から
日中戦争へ』(岩波新書、2007年)もおすすめである。
こういうものを読むと、岩波新書『昭和史』はいかにも「陳腐化」
したように感じる。
<追記>
本書p240
ケインズが著した『雇用・利子および貨幣の一般理論』について
・・・・・・「間宮陽介先生という京都大学の先生が岩波文庫から新し
い訳を出していますので、読んでみてください。決して易しい本
ではありませんが」
→この本は、経済学者が読んでも分かりにくかったもので、読む
べきではない。
分かりやすく整理したのはL.R.クラインの業績である。
加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』
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