勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

ヒトラー 最期の12日間 / Der Untergang

2019年06月15日 | 洋画(ドイツ系)
ヒトラーの最期を描いたものとして、しばしば言及されることがある作品ですが、まだ未見でした。Amazonプライム・ビデオであったので見てみました。

色々と調べると、“概ね”史実通りなのだそうです。ヒトラーはね、最後、パーキンソン病であったと言う話がありますが、そのことを示すように手が震えていたり、細かいところまで描かれています。また、ヒトラーは、子どもや女性には優しかったと伝わっていますが、この作品でも、そのように描かれています。

って言うか、もう最後の方は、総統地下壕の中は、もはや敗残兵の集まりですね。総統がすぐ近くにいるのに、酒盛りばかりしていて。エヴァ・ブラウンも、そこに参加していたりしていたりしてね。もう、なんだかな。本当に、ああいう感じだったんでしょうかね?

対比するわけじゃ無いですが、って言うか対比ですが、日本軍は、末端の部隊は判りませんが、日本の本土に残った司令部は、あんな感じじゃ無かったですよね?実際の映像が残っているわけでは無いので、本当のところを見る事は出来ませんが、少なくとも映画などで描かれているのは、そうでは無かった。意外な違いを見た気がします。

タイトル ヒトラー 最期の12日間 / 原題 Der Untergang

日本公開年 2005年
製作年/製作国 2004年/ドイツ
監督 オリバー・ヒルシュビーゲル
出演 ブルーノ・ガンツ(アドルフ・ヒトラー)、アレクサンドラ・マリア・ララ(トラウドゥル・ユンゲ/総統個人秘書)、ユリアーネ・ケーラー(エヴァ・ブラウン)、トーマス・クレッチマン(ヘルマン・フェーゲライン/親衛隊中将、エヴァの義弟)、ウルリッヒ・マテス(ヨーゼフ・ゲッペルス/ナチス宣伝相)、コリンナ・ハルフォーフ(マクダ・ゲッベルス/ゲッペルス夫人)、ハイノ・フェルヒ(アルベルト・シュペーア/軍需大臣、ベルリン建設総監)、クリスチャン・ベルケル(エルンスト=ギュンター・シェンク/親衛隊医官)、ウルリッヒ・ネーテン(ハインリヒ・ヒムラー/親衛隊全国指導者)、アンドレ・ヘンニッケ(ヴィルヘルム・モーンケ/親衛隊少将、ベルリン官庁街防衛司令官)、トーマス・リムピンゼル(ハインツ・リンゲ/親衛隊中佐、ヒトラーの侍従武官)、ゲッツ・オットー(オットー・ギュンシェ/親衛隊少佐、総統護衛部隊員、ヒトラーの個人副官)、ハインリヒ・シュミーダー(ローフス・ミッシュ/親衛隊曹長、総統護衛部隊員、電話交換手)、ディートリッヒ・ホリンダーボイマー(ローベルト・リッター・フォン・グライム/空軍元帥、空軍総司令官)、ディーター・マン(ヴィルヘルム・カイテル/陸軍元帥、国防軍最高司令部総長)、クリスチャン・レドル(アルフレート・ヨードル/陸軍上級大将、国防軍最高司令部作戦部長)、ロルフ・カニース(ハンス・クレープス/陸軍大将、陸軍参謀総長)、ユストゥス・フォン・ドホナーニ(ヴィルヘルム・ブルクドルフ/陸軍大将、国防軍最高司令部筆頭副官)、ミヒャエル・メンドル(ヘルムート・ヴァイトリング/陸軍大将、首都防衛司令官)、アンナ・タールバッハ(ハンナ・ライチュ/パイロット)、トーマス・ティーメ(マルティン・ボルマン/ナチス官房長)、ビルギット・ミニヒマイアー(ゲルダ・クリスティアン/総統個人秘書)

ちいさな独裁者 / Der Hauptmann

2019年02月09日 | 洋画(ドイツ系)
第二次大戦末期、実際に起きた出来事。

脱走兵が、偶然、ナチス将校の制服を手に入れたことから、その将校になりすます。命令する事が快感になり、ついに、彼は暴走し始める・・・。

いやぁ、こんな事があるんですね。大尉にしては若すぎるとか、思わなかったのかな?当時のドイツは、かなりの形式主義でもあるのですが、逆に言うと、形式が整っていれば、疑う事は無いと言う事か。それに、絶対的権力者が居たので、ある意味その絶対的権力者の威光も借りていたので、発覚しなかったと言う事なのでしょうね。

それにしても、徐々に権力の魔力に取りつかれ、暴走し始めるのは怖いですね。でも、アイヒマン実験、あるいは、スタンフォード監獄実験(この実験は、最近、やらせが疑われていますが)でも見られるように、人は権威・権力のある(ありそうな)人物には、どんな命令でも従ってしまう様ですから、戦時下、しかも負け戦と言う異常な状態では、簡単にこう言う状態に陥ってしまうかもしれませんね。

最後のエンドロールが見もの。実際の街中で、この作品の衣装を着て、街の人たちを取り調べるシーンがあるんですが、意外に、食って掛かる人はいないんですよねぇ。一種のユニフォーム効果なのかなぁ。

タイトル ちいさな独裁者 / 原題 Der Hauptmann

日本公開年 2019年
製作年/製作国 2017年/ドイツ・フランス・ポーランド
監督 ロベルト・シュベンケ
出演 マックス・フーバッヒャー(ヴィリー・ヘロルト)、ミラン・ペシェル(フライターク)、フレデリック・ラウ(キピンスキー)、ベルント・ヘルシャー(シュッテ/アシェンドルフ収容所突撃隊指揮官)、ワルデマー・コブス(ハンゼン)、アレクサンダー・フェーリング(ユンカー)、ブリッタ・ハンメルシュタイン(ゲルダ・シュッテ/アシェンドルフ収容所突撃隊指揮官の妻)、サッシャ・アレクサンダー・ゲアサク(シクナー)、ザムエル・フィンツィ(ロジャー)、ボルフラム・コッホ(シュナイダー)

未来を乗り換えた男 / Transit

2019年01月14日 | 洋画(ドイツ系)
第二次大戦時のナチスによるフランス占領の舞台を、現代に置き換えて描いた作品。

RAIDとか、現代フランスの警察特殊部隊が、“難民”狩りを行う描写は衝撃的。って言うか、実際に今での起きている事なのかな?ヨーロッパは、中東やアフリカからの難民が押し寄せる問題が起きていたので、有り得ることかもしれませんね。

ゲオルグや、その他の多くの人が逃げなければならない背景は、全く明らかにされません。でも、ナチスによる占領が進んでいるという事で、ユダヤ人迫害の為に逃げなければならないと言うのは明確なんですかね?

それと、時代を現代にした事により、中東やアフリカからの難民も存在し、問題をより一層複雑にしています。だれもかれも、逃げようとしますからね。

“フランス”“ナチス”と言う二つの言葉から連想されるには『レジスタンス』ですが、この作品では出てきません。いや、“反体制派”とか言う言葉で、ちょっとは触れているのかもしれませんが、明示的には出てきません。むしろ、パリからマルセイユにたどり着き、そこからメキシコまで逃げ延びようとするまでの日々を、おびえながら、悩みながら、待っているという日々が描かれています。でも、意外に、それでも物語になるんですね。

結末が、まさに戦争に悲劇ですね。実際にあり得るような事。それがまたリアルにも感じます。

タイトル 未来を乗り換えた男 / 原題 Transit

日本公開年 2019年
製作年/製作国 2018年/ドイツ・フランス
監督 クリスティアン・ペッツォルト
原作 アンナ・ゼーガース『トランジット』
出演 フランツ・ロゴフスキ(ゲオルク)、パウラ・ベーア(マリー)、ゴーデハート・ギーズ(リシャール)、バルバラ・アウア(犬を連れた女性)、マティアス・ブラント(バーテンダー、ナレーター)、セバスティアン・フールク(ポール)、アントワーヌ・オッペンハイム(ビネー)、アレックス・ブレンデミュール(メキシコ領事)、トリスタン・ピュッター(アメリカ領事)

ヒトラーを欺いた黄色い星 / Die Unsichtbaren

2018年07月29日 | 洋画(ドイツ系)
台風一過!と言う程クリアには晴れていませんが、台風の後の日曜日に行って見ました。

事実に基づく作品。

1943年6月19日、ナチスドイツの宣伝相ゲッペルスは「ベルリンからユダヤ人を一掃した」と宣言したが、実は生き残っていた約7000人ものユダヤ人の生きるための戦いを、4人の視点で描いたドキュメント作品。

ナチスに積極的に抵抗したレジスタンスの姿を描いた作品は、数多ありますが、息をひそめて生き延びようとしたユダヤ人を描いた作品は、数少ないのではないでしょうか?“アンネの日記”くらいしか思いつきません。ただ、“アンネの日記”の場合は、結局、アンネは捕まってしまう訳ですが、この作品に出ていた4人は、最後まで生き延びています。全体で生き延びたのは1500人ほどと言われているので、元々残っていたと言われる7000人に対しての生存率は21%ほどだったようです。それが高いのか、低いのかはわかりません。

興味深かったのは、ユダヤ人を守ろうとしたドイツ人も少なからずいた事。ユダヤ人を守ったドイツ人と言う事では、『シンドラーのリスト』のオスカー・シンドラーが有名ですが、それ以外にの街中の人にも、そう言う人が居たんですね。また、そういう人物の中の一人に、ドイツ軍将校が居たのも興味深かったです。

ナチスへの蜂起があるとか、どういうドラマティックな事はありませんが、逆にそういう静かな潜伏が、生き延びた彼らのおかれていた緊迫した状況をよく伝えています。

タイトル ヒトラーを欺いた黄色い星 / 原題 Die Unsichtbaren

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2017年/ドイツ
監督 クラウス・レーフレ
出演 マックス・マウフ(ツィオマ・シェーンハウス)、アリス・ドワイヤー(ハンニ・レヴィ)、ルビー・O・フィー(ルート・アルント)、アーロン・アルタラス(オイゲン・フリーデ)、ビクトリア・シュルツ(エレン・レヴィンスキー)、フロリアン・ルーカス(ヴェルナー・シャーフ)、アンドレアス・シュミット(ハンス・ヴィンカー)、ロベルト・フンガー=ビューラー(フランツ・カウフマン/会計検査院高官)、ルーカス・ライバー(ヨッヘン・アルント)、セルゲイ・モヤ(ルートヴィッヒ・リヒトヴィッツ)

女は二度決断する / Aus dem Nichts

2018年04月22日 | 洋画(ドイツ系)
第75回ゴールデングローブ賞外国語映画賞、第70回カンヌ国際映画祭主演女優賞(ダイアン・クルーガー)、第90回アカデミー賞外国語映画賞ドイツ代表、第23回クリティクス・チョイス・アワード外国語映画賞作品。

ドイツで発生した、ネオナチ・グループ「国家社会主義地下組織」(NSU)による実際の連続テロ事件に着想を得ている。実際の事件では、初動捜査の誤りから犯人逮捕が遅れ、10年以上にわたってテロが繰り返されてしまい、ドイツ警察戦後最大の失態とまで言われている。

いやぁ、それにしてもダイアン・クルーガー凄い。カンヌ国際映画祭で、主演女優賞を受賞しただけの事はありますね。テロで、大人と子供の犠牲者があると知らされた時の慟哭は、鬼気迫るものがありました。本当にすごい。

作品中の天候が、雨の事が多いと思いませんでしたか?ドイツでの突き抜ける青空と言うのは、あんまりイメージには無いですが、来る日も来る日も雨と言うのもねぇ。あれは、カティヤの心を描写した表現なんでしょうかね?その意味では、犯人が逮捕され、裁判に移ってからは、雨のシーンは無かったような気もします。

ところで、邦題が『女は二度決断する』なんですが、“最後の決断”が二度目だとして、一度目の決断はなんでしょうかね?一度目の決断が、はっきりとわからないことがちょっと気になりました。二度目はね、明確ですけどね。

タイトル 女は二度決断する / 原題 Aus dem Nichts

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2017年/ドイツ
監督 ファティ・アキン
出演 ダイアン・クルーガー(カティヤ・シェケルジ)、デニス・モシット(ダニーロ・ファーヴァ/弁護士、ヌーリの友人)、ヨハネス・クリシュ(ハーバーベック/被告側弁護士)、サミア・シャンクラン(ビルギット/カティヤの友人)、ヌーマン・アチャル(ヌーリ・シェケルジ/カティヤの夫)、ヘニング・ペカー(ゲリット・レーツ警部)、ウルリッヒ・トゥクール(ユルゲン・メラー/被告アンドレの父)、ラファエル・サンタナ(ロッコ・シェケルジ/カティヤの息子)、ハンナ・ヒルスドルフ(エダ・メラー/被告)、ウルリッヒ・ブラントホフ(アンドレ・メラー/被告)、ハルトムート・ロート(リヒター・グラボウ/裁判長)、ヤニス・エコノミデス(ニコラオス・マクリス/被告側の証人)、カリン・ノイハウザー(アンネマリー/カティヤの母)、ウーベ・ローデ(ミヒ/アンネマリーの恋人)、アイセル・イシジャン(ヒュリア)

5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生 / Mein Blind Date mit dem Leben

2018年02月12日 | 洋画(ドイツ系)
実話を下にした作品。視力の95%を失った青年が「五つ星ホテルで働きたい」と言う夢を実現しようと頑張る青年の姿を描いている。

サリヤの病気は、どういう病気なんでしょうね?先天性の病気と言う事ですが、なんとも悲しいですね。でも、何らかの障がいがある人に多いのが、他の能力がずば抜けていると言う事。サリヤも同様。驚異的な記憶力を発揮して、学校も無事に卒業し、夢の五つ星ホテルでの研修までたどり着きます。いやぁ、凄い。

サリヤを取り巻く人たちも、なんやかんやで、サリヤの障がいを知ると、サリヤをフォローしようとするいい人たち。でも、そのフォローの仕方が、なんとも素晴らしい。日本で、障がい者がいたら「かわいそう」とかいう感じになって、保護しようとか、保護するほどでも無くても過剰に助けようとして、結果として本人が“普通に”生きていく事を阻害したりしてしまう事が多い訳ですが、ドイツの人たちは成熟していますね。フォローはするが、過剰なフォローではなく、サリヤが困っているほんのちょっとしたところを協力しようという程度で、ましてや保護したりしようとはしない。なので、サリヤも“普通に”活躍できているんですね。ああいうのは、見習わないとな。

日本人にとってこの作品は、視覚障がい者が頑張っているという物語ではなく、障がい者の周囲の人たちを啓蒙すると言う内容なのでは無いですかね?障がいは有っても、“普通に”暮らしていける。そして、そのために周囲の人間たちが何ができるかと言う事のね。

タイトル 5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生 / 原題 Mein Blind Date mit dem Leben

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2017年/ドイツ
監督 マルク・ローテムント
原作 サリヤ・カハヴァッテ『MEIN BLIND DATE MIT DEM LEBEN AL’s Blinder unter Sehenden. Eine wahre Geschichte』
出演 コスティア・ウルマン(サリヤ(サリー))、ヤコブ・マッチェンツ(マックス)、アンナ・マリア・ミューエ(ラウラ)、ヨハン・フォン・ビューロー(クラインシュミット)、アレクサンダー・ヘルト(フライト)、ミヒャエル・A・グリム(ケーキ職人クルーン)、キダ・コードル・ラマダン(ハーミド)、ニラム・ファルーク(シーラ)、ジルバーナ・クラパッチュ(ダグマル)

ヒトラーへの285枚の葉書 / Alone in Berlin

2017年07月08日 | 洋画(ドイツ系)
ナチス政権下のベルリンに住む平凡な労働者のオットー&エリーゼ・ハンペル夫婦が、反ナチスのポストカードを作って抵抗したという事実を下にした作品。

ハンペル夫妻(劇中ではクヴァンゲル夫妻)の静かな抵抗が始まったのは、1940年。ナチス・ドイツの転落が始まるソ連侵攻作戦のバルバロッサ作戦前で、まだまだ、ドイツの強力さが目立っていた頃と言うのが非常に興味を引きます。そもそもの発端が、一人息子の戦死と言う衝撃的な出来事ではありますが、それで一転、権勢を誇っていた時の権力者への繋がるとはね。なんか、そう言う所も凄い気がします。

第二次大戦時の日本でも、「お国のため」と言って出征し、そのまま戦死してしまった子供がいる家族が数えきれないほど居たわけですが、時の政府に対する反感は(ほとんど)心の中に秘め、公然と反旗を翻したという事は無いと思います。国民性の違いと言えば、そうなのかもしれませんが、それにしても極端な気がしますね。

だからと言って、ハンペル夫妻(劇中ではクヴァンゲル夫妻)のやった事に反対な訳ではありません。むしろ逆。当時は、残念ながら、広く国民の中に広がるような運動には成らなかった様ですが、試みとしてはアリだったと思います。現代なら、SNSで拡散するという事になるんですかね?当時は広がりを止められたかもしれませんが、現代は・・・無理かもね。

ラストシーンが印象的。エッシャリヒ警部も、この捜査を通じて、思うところがあったんですね。

ドイツを舞台にした作品にもかかわらず、全編セリフが英語なのは気になりました。小道具の、書類や、この作品のテーマである葉書はドイツ語で書かれていたんですけどね。

タイトル ヒトラーへの285枚の葉書 / 原題 Alone in Berlin ( Jeder stirbt fur sich allein )

日本公開年 2017年
製作年/製作国 2016年/ドイツ・フランス・イギリス
監督 バンサン・ペレーズ
出演 エマ・トンプソン(アンナ・クヴァンゲル)、ブレンダン・グリーソン(オットー・クヴァンゲル)、ダニエル・ブリュール(エッシャリヒ警部)、ミカエル・パーシュブラント(プラール/親衛隊将校)、モニーク・ショーメット(ローゼンタール)、ヨアヒム・ビスマイヤー(フロム判事)、カトリン・ポリット(エヴァ・クルーゲ)、ラルス・ルドルフ(エノ・クルーゲ)

僕とカミンスキーの旅 / Ich und Kaminski

2017年05月05日 | 洋画(ドイツ系)
最近(私が見る映画では)よく見かけるダニエル・ブルームが主演と言う事なので、見に行ってみました。また、これも最近、似た名前のカンディンスキーと言う画家の絵を、目にしていた事も理由かな。ぶっちゃけ、その人と間違ったという説はあります(苦笑)

はじめのうちは、ゼバスティアンの愚図具合ばかりが強調されるような気がして、なかなか冗長に感じます。ですが、ゼバスティアンとカミンスキーの旅が始まると、今度は逆に、カミンスキーのマイペース具合と、それに振り回されるゼバスティアンの姿を見る事が出来て、一気に物語は進み始めます。まぁ、この作品は、そこから始まりと言っていいんじゃないですかね。なんか、結局のところ、ゼバスティアンの自分探しの旅になってしまった気もします。

出てくる登場人物が、これでもかと言うほど、老人ばかりで、且つ、なんともコミュニケーションが取りにくい老人たちなので、『実は、認知症でした』と言う設定も出てくるのかと思ったんですが、明示的なそういうシーンはありませんでした。でもなぁ、あまりにも、すれ違うコミュニケーションなんで、そう言う切り口が入る余地はあったのではないかと思います。でもm、あれか、芸術性とかの問題で、そう言う設定にはしなかったのかな。

ゼバスティアンの“恋人”の部屋が、日本のもので飾られていたので、日本人としては、そっちの設定が気になりました(笑)

タイトル 僕とカミンスキーの旅 / 原題 Ich und Kaminski

日本公開年 2017年
製作年/製作国 2015年/ドイツ・ベルギー
監督 ボルフガング・ベッカー
原作 ダニエル・ケールマン『僕とカミンスキー 盲目の老画家との奇妙な旅』
出演 ダニエル・ブリュール(ゼバスティアン・ツェルナー)、イェスパー・クリステンセン(マヌエル・カミンスキー)、アミラ・カサール(ミリアム・カミンスキー/マヌエルの娘)、ドニ・ラバン(カール・ルートヴィヒ/ゼバスティアンとマヌエルの旅の同道者)、ヨルディス・トリーベル(エルケ/ゼバスティアンの“恋人”)、ジェラルディン・チャップリン(テレーゼ・レッシング/マヌエルの恋の人)、ヤン・デクレイル(ホルム)、ジャック・エルラン(ドモニク・シルヴァ)、ルーシー・アロン(ヤーナ)、ビビアーネ・デ・ムンク(アンナ)、ヨーゼフ・ハーダー(電車の乗務員)、ブルーノ・カトマス(ゴーロ・モーザー)、シュテファン・クルト(ボゴヴィッチ)、アンネ・モーメベック(老婦人)、カール・マルコビクス(双子の作曲家)、ペーター・クルト(ホーホガルト)、ミラン・ペシェル(オイゲン・マンツ)

アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男 / Der Staat gegen Fritz Bauer

2017年01月07日 | 洋画(ドイツ系)
「ユダヤ人問題の最終的解決」に関与したアドルフ・アイヒマンを追う、西ドイツ・ヘッセン州の検事総長フリッツ・バウアーを描いた作品。

アイヒマンを巡る作品としては、アイヒマン確保後の裁判を描いた『アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち』がありますが、それはこの作品後の世界を描いたものになりますね。『アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち』では、ナチスの残党が暗躍する中、どの様に安全に、そして、確実にアイヒマンを裁くのかと言う事が問題になっていましたが、その前段階の捜査の時点でも、ナチス残党の妨害に苦しんていたんですね。

ナチス残党の妨害と言えば、同じ頃のドイツを描いた『顔のないヒトラーたち』がありますが、こちらでもフリッツ・バウアーの姿を見ることが出来ます。こちらの作品でのバウアーは、メインの登場人物ではなく、ドイツの暗い過去と向き合う若手検事たちを鼓舞するカリスマとして描かれていますが、話はつながりますね。

これら作品を見て、同じ第2次世界大戦の暗い過去を持つ日本とドイツの、いまの時代に置ける近隣諸国との関係性の違いに思いを馳せてみました。戦後、ドイツは、ナチス残党の妨害に遭いながらも自らの手で過去の精算を図った事がよくわかりましたが、果たして日本はどうでしょうか?日本が自らの手で過去の精算を図ったとは、聞きません。極東国際軍事裁判はありましたが、あれは、連合国の手によるものですからね。このあたりに、いまだに過去を蒸し返される一因があるのかも。もっとも、国内事情から目を背けさせるために、近隣諸国が日本を利用しているという側面の方が強いのかもしれませんが。それでも、ドイツの精算と日本の精算の違いを学んでおいても悪いことはないと思います。

さて、不思議なのは、バウアーの公序良俗に関する品行が反対勢力に把握されていたにも関わらず、文春砲よろしく使われなかったのは何故なんですかね?使おうとしていたのに時期を逸したのか、あるいは、使えないほどにバウアー人気があったのか?ちょっと気になるところではありました。

タイトル アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男 / 原題 Der Staat gegen Fritz Bauer

日本公開年 2017年
製作年/製作国 2015年/ドイツ
監督 ラース・クラウメ
出演 ブルクハルト・クラウスナー(フリッツ・バウアー/ヘッセン州検事総長)、ロナルト・ツェアフェルト(カール・アンガーマン/検事)、セバスチャン・ブロムベルグ(ウルリヒ・クライトラー/ヘッセン州上級検事)、イェルク・シュットアウフ(パウル・ゲプハルト/連邦刑事局係官)、リリト・シュタンゲンベルク(“ヴィクトリア”/“娼婦”)、ローラ・トンケ(シュット嬢/バウアーの秘書)、ゲッツ・シューベルト(ゲオルク=アウグスト・ツィン/ヘッセン州首相)、コルネリア・グレーシェル(シャルロッテ・アンガーマン/カールの妻)、ロバート・アトツォルン(シャルロッテの父)、マティアス・バイデンヘーファー(ツヴィ・アハロニ/モサド係官)、ルーディガー・クリンク(ハインツ・マーラー)、パウルス・マンカー(フリードリヒ・モルラッハ)、マイケル・シェンク(アドルフ・アイヒマン)、ティロ・ベルナー(イサル・ハルエル/モサド長官)、ダニー・レビ(チェイム・コーン)

帰ってきたヒトラー / Er ist wieder da

2016年06月18日 | 洋画(ドイツ系)
市中での撮影は、映画の撮影と言うことを隠して撮ったらしいので、その後映画として公開するときに了承を得られなかった人には、目隠しなどの加工がされています。

いや、でも、これが今のドイツの本音なんだろうね。それにしても、ヒトラーの格好で歩いていても、思ったよりも反発がないばかりか(一人、反発していた人は居たけど)、例のナチスポーズを取ったりしていて、ビックリしました。あの敬礼は、ドイツでは違法なはずなのに・・・。

翻って、我が日本の事に思いを馳せました。今の日本も、この映画で描かれたドイツの様に、過去を過剰に美化し、賛美する風潮を感じます。過去に学び、未来に生きる。そう言うことを、この映画から感じました。

いやぁ、それにしても、ドイツの本音。そうだろうなぁと思うところと、知りたくなかったと言う二つの思いがあります。

タイトル 帰ってきたヒトラー / 原題 Er ist wieder da

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2015年/ドイツ
監督 デビッド・ベンド
出演 オリバー・マスッチ(アドルフ・ヒトラー)、ファビアン・ブッシュ(ファビアン・ザバツキ/TV局契約局員)、クリストフ・マリア・ヘルプスト(クリストフ・ゼンゼンブリンク/TV局副局長)、カーチャ・リーマン(カーチャ・ベリーニ/TV局局長)、フランツィシカ・ウルフ(フランツィスカ・クレマイヤー/TV局事務員)、ラルス・ルドルフ(キオスクのオーナー)、トマス・ティーマ(ケルントナー/TV局社長)

[2016.6.18スマホから投稿。2016.6.19PCにて修正]