勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

いつだってやめられる 7人の危ない教授たち / Smetto quando voglio

2018年06月30日 | 洋画(イタリア系)
いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち』の前日譚。ここからすべてが始まります。

この話を見る前に『いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち』を見たので、“なんのこっちゃ?”と思わずにはいられませんでしたが(苦笑)、この作品を見て、やっと話がつながりました。うーん、結局のところ、ポスドク就職問題ですよね。ポスドクの就職は、いつの世にも重要な課題です。って言うか、いまの日本を映し出しているような気がしてなりません。

とはいえ、この作品は、この作品で完結と言う思いで作ったんじゃないでしょうか?そう思う程、次作の『いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち』との雰囲気の違いを感じずにはいられません。本作は、当たるか当たらないか判らないまま作られたので、次作の予告が、エンドロールにはありませんでした。ですが、この続編にあたる『いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち』では、完結編に相当する次作の予告編が、エンドロールにちりばめられていました。

めっちゃ、現代社会を風刺していて、上映中、時折映画館内で笑い声が起きていました。まぁ、笑う所だよね(笑)

タイトル いつだってやめられる 7人の危ない教授たち / 原題 Smetto quando voglio

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2014年/イタリア
監督 シドニー・シビリア
出演 エドアルド・レオ(ピエトロ・ズィンニ/神経生物学者)、バレリア・ソラリーノ(ジュリア/ピエトロの婚約者)、ステファノ・フレージ(アルベルト・ペトレッリ/計算化学者)、バレリオ・アプレア(マッティア・アルジェリ/解釈論的記号学者)、パオロ・カラブレージ(アルトゥーロ・フランティーニ/古典考古学者)、リベロ・デ・リエンゾ(バルトロメオ・ボネッリ/動学マクロ経済学者)、ロレンツォ・ラビア(ジョルジョ・シローニ/ラテン碑銘学者)、ピエトロ・セルモンティ(アンドレア・デ・サンクティス/文化人類学者)

オンリー・ザ・ブレイブ / Only the Brave

2018年06月24日 | 洋画(アメリカ系)
実話を下にした作品。アメリカ・アリゾナ州の、山火事に挑む精鋭の消防士たちの物語の映画化。

ネタバレありです。いやぁ、物語の衝撃に、ネタバレせずには書けません。

描かれている最後の山火事は、2013年6月28日アメリカ・アリゾナ州のヤーネルヒルで起きた山火事。原因は落雷と見られています。

実話を下にした作品ではありますが、結末を知らないで見に行きました。最後は、衝撃ですよ!

途中までは、力仕事をする男たちのバカ騒ぎもあり、トレイラーで見られる様な非常事態に陥っても、なんとかなるんだろうと思っていたんですよ。でも、その直後の衝撃。20名いたグラニット・マウンテン隊は、現場を離れていた1名を残して、19名が殉職すると言う事態に見舞われます。まぁね、トレイラーでも「退路を断たれた」とは言っていましたけどね・・・。作品を見る前にグラニット・マウンテン隊の活動期間が6年間だったという事が書いてあり、「なんで6年しか活動していないんだ?」とは思っていたんですよねぇ。隊が全滅して、再建は出来なかったか・・・。

いやぁ、本当に19人は英雄です。

ヤーネルヒルの山火事について書いたblogを見つけました。貼っておきます。
http://tank-accident.blogspot.com/2013/07/19.html

タイトル オンリー・ザ・ブレイブ / 原題 Only the Brave

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2017年/アメリカ
監督 ジョセフ・コジンスキー
出演 ジョシュ・ブローリン(エリック・マーシュ)、マイルズ・テラー(ブレンダン・マクドナウ)、ジェームズ・バッジ・デール(ジェシー・スティード)、ジェフ・ブリッジス(デュエイン・スタインブリンク/プレスコット市森林防災部)、テイラー・キッチュ(クリストファー・マッケンジー)、ジェニファー・コネリー(アマンダ・マーシュ)

万引き家族

2018年06月17日 | 邦画
第71回カンヌ国際映画祭でのパルム・ドール(最優秀賞)受賞作品。

なるほど。そう来るわけですか。なんか、朴訥としたリリー・フランキーの演技が光りますね。普段は何となく弱々しい印象を与えつつも、ある局面で冷徹さを見せられると、“ゾクッ”とした怖さを感じずにはいられません。

そこに、安藤サクラの見事な演技。演技をしているはずなのですが、あまりにも自然で、演技をしていると言う事を感じさせません。お見事。

こういう二人を相手にすると、若手では演技派だと思うのですが、松岡茉優の演技も色あせて見えてしまいますね。

その他にも、樹木希林、柄本明、池脇千鶴・・・。こういう人たちが脇を固めての城桧吏なんじゃ無いですかね?城がフィーチャーされていますが、そんな印象を受けました。

って言うか、私的には、城よりも佐々木みゆでは無いのか?とも思いましたが、違うのかな?

“家族”と言う言葉が一つのキーワードだったので、途中まで“家族”なんだな、と思っていたんですが、終盤にその認識が一変させられます。そういう持って行き方、そして、作品の終わり方が、他のパルムドール作品とも共通する感じで、本作品がパルムドールを受けたのもわかる感じがします。

タイトル 万引き家族

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2018年/日本
監督 是枝裕和
出演 リリー・フランキー(柴田治)、安藤サクラ(柴田信代)、松岡茉優(柴田亜紀)、池松壮亮(4番さん)、城桧吏(柴田祥太)、佐々木みゆ(ゆり)、緒形直人(柴田譲)、森口瑤子(柴田葉子) 山田裕貴(北条保)、片山萌美(北条希)、柄本明(川戸頼次)、高良健吾(前園巧)、池脇千鶴(宮部希衣)、樹木希林(柴田初枝)

羊と鋼の森

2018年06月10日 | 邦画
2016年の第13回本屋大賞を受賞した宮下奈都の同名小説『羊と鋼の森』の映画化作品。

原作も読んでいるんですが、映像にすると、こんなに抒情的になるんですね。って言うか、抒情的になったのは、脚本、監督の演出のためかもしれませんが。ピアノの音を聞いた直樹が森の中を彷徨って歩いたり、和音も水の中で浮かんでいたりと、ものすごく、抒情的な映像に感じました。

その悩み多き青年、直樹を山崎賢人が中々上手く演じています。うっかりすると、感受性が高く自然と話が出来る、危ない青年にも見えかねないですが(笑)本を読んだ印象では、直樹がここまでナイーブで、悩み多き青年だとは思いませんでした。

上白石萌音と上白石萌歌の実姉妹が、劇中でも姉妹役で出ています。原作では、姉妹は双子と言う設定でしたが、映画では特にその設定には触れられていません。見る人にお任せと言う事なんだと思いますが、実際には双子では無いですし、見た目も双子には見えないので、映画では普通の姉妹と言う事なんでしょうね。ピアノを演奏する引きのシーンがあります。引きの映像では、手元の吹き替えが効かないわけですが、それっぽく演奏していました。二人の実母がピアノの先生であるものの、萌音は小1までしかピアノ経験がなく、萌歌に至ってはピアノ経験がなかったらしいのですが、猛特訓して撮影に挑んだと言う事だそうです。

あと、作品中では、一つのエピソードでしかないのですが、直樹が初めて調律に行ったシーンも印象的ですね。位牌が二つ置いてあり、犬の首輪を青年が持っているのですが、それらには、いろんな幸せな思い出があると言う、中々印象的なシーン。特に、直樹が青年に尋ねることも無いのが、良かったと思います。あそこでね、青年に話を聞いて、気を遣うようなそぶりを見せたらダメですよね。

先に書いたように、思ったよりも抒情的な演出になっています。そういう演出が苦手な人にはお勧めしませんが、人の成長描いた映画としては、まぁまぁ、面白いと思います。

タイトル 羊と鋼の森

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2018年/日本
監督 橋本光二郎
原作 宮下奈都『羊と鋼の森』
出演 山崎賢人(外村直樹)、鈴木亮平(柳伸二/江藤楽器調律師)、上白石萌音(佐倉和音)、上白石萌歌(佐倉由仁)、堀内敬子(北川みずき/江藤楽器事務員)、仲里依紗(濱野絵里)、城田優(上条真人/Barのピアニスト)、森永悠希(南隆志/直樹が初めて単独で調律に行った家の青年)、佐野勇斗(外村雅樹/直樹の弟)、光石研(秋野匡史/江藤楽器調律師)、吉行和子(外村キヨ/直樹の祖母)、三浦友和(板鳥宗一郎/江藤楽器調律師)

家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。

2018年06月08日 | 邦画
2010年に、「Yahoo!知恵袋」に投稿された“お悩み”が元ネタ。

実話です。元ネタも、リアルタイムで知っているんですよねぇ。もう、そんなに昔の話ですか。確かにね、急に奥さんが死んだふりを始めると、驚きますよね(笑)

「妻が死んだふり」と言う所は事実だと思いますが、その他のところは脚本ですよね?でも、ぶっ飛んだことを仕掛けてくる“ちえ”の人となりが、わかるような話になっていて、中々ハートウォーミングです。

「月がきれいですね」・・・。そうか、そんな事だったんだな。そして、「死んでもいいわ」・・・。なるほど。知らんかった。後者は、都市伝説だと言う話もあるようですが、ロマンティックです。

世の中、パルムドールの話でいっぱいですが、こちらの作品も中々いいと思いますよ(笑)

タイトル 家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2018年/日本
監督 李闘士男
原作 K.Kajunsky
漫画原作 ichida
出演 榮倉奈々(加賀美ちえ)、安田顕(加賀美じゅん)、大谷亮平(佐野壮馬/じゅんの会社の後輩)、野々すみ花(佐野由美子/壮馬の妻)、浅野和之(蒲原/じゅんの上司)、品川徹(横山/ちえのパート先のクリーニング店店主)、螢雪次朗(進一/ちえの実父)