勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

Viva!公務員 / Quo vado?

2017年05月28日 | 洋画(イタリア系)
生活の安定を求めて公務員になった男性が、リストラの対象になったことから巻き起こる騒動を描いたコメディ。

いやぁ、良いですね(笑)。公務員たるもの、こうこなきゃ(笑)。ケッコは、左遷先のどこでも、強かに生き延びるすべを見つけ出してしまいます。

ちなみに、こちらが、ケッコが飛ばされた場所らしいです。

イタリアのみならず、北極まで行かされています。

結末も、最近は、オープンエンディングが流行って居たり、あるいは、ヨーロッパ映画は必ずしもハッピーエンディングでは無かったりするんですが、この作品は、まぁ、良いところに落ち着いたんじゃないでしょうか。

イタリア・コンテンポラリー映画祭で、観客賞を受賞。その他、イタリア・映画記者協会賞とナストロ・ダルジェント賞もでは最優秀プロデューサー賞を受賞するなど、いくつかの賞を受賞しています。

クスリと笑いたくて見に行ったのですが、目的は果たせたようです。

タイトル Viva!公務員 / 原題 Quo vado?

日本公開年 2017年
製作年/製作国 2016年/イタリア
監督 ジェンナーロ・ヌンツィアンテ
出演 ケッコ・ザローネ(ケッコ)、エレオノーラ・ジョバナルディ(バレリア)、ソニア・ベルガマスコ(シローニ女史)、マウリツィオ・ミケリ(ケッコの父ペッピーノ)、ルドビカ・モドゥーニョ(ケッコの母カテリーナ)、アントニーノ・ブルスケッタ(マーニョ大臣)、パオロ・ピエロボン(科学観測隊員)、アッズッラ・マルティーノ(ケッコの婚約者)、リノ・バンフィ(ビネット上院議員)

メッセージ / Arrival

2017年05月20日 | 洋画(アメリカ系)
ネタばれあり。

『宇宙船のモデルは、“ばかうけ”だった』と監督が(冗談で)衝撃の告白をした話題の作品。

うーん、この手の接近遭遇ものでは、地球外生命体から人類がインスパイアを受けてしまうという事を描く事が多いのですが、これもその例に漏れません。言語学者のルイーズが、地球外生命体の言語解析を通じて色々と影響を受けていきます。

最初、素直に時系列に沿った物語かと思ったんですが、実はそうでは無い?途中から、「あれ?なんか変?」と気が付きました。でも、どうなんでしょう?子を失った学者が、自らの仕事(研究)を通じて、生きることに意味を見出して再生していくと言う形も有りうるかと思うんですが、この作品の場合は、そうではありません。逆に、この自らのこの先の運命を知ってしまうと言う事に直面してしまうんですよね。それでも、その運命に立ち向かっていくと言うのは素晴らしいと思いますが。では、最初の出だしの時の、ルイーズの落ち込んだ雰囲気は、何なのでしょうね?

ハリウッド映画での中国の存在は、もう完全に定番ですね。ロシアでも、イギリスでもなく、中国。それだけ、チャイナマネーが無いと、ハリウッドも進まないと言う事なのかもしれませんが。

ジェレミー・レナーが、理論物理学者の役で出ています。肉体派では無いジェレミー・レナーは、珍しい気もします(笑)。

タイトル メッセージ / 原題 Arrival

日本公開年 2017年
製作年/製作国 2016年/アメリカ
監督 ドゥニ・ビルヌーブ
原作 テッド・チャン「あなたの人生の物語」
出演 エイミー・アダムス(ルイーズ・バンクス)、ジェレミー・レナー(イアン・ドネリー)、フォレスト・ウィテカー(ウェバー大佐)、マイケル・スタールバーグ(ハルパーンCIAエージェント)、マーク・オブライエン(マークス大尉)、ツィ・マー(シャン将軍)

マンチェスター・バイ・ザ・シー / Manchester by the Sea

2017年05月14日 | 洋画(アメリカ系)
2017年の第89回アカデミー賞では作品賞ほか6部門にノミネート。ケイシー・アフレックが、『ラ・ラ・ランド』のライアン・ゴスリングを抑えて主演男優賞を受賞。ロナーガン監督が、これも『ラ・ラ・ランド』のデミアン・チャゼル監督を抑えて、脚本賞を受賞。ただ、監督賞は、『ラ・ラ・ランド』のデミアン・チャゼル監督が受賞していて、痛み分けと言う感もある。

アメリカの、地方都市に生きる人々の姿を描いたと言って、良いんでしょうかね。リーは、マンチェスター・バイ・ザ・シーに来る前は、ボストンに住んでいたので、“地方都市”とは言い難いかもしれませんが、マンチェスター・バイ・ザ・シーは間違いなく地方都市です。

加えて言うと、抒情的とも感じます。非常に抑えたトーンで描かれているのは、リーの心情ともシンクロしているんでしょうか。リーは、このマンチェスター・バイ・ザ・シーで“想像を絶する”体験をしていて、心が凍ってしまったという感じですからね。結局、その心の凍結は最後まで解けなかった様ですが・・・。

そういう、抒情的で、非常に抑えたトーンの作品であることが、上映館が少ない事に影響しているのでしょうか?アカデミー主演男優賞と、脚本賞を受賞している作品なのに、上映している映画館が思ったよりも少ない印象です。人の心の痛みを描いた作品で、悪くは無いんですが、結末も必ずしもハッピーエンディングとは言えないので、こうなるのも仕方ないのかな。

主演ケイシー・アフレックの兄、ベン・アフレックの盟友であるマット・デイモンが、プロデューサーの一人に名を連ねている。当初の予定では、プロデュース・監督・主演をマット・デイモンが務める予定だったが、デイモンのスケジュールの都合で、監督はケネス・ロナーガンに、主演はケイシー・アフレックに引き継がれた。

タイトル マンチェスター・バイ・ザ・シー / 原題 Manchester by the Sea

日本公開年 2017年
製作年/製作国 2016年/アメリカ
監督 ケネス・ロナーガン
出演 ケイシー・アフレック(リー・チャンドラー)、ミシェル・ウィリアムズ(ランディ・チャンドラー/リーの元妻)、カイル・チャンドラー(ジョー・チャンドラー/リーの兄)、ルーカス・ヘッジズ(パトリック・チャンドラー/リーの甥、ジョーの息子)、カーラ・ヘイワード(シルヴィー・マッキャン)、C・J・ウィルソン(ジョージ)、グレッチェン・モル(エリーズ・チャンドラー)、マシュー・ブロデリック(ジェフリー)、アンナ・バリシニコフ(サンディ)、ジョシュ・ハミルトン(ウェス/ジョーの弁護士)、テイト・ドノバン(ホッケーコーチ)、スーザン・プルファー(イレーネ看護師)、ロバート・セラ(ミューラー医師)、トム・ケンプ(スタン・チャンドラー)

カフェ・ソサエティ / Cafe Society

2017年05月06日 | 洋画(アメリカ系)
ウディ・アレンによる、1930年代の社交界の人々によるロマンティック・コメディ。ウディ・アレン自身が、ナレーションを務めている。

タイトルの『カフェ・ソサエティ』とは、社交界の事。社交界を通じたラブコメな訳ですが、社交界は狭いという意味もあるんでしょうかね。まさかね、ヴォニーの恋人が、あの人とはね。いやぁ、ほんと、狭いです。

それと、ボビーがヴェロニカと親しくなるのは、やっぱりヴォニーの事があるからですかね。なんか、そう言う切ない感情って、あるかな。ヴェロニカは、確信は無いものの、何かの雰囲気には気づいていたようですけどね。

それにしても、クリステン・スチュワートとブレイク・ライブリーですか。贅沢すぎる(笑)。

ラストが、非常に思わせぶり。あれで終わりと考えることもできるし、あるいは、あれからも思いがつながり続けると解釈することもできる。視聴者に解釈を任せる、ニクイ演出でした。

タイトル カフェ・ソサエティ / 原題 Cafe Society

日本公開年 2017年
製作年/製作国 2016年/アメリカ
監督 ウディ・アレン
出演 ジェシー・アイゼンバーグ(ボビー)、クリステン・スチュワート(ヴォニー)、ブレイク・ライブリー(ヴェロニカ)、スティーブ・カレル(フィル・スターン/ボビーの叔父)、コリー・ストール(ベン/ボビーの兄)、パーカー・ポージー(ラッド)、ケン・ストット(マーティ)、ジーニー・バーリン(ローズ)、サリ・レニック(エヴリン)、スティーブン・クンケン(レナード)、アンナ・キャンプ(キャンディ/娼婦)、キャット・エドモンソン(レ・トロピックのシンガー)

僕とカミンスキーの旅 / Ich und Kaminski

2017年05月05日 | 洋画(ドイツ系)
最近(私が見る映画では)よく見かけるダニエル・ブルームが主演と言う事なので、見に行ってみました。また、これも最近、似た名前のカンディンスキーと言う画家の絵を、目にしていた事も理由かな。ぶっちゃけ、その人と間違ったという説はあります(苦笑)

はじめのうちは、ゼバスティアンの愚図具合ばかりが強調されるような気がして、なかなか冗長に感じます。ですが、ゼバスティアンとカミンスキーの旅が始まると、今度は逆に、カミンスキーのマイペース具合と、それに振り回されるゼバスティアンの姿を見る事が出来て、一気に物語は進み始めます。まぁ、この作品は、そこから始まりと言っていいんじゃないですかね。なんか、結局のところ、ゼバスティアンの自分探しの旅になってしまった気もします。

出てくる登場人物が、これでもかと言うほど、老人ばかりで、且つ、なんともコミュニケーションが取りにくい老人たちなので、『実は、認知症でした』と言う設定も出てくるのかと思ったんですが、明示的なそういうシーンはありませんでした。でもなぁ、あまりにも、すれ違うコミュニケーションなんで、そう言う切り口が入る余地はあったのではないかと思います。でもm、あれか、芸術性とかの問題で、そう言う設定にはしなかったのかな。

ゼバスティアンの“恋人”の部屋が、日本のもので飾られていたので、日本人としては、そっちの設定が気になりました(笑)

タイトル 僕とカミンスキーの旅 / 原題 Ich und Kaminski

日本公開年 2017年
製作年/製作国 2015年/ドイツ・ベルギー
監督 ボルフガング・ベッカー
原作 ダニエル・ケールマン『僕とカミンスキー 盲目の老画家との奇妙な旅』
出演 ダニエル・ブリュール(ゼバスティアン・ツェルナー)、イェスパー・クリステンセン(マヌエル・カミンスキー)、アミラ・カサール(ミリアム・カミンスキー/マヌエルの娘)、ドニ・ラバン(カール・ルートヴィヒ/ゼバスティアンとマヌエルの旅の同道者)、ヨルディス・トリーベル(エルケ/ゼバスティアンの“恋人”)、ジェラルディン・チャップリン(テレーゼ・レッシング/マヌエルの恋の人)、ヤン・デクレイル(ホルム)、ジャック・エルラン(ドモニク・シルヴァ)、ルーシー・アロン(ヤーナ)、ビビアーネ・デ・ムンク(アンナ)、ヨーゼフ・ハーダー(電車の乗務員)、ブルーノ・カトマス(ゴーロ・モーザー)、シュテファン・クルト(ボゴヴィッチ)、アンネ・モーメベック(老婦人)、カール・マルコビクス(双子の作曲家)、ペーター・クルト(ホーホガルト)、ミラン・ペシェル(オイゲン・マンツ)

人生タクシー / TAXI

2017年05月03日 | 洋画(その他)
イランのジャファル・パナヒ監督が、イランのタクシー乗客の様子から、テヘランで暮らす人々の人生模様を描いた作品。2015年の第65回ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞。

初めてのイラン映画!どんなものかと思ったんですが、監督が世界的にも評価の高いジャファル・パナヒ監督と言う事もあって、特に違和感も感じませんでした。もっとも、パナヒ監督は、反体制的な活動を理由に映画監督としての活動を禁じられているらしいんですけどね。本編が始まる前、延々と、そう言う内容のよくわからない映像が流れていたのは、パナヒ監督への敬意を表したものなのかな?正直、あの本編前の映像は、冗長で、耐え難かった。本編は良かったのにね。

編集されているので、どのくらいの時間、撮影していたのかわかりませんが、ぱっと見は一日の活動を編集したものっぽい様ですがが・・・。一日にしては、色んな出来事が起きすぎなんですよねぇ(笑)。最初に乗せた客が、実は強盗だったり、何人目かの客が、人目を憚る海賊版レンタルビデオ業者だったり、交通事故に遭った夫婦だったり・・・、色んな事が起きすぎです。イランの人々の生活を、本当に飾ることなく垣間見る事が出来た感じです。

結局この作品は、イランでは上映禁止だったそうです。正面から政府批判をした映像はありませんでしたが、市井の人の本音を国中にばらまきたくなかったと言う事なんでしょうね。

ちなみに原題は『TAXI』ですが、有名なリュック・ベッソン監督の同名の作品とは全く関係ありません。中身も、全然違います。邦題の『人生タクシー』と言うのは、悪くは無いのかも。

タイトル 人生タクシー / 原題 Taxi

日本公開年 2017年
製作年/製作国 2015年/イラン
監督 ジャファル・パナヒ
出演 ジャファル・パナヒ