勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

ヒトラーを欺いた黄色い星 / Die Unsichtbaren

2018年07月29日 | 洋画(ドイツ系)
台風一過!と言う程クリアには晴れていませんが、台風の後の日曜日に行って見ました。

事実に基づく作品。

1943年6月19日、ナチスドイツの宣伝相ゲッペルスは「ベルリンからユダヤ人を一掃した」と宣言したが、実は生き残っていた約7000人ものユダヤ人の生きるための戦いを、4人の視点で描いたドキュメント作品。

ナチスに積極的に抵抗したレジスタンスの姿を描いた作品は、数多ありますが、息をひそめて生き延びようとしたユダヤ人を描いた作品は、数少ないのではないでしょうか?“アンネの日記”くらいしか思いつきません。ただ、“アンネの日記”の場合は、結局、アンネは捕まってしまう訳ですが、この作品に出ていた4人は、最後まで生き延びています。全体で生き延びたのは1500人ほどと言われているので、元々残っていたと言われる7000人に対しての生存率は21%ほどだったようです。それが高いのか、低いのかはわかりません。

興味深かったのは、ユダヤ人を守ろうとしたドイツ人も少なからずいた事。ユダヤ人を守ったドイツ人と言う事では、『シンドラーのリスト』のオスカー・シンドラーが有名ですが、それ以外にの街中の人にも、そう言う人が居たんですね。また、そういう人物の中の一人に、ドイツ軍将校が居たのも興味深かったです。

ナチスへの蜂起があるとか、どういうドラマティックな事はありませんが、逆にそういう静かな潜伏が、生き延びた彼らのおかれていた緊迫した状況をよく伝えています。

タイトル ヒトラーを欺いた黄色い星 / 原題 Die Unsichtbaren

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2017年/ドイツ
監督 クラウス・レーフレ
出演 マックス・マウフ(ツィオマ・シェーンハウス)、アリス・ドワイヤー(ハンニ・レヴィ)、ルビー・O・フィー(ルート・アルント)、アーロン・アルタラス(オイゲン・フリーデ)、ビクトリア・シュルツ(エレン・レヴィンスキー)、フロリアン・ルーカス(ヴェルナー・シャーフ)、アンドレアス・シュミット(ハンス・ヴィンカー)、ロベルト・フンガー=ビューラー(フランツ・カウフマン/会計検査院高官)、ルーカス・ライバー(ヨッヘン・アルント)、セルゲイ・モヤ(ルートヴィッヒ・リヒトヴィッツ)

ウインド・リバー / Wind River

2018年07月28日 | 洋画(アメリカ系)
台風12号迫りくる中、行きましたよ(苦笑)。チケット買っちゃったんでね。

実話に基づいた作品。

若い先住民の女性の遺体が見つかり、FBI捜査官が捜査にやってくるが、その地域の闇が明らかになっていく。

どこまでが事実で、どこからが創作なのかわかりませんが、非常に重厚な物語です。“自由と平等の国”と言われれるアメリカですが、その“自由と平等”は白人間で存在するだけで、その他の民族には全く顧みられることは無いと言う事を如実に感じさせますね。特にアメリカの先住民族は、過去に絶滅政策を取られ、そして今は、狭い居留地に閉じ込められていると言う現実を感じずにはいられません。

そんな複雑な環境の元、自身も先住民族の妻を過去に持っていた野生生物局のハンターをジェレミー・レナーが演じています。彼自身は白人ですが、嘗て、先住民族を妻に持っていたと言う事と、彼自身の過去の経験で、今回の事件被害者の親族に心寄せる姿を見せています。今回、彼は、FBI捜査官のジェーンの協力要請で捜査に協力する事になっていますが、過去の自分の体験から、今回の犯人に対して静かで激しい怒りを覚えていて、ジェーンからの協力要請が無くても、たぶん彼一人でも、犯人を捜したのではないかと思います。

そして、そのFBI捜査官を演じるのがエリザベス・オルセン。いつ如何なるところに派遣されるのかわからないのがFBI捜査官なのでしょうが、まだ寒いワイオミングに来るのに、必要な装備品を持ってきていないと言う初歩的なミスを犯します。でも、その後、熱心に捜査に取り組む姿を見せて、居留地警察にも一定の信頼を得たみたいですね。

いやぁ、それにしても、この作品は、未だに残るアメリカの闇を見事に見せていますね。重いです。

タイトル ウインド・リバー / 原題 Wind River

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2017年/アメリカ
監督 テイラー・シェリダン
出演 ジェレミー・レナー(コリー・ランバート/野生生物局ハンター)、エリザベス・オルセン(ジェーン・バナー/FBI捜査官)、ジョン・バーンサル(マット・レイバーン/ナタリーの恋人)、ジル・バーミンガム(マーティン/ナタリーの父)、ケルシー・アスビル(ナタリー/殺されていた少女)、グレアム・グリーン(ベン/インディアン保留地警察長)、ジュリア・ジョーンズ(ウィルマ)、タントゥー・カーディナル(アリス・クロウハート)、トカラ・クリフォード(サム・リトルフィーザー)、マーティン・センスマイヤー(チップ)、オースティン・グラント(カール)、イアン・ボーエン(エヴァン)、ヒュー・ディロン(カーティス)、マシュー・デル・ネグロ(ディロン)、イアン・ボーエン(エヴァン)、ジェームズ・ジョーダン(ピート・マッケンズ)

セラヴィ! / Le sens de la fête

2018年07月20日 | 洋画(フランス系)
ネタバレアリ

お城を舞台にした豪華絢爛な結婚式で、そろいもそろってポンコツばかりのスタッフしかいない中、結婚式をプロデュースしたベテランウェディングプランナーが、どうやって切り抜けていくのかを描いたドタバタコメディ。

まず驚いたのが、オールナイトで結婚式が行われる事。フランスの結婚式が、オールナイトで行われるイメージは無かったので、ちょっとビックリ。って言うか、始まるのが、夜遅くからだからなぁ。ヨーロッパの人って、宵っ張りなんですね。

それと、国家憲兵が、アルバイトで?給仕をやる設定にもビックリ。日本ほど副業にはうるさく無いのかもしれませんが、それでもねぇ、国家憲兵が給仕なんてやるんですね?

新郎も一癖あるし、主人公のマックス自身もプライベートに問題を抱えていて、この手のコメディにありがちな設定にもなっています。

ところどころクスっと笑えて、中々面白いです。流石フランス映画と言う気分になります(笑)

タイトル セラヴィ! / 原題 Le sens de la fête

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2017年/フランス
監督 エリック・トレダノ、オリビエ・ナカシュ
出演 ジャン=ピエール・バクリ(マックス/ウェディングプランナー)、ジャン=ポール・ルーブ(ギイ/カメラマン)、ジル・ルルーシュ(ジェームス/バンドボーカル)、バンサン・マケーニュ(ジュリアン/マックスの義理の弟・スタッフ)、アイ・アイダラ(アデル/スタッフ)、スザンヌ・クレマン(ジョジアーヌ/スタッフ)、アルバン・イワノフ(サミー/臨時スタッフ)、バジャマン・ラベルヌ(ピエール/新郎)、ジュディット・シュムラ(エレナ/新婦)、エレーヌ・バンサン(新郎の母)

ジュラシック・ワールド 炎の王国 / Jurassic World: Fallen Kingdom

2018年07月16日 | 洋画(アメリカ系)
14年ぶりに制作された『ジュラシック・ワールド / Jurassic World』の続編。『ジュラシック・ワールド』のクリス・プラットとブライス・ダラス・ハワードが継続して出ています。って言うか、ブライス・ダラス・ハワードがロン・ハワードの娘だなんて、知らなかったよ。

都合5作目のシリーズですが、過去の作品にもきちんと敬意を払っていて、そこかしこに、過去の『ジュラシック・パーク』へのオマージュを感じます。って言うか、明示的に過去の『ジュラシック・パーク』計画への言及もありますが。

って言うか、このシリーズ、何度となく色んな人が危機に陥るのですが、結局のところ、その背景には人間の欲望が隠れていると言うのが共通点。ざっくりまとめると、欲を満たさんがする人のために、多くの人が犠牲になると言う、そういう話ですよね?どの作品も。「それを言っちゃぁお終いよ」と言うのかもしれませんが、結局、どれもそういう話なんだなと、今更思いました。

『ジュラシック・パーク』へのオマージュの流れで、イアン・マルコム博士こと、ジェフ・ゴールドブラムも出ているところに注目。本編で出てくると言うより、自らの過去の経験を踏まえ、“人類が持つ力”を人類自身が制御できなくなると言う警鐘を鳴らす役どころですが、それは、この映画だけの話では無いですよね。リアルに、そう言う警鐘では無いかと思わずにはいられませんでした。

タイトル ジュラシック・ワールド 炎の王国 / 原題 Jurassic World: Fallen Kingdom

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2018年/アメリカ
監督 J・A・バヨナ
出演 クリス・プラット(オーウェン・グレイディ)、ブライス・ダラス・ハワード(クレア・ディアリング)、レイフ・スポール(イーライ・ミルズ)、ジャスティス・スミス(フランクリン・ウェブ)、ダニエラ・ピネダ(ジア・ロドリゲス)、ジェームズ・クロムウェル(ベンジャミン・ロックウッド)、トビー・ジョーンズ(エヴァーソル)、テッド・レビン(ケン・ウィートリー)、ジェフ・ゴールドブラム(イアン・マルコム)、B・D・ウォン(ヘンリー・ウー)、ジェラルディン・チャップリン(アイリス)、イザベラ・サーモン(メイジー・ロックウッド)

アメリカン・アサシン / American Assassin

2018年07月01日 | 洋画(アメリカ系)
ビル・クリントンやジョージ・W・ブッシュといった歴代アメリカ大統領も読んだと言うベストセラー小説の映画化。

こう言ってしまうと陳腐ですが、“アメリカの新しいヒーロー誕生!”と言う感じですね。こういったエスピオナージテイストのアクションものと言えば、ジャック・ライアンシリーズや、ジェイソン・ボーンシリーズとかがありますが、アクションの激しさからいえばジェイソン・ボーンに近いテイスト。命令を一顧だにしないという点も、それに近いところがあります。そしてなんといっても、リアリティがありますね。特に核爆弾は、実際のものがどの程度になるのかと言う事を詳細に検討した大きさなのだそうです。あの程度の大きさで、あの程度の爆発力ですか。

ちょっと違和感があったのは、マイケル・キートンの役どころ。彼には“SEALs出身”の筋肉もりもりマッチョマンを感じさせるところがあんまりないんですけどねぇ。

他方、ディラン・オブライエンは、恋人を目の前で失った悲しさを漂わせる男を上手く演じています。それによって、人が変わってしまったと言う所もね。アクションも、中々上手いです。

興味深かったのは、デヴィッド・スーシェ。すいません、ポワロにしか見えません(嘘)

いやぁ、細かい事を言えば、色々と突っ込むところはありますが、全体としては、中々良いアクション作品だと思います。シリーズ化されるといいですね。

タイトル アメリカン・アサシン / 原題 American Assassin

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2017年/アメリカ
監督 マイケル・クエスタ
原作 ヴィンス・フリン 「ミッチ・ラップ」シリーズ『アメリカン・アサシン』
出演 ディラン・オブライエン(ミッチ・ラップ)、マイケル・キートン(スタン・ハーリー/CIA教官)、テイラー・キッチュ(ゴースト/テロリスト)、サナ・レイサン(アイリーン・ケネディ/CIA工作担当次官)、デヴィッド・スーシェ(スタンスフィールド/CIA高官)、シーバ・ネガー(アニカ/CIA現地要員)、ナビド・ネガーバン(ベへリーズ/イラン国防大臣)、スコット・アドキンス(ヴィクター)、ジョセフ・ロング(ロスタミ/イラン軍将軍)