勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

ブレス しあわせの呼吸 / Breathe

2018年09月21日 | 洋画(イギリス系)
「ブリジット・ジョーンズの日記」などの映画プロデューサーのジョナサン・カベンデュッシュの両親の実話を、「猿の惑星」シリーズなどの名優アンディ・サーキスの監督で映画化。

第二次世界大戦後の、つい半世紀ほど前の話なんですよね。それでも、物凄く昔の話の様な気がするのはなぜですかね?私は決して、重度障害者の権利を主張する者でも無いし、そう言う友愛精神も持っている訳ではありませんが、そういう人間の目から見ても、21世紀の今においても重度障害者の権利が十分に保護されているとは思いませんが、この物語で描かれた1950~1980年代は、かなり酷かったのには、改めて気づかされました。特に、ロビンが、障害者の権利を保護する団体の代表に誘われて1970年代にドイツに向かった時のシーンは、衝撃的!あれが本当だったら、酷いですね。見た目は清潔で、保護施設側にしてみれば効率的であるのかもしれませんが、人の扱いでは無いなと。ロビンは、そう言う時代を、妻の力を借りて、自分で切り開いてきた人なんですね。

この物語の根底に流れているのは『愛』。ロビンに対するダイアナの、無償で無限の『愛』ですね。二人とも健康であった期間よりも、ロビンが倒れてしまった後の期間の方が、遥かに長い訳ですが、むしろ、ロビンが倒れてしまった後の方が、ロビンとダイアナの絆は強まったような気もしました。

ラストは、ああいう終わり方で良かったのかな。ちょっと考えますね。ロビンとダイアナの二人が老々介護の結果共倒れしてしまうより、ダイアナがまだ元気でいるうちに結末を迎えたと言う意味では、良かったのかもしれませんね。

タイトル ブレス しあわせの呼吸 / 原題 Breathe

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2017年/イギリス
監督 アンディ・サーキス
出演 アンドリュー・ガーフィールド(ロビン・カヴェンディッシュ)、クレア・フォイ(ダイアナ)、トム・ホランダー(ブロッグス/デイビッド・ブラッカー)、スティーブン・マンガン(クレメント・エイトケン博士)、ディーン=チャールズ・チャップマン(ジョナサン(22歳))、ハリー・マーカス(ジョナサン(10代))、ペニー・ダウニー(ティド)、ヒュー・ボネヴィル(テディ・ホール)、デビッド・ウィルモット(パディ)、アミット・シャー(カーン医師)、ベン・ロイド=ヒューズ(ドン・マックイーン医師)、ジョナサン・ハイド(エントウィッスル医師)、エミリー・ビーバン(マーガレット看護婦)、シルベスター・グロート(エリック・ランドルフ博士)

ヒトラーと戦った22日間 / Sobibor

2018年09月09日 | 洋画(その他)
実話に基づく作品。ラインハルト作戦に則って作られた三大絶滅収容所の一つであるソビボル絶滅収容所で起きた、収容者による反乱・脱走を描いている。

インターネット上の巨大百科事典に寄れば、ソビボルでは、到着から数時間で「処理」に至ったとありますが、映画の中でも、そのような状況が描かれています。几帳面なドイツ人を信用しているユダヤ人もいたように描かれていて、それが逆に、ユダヤ人の運命の悲惨さをクローズアップさせていました。

ちなみに、映画ではそこまでは描かれていませんでしたが、エンドロールの流れている間の字幕で、収容所から脱走しても、多数の人が“地元住民”に殺されてしまった様です。ナチス政権下では、ユダヤ人を匿った側も処罰されるのですが、それでも、逃げても殺されてしまうと言うのは、悲しい運命ですね。

少し物語も入っています(?)が、それでも尚リアル。「え?これヤバいんじゃ無いの?」と言うシーンもあって、案の定、PG12でした。でも、これは、人間の残忍な歴史を教えると言う観点で、子供にも見て欲しいと思いました。

最後ですが、邦題がイマイチですねぇ。ナチスと言えば、確かにヒトラーですが、何でもかんでもタイトルに“ヒトラー”の文字を入れればよい訳ではありません。原題がSobiborですが、そちらの方が内容を適切に表していると思いました。

タイトル ヒトラーと戦った22日間 / 原題 Sobibor

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2018年/ロシア
監督 コンスタンチン・ハベンスキー
出演 コンスタンチン・ハベンスキー(アレクサンドル・ペチェルスキー/反乱のリーダー)、クリストファー・ランバート(カール・フレンツェル/親衛隊曹長)、フェリス・ヤンケリ(ルカ/収容者)、ダイニュス・カズラウスカス(レオ/反乱メンバー)、マリア・コジェーブニコワ(セルマ/収容者)、セルゲイ・ゴディン(アルカジイ・バイスパピル/反乱メンバー)、ロマーン・アゲエフ(ボリス・ツィブリスキー/反乱メンバー)、ゲラ・メスヒ(セミョン・ローゼンフェルド/反乱メンバー)、ミハリナ・オルシャンスカ(ハンナ/収容者)、イワン・ズロビン(シュロモ/収容者)、ファビアン・コチェンツキ(ハイム/収容者)、ウォルフガング・キャニー(グスタフ・ワーグナー/親衛隊曹長)、カツペル・オルシェフスキ(トマス/収容者)

判決、ふたつの希望 / The Insult

2018年09月03日 | 洋画(その他)
レバノンの首都ベイルートで起きた、パレスチナ人男性とレバノン人男性との間のトラブル。小さなトラブルだったが、互いに引くに引けない対決になってしまい、トラブルは裁判所へ。そして、その裁判は、国を揺るがす事態に発展する。

コンビニに行けば外国人が働いていて、居酒屋に行けば外国人が働いていて、ファストフードでも同じ・・・。日常生活で、日本人とは違う感性、違う文化を持つ人たちに接することが、以前よりも多くなってきていますが、それでも、この映画で描かれている様な、微妙な世界と言うのは、まだまだ日本人には縁遠い世界なのかもしれません。

それでも、日本人の人口減少が起きている今、移民政策もささやかれています。そうすれば、この映画で描かれている様な、異なる文化、異なる感性を持った人と、もっと普通に接する事になります、そしてそれは、日本人同士ではトラブルにならないことであったとしても、トラブルに発展してしまう可能性を示しています。

でもまぁ今の時代、日本人同士でも“あの人、何考えているんだろ?”と思う事も少なくないので、この映画で描かれている事は、実は自分の明日を描いているのかもしれませんね。

しかし、ネタバレになるのであまり詳しくは書きませんが、弁護士を選ぶときは、慎重に選ばないと、自分の望む事とは違う方向に話が進んでいきかねないですね。気を付けないと。

タイトル 判決、ふたつの希望 / 原題 The Insult

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2017年/レバノン・フランス
監督 ジアド・ドゥエイリ
出演 アデル・カラム(トニー・ハンナ)、カメル・エル・バシャ(ヤーセル・サラーメ)、リタ・ハーエク(シリーン・ハンナ/トニーの妻)、クリスティーン・シュウェイリー(マナール・サラーメ/ヤーセルの妻)、カミール・サラーメワ(ジュディー・ワハビー/トニーの弁護士)、ディアマンド・アブ・アブード(ナディーン・ワハビー/ヤーセルの弁護士)