勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 / Trumbo

2016年07月31日 | 洋画(アメリカ系)
第2次世界大戦終結後にアメリカで起きた赤狩りの対象となり、映画界から追放されてしまったダルトン・トランボの伝記映画。

いやぁ、あの『ローマの休日』にこう言う隠された逸話があるとは知りませんでした。脚本には、「あこの作品は、あの人っぽいよね」と言う癖が有るような気がするんですが、専門家ばかりのアカデミー会員は、見抜けなかったんですかね?あるいは、この時のアカデミー賞受賞は、陰ながらにトランボを応援していたアカデミー会員の影の努力の賜物なんでしょうか?

『ローマの休日』以外にも、大ヒット映画の脚本に関わっていたトランボは、一種の天才ですね。見た事はありませんが、『スパルタカス』とか『栄光への脱出』とか、いやぁ、すごい作品ばかり。

見ていて思ったのが、自由に考えていることを主張していくことの大切さと、それを守ることの難しさ。いまSNSでは、誤った正義感・自己の価値観の押し付けによる過剰なバッシングが多いですが、この当時の赤狩りもそれに類するというか・・・、時間軸的には逆ですね。いまの過剰なバッシング傾向は、当時の誤った赤狩りに通じるものがあると強く感じました。

ちょっと意外に感じたのが、ヘレン・ミレンが、正にbastardとでも言われるべき人間を演じていたところ。いやぁ、本当に悪くて嫌な奴でしたね(笑)。あんな役を演じられるのも、ヘレン・ミレンが一流の女優であるからなんでしょうが。

それにしても、途中までは「トランボの作品は最高だけど、トランボ本人は人間としては最低だ」と思っていたんですが、奥さんの“激怒”により改心した所も中々凄いと思います。そう言うところがないと、こう言うヒット作品ばかり書き続けられないんでしょうね。

タイトル トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 / 原題 Trumbo

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2015年/アメリカ
監督 ジェイ・ローチ
出演 ブライアン・クランストン(ダルトン・トランボ)、ダイアン・レイン(クレオ・トランボ/ダルトンの妻)、ヘレン・ミレン(ヘッダ・ホッパー/コラムニスト)、マイケル・スタールバーグ(エドワード・G・ロビンソン)、ルイス・C・K(アーレン・ハード)、エル・ファニング(ニコラ・トランボ/ダルトンの娘)、ジョン・グッドマン(フランク・キング)、アドウェール・アキノエ=アグバエ(バージル・ブルックス)、デビッド・ジェームズ・エリオット(ジョン・ウェイン)、アラン・テュディック(イアン・マクラレン・ハンター/『ローマの休日』の名目上の脚本家)、ジョン・ゲッツ(サム・ウッド)、ダン・バッケダール(ロイ・ブリュワー)、ロジャー・バート(バディ・ロス)、メーガン・ウルフ(ミッツィ・トランボ/ダルトンの娘)、ミッチェル・ザコクス(クリス・トランボ/ダルトンの息子)、ディーン・オゴーマン(カーク・ダグラス)、クリスチャン・ベルケル(オットー・ブレミンジャー/映画監督、『栄光への脱出』(1960年)でトランボを起用)

インデペンデンス・デイ リサージェンス(3D) / Independence Day: Resurgence

2016年07月10日 | 洋画(アメリカ系)
20年前の侵略は、今回の侵略のための序章だった・・・と言う設定。劇中では20年の時間が経過していますが、実際にも、20年の時間が経過しています。

前作で出ていた主要キャスト、トーマス・ホイットモア、デイビッド・レビンソン、オークン博士(死んでなかった!)、ジャスミン(20年前、スティーブンの恋人だった)等などは出てきますし、20年前当時大統領だったホイットモアを補佐したウィリアム・グレイ将軍を演じたロバート・ロッジアの姿も見えています。

ですが、ウィル・スミスが演じた前作の英雄スティーブン・ヒラーは出てきません。この20年の間に死んでしまった設定です。その代わりと言ってはなんですが、前作の時はまだ子供であったディランが“英雄の子”として活躍しています。“英雄の子”の称号は重いと思うんだけどね・・・。

一番の違いは、この作品に限りませんが、ハリウッド映画に中国の姿が色濃く反映されているところ。月面基地の司令官は中国人ですし、美人というだけで、ぶっちゃけ活躍度はイマイチのパイロットが出ています。中国の力が見えるのは、マット・デイモン主演の『オデッセイ』でもそうでした・・・。『オデッセイ』で中国が出てくるのは、原作でもそう言う設定であったという事もありますが、小説にせよ、映画にせよ、アメリカでさえも中国の存在感を無視できないという時代なんですね。

いやぁ、前作へのオマージューは良いんですが、単体の作品としては・・・。意外に前作が良かっただけに期待はずれ。前回倒した異星人の技術を使って、地球の技術も進化しているという設定も良いんですが、なんか、SFなのか、今の事なのかブレてしまって、興ざめしてしまいました。そう言う意味では、設定自体がイマイチ・・・。

それと、前作のホイットモア大統領の演説は感涙モノだったんですが、今回は、それに匹敵するようなセリフもなし。所々、なにやら檄を飛ばしたり、鼓舞したしするシーンは有るんですが、あのホイットモア大統領の演説には敵いませんね。

期待が大きかっただけに、残念でした。

タイトル インデペンデンス・デイ リサージェンス / 原題 Independence Day: Resurgence

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2016年/アメリカ
監督 ローランド・エメリッヒ
出演 リアム・ヘムズワース(ジェイク・モリソン)、ジェフ・ゴールドブラム(デイビッド・レヴィンソン)、ビル・プルマン(トーマス・ホイットモア/元大統領)、マイカ・モンロー(パトリシア・ホイットモア/トーマスの娘、ジェイクの恋人)、ジェシー・アッシャー(ディラン・ヒラー)、トラビス・トープ(チャーリー・ミラー)、ウィリアム・フィクトナー(アダムズ将軍)、シャルロット・ゲンズブール(キャサリン・マルソー)、ジャド・ハーシュ(ジュリアス・レヴィンソン)、ブレント・スピナー(ブラキッシュ・オークン博士)、セーラ・ウォード(ランフォード大統領)、アンジェラベイビー(レイン・ラオ)、ビビカ・A・フォックス(ジェスミン・ヒラー/ディランの母)、チン・ハン(ジャン司令官)

フラワーショウ! / Dare to Be Wild

2016年07月03日 | 洋画(その他)
実在の景観デザイナー、メアリー・レイノルズをモデルにした作品。100年以上の歴史を誇る、チェルシー・フラワーショーへの挑戦を描く。

イギリスのEU離脱の選択により、イギリスが連合王国では無くなってしまうことまで取り沙汰されていますが、アイルランドは、いち早く(?)連合王国から離脱したにもかかわらず、未だにイギリスの影響を受けているんだなぁと真っ先に思いました。色々あって独立を果たしたはずなのにね。一部では陸で国境を接しているし、曲がりなりにも同じ国だったこともあるんで、一足飛びには行かなということなんですかね。

それと、ケルトと言うのは、イギリスに置いても、神秘性や自然、郷愁を感じさせる言葉なんですね。それが故に、メアリーの思いがチェルシー・フラワーショーの審査員にも届いたし、結果としてメアリーが金メダルを取れたんだと思います。

マイナス的な印象を持ったのは、最後のあたり。金メダルを受賞した人物にも関わらず、レセプションへの出席を招待状がない事が理由に断られたのは、階級制度の姿をしたイギリスの差別を見るような気がしました。アメリカだったら、「(紙の)招待状がないけど金メダルを取ったことが招待状だね」とか言ってレセプションに入れてくれそうな感じですけどね。

アイルランドの社会とイギリスの社会、アイルランドとイギリスの関わりを垣間見た気がします。

タイトル フラワーショウ! / 原題 Dare to Be Wild

日本公開年 2016年
製作年/製作国 2015年/アイルランド
監督 ビビアン・デ・コルシィ
出演 エマ・グリーンウェル(メアリー・レイノルズ)、トム・ヒューズ(クリスティ・コラード)、クリスティン・マルツァーノ(シャーロット・“シャー”・ハーベイ)