勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

裏切りのサーカス / Tinker Tailor Soldier Spy

2012年04月22日 | 洋画(イギリス系)
昨日見た『Black & White/ブラック&ホワイト』もスパイモノですが、今日の『裏切りのサーカス』もスパイモノ。ですがテイストは全く違っていて、『Black & White/ブラック&ホワイト』はお馬鹿ムービーですが、『裏切りのサーカス』は重厚なエスピオナージになっています。それもそのはず、原作がスパイ小説の大家ジョン・ル・カレ。そりゃぁ、重厚な内容にもなりますよね。

ただ、その重厚さが話を分かり難くしている事もあります。二重スパイを炙り出す物語と言えば、二重三重に物語が絡みあい分かり難くなるものですが、これもその例外ではありません。ただ、二重三重に物語が絡みあうところで、一体誰が信用できるのかが分からなくと言う要素が多くの場合はあるんですが、この作品の場合、誰を信用すれば良いのか?と言う価値観の所は、あまりどんでん返しになったりはしませんでしたね。その意味では、あまりにも淡々と物語が進んでいってしまうのでドキドキ感が足りないかな。

“もぐら”の正体が判明し、スマイリーが、その“もぐら”から、女と男宛てに手紙を預かるんですが、やっぱりその手紙に最後のシーンを依頼する内容が書かれていたんですかね?今はどうか知りませんが、イギリスのエスタブリッシュメント層では、アラン・チューリングみたいに少なからず同性愛者が居たりしますからねぇ。

さて、イギリスMI6の長官が“C”と称されるのは有名な話ですが、この物語中では“C”は“Control”と呼ばれていましたね。実際のところは“C”が何を意味するかについて諸説あるんですが、一般的には初代長官の名前から来ているという事なんですけどね。“C”をフォネティックコードで読んでいるんだとしたら、普通は”Charlie”で、“Control”にはなりません。どういう事なんですかね?

ところで、この物語って実際の事件が下敷きになっているようですが、その実際の事件ってやっぱりキム・フィルビーにまつわる、ケンブリッジ・ファイブの話なんですかね?

タイトル 裏切りのサーカス / 原題 Tinker Tailor Soldier Spy
日本公開年 2012年
製作年/製作国 2011年/イギリス=フランス=ドイツ
監督 トーマス・アルフレッドソン
原作 ジョン・ル・カレ
出演 ゲイリー・オールドマン(ジョージ・スマイリー)、コリン・ファース(ビル・ヘイドン)、トム・ハーディ(リッキー・ター)、マーク・ストロング(ジム・プリドー)、キーラン・ハインズ(ロイ・ブランド)、トビー・ジョーンズ(パーシー・アレリン)、ジョン・ハート(コントロール)、ベネディクト・カンバーバッチ(ピーター・ギラム)、デヴィッド・デンシック(トビー・エスタハース)、スティーヴン・グレアム(ジェリー・ウェスタービー)、キャシー・バーク(コニー・サックス)、スヴェトラーナ・コドチェンコワ(イリーナ)、サイモン・マクバーニー(オリバー・レイコン/外務次官)

[2012/04/22]鑑賞・投稿

Black & White/ブラック&ホワイト / This Means War

2012年04月21日 | 洋画(アメリカ系)
二人のスパイが、一人の女性を奪い合う。ラブコメ?ラブアクション?

CIAエージェント同士が、女性を巡って対決するわけですが、その際、CIAの各種リソースを使いまくる。設定としては、非常に面白いですね。しかもその女性自身も、奥手で、昔の彼氏に裏切られたために、男性に臆病な女性と言う設定。中々面白いです。ただ、CIAって、アメリカの国内法の規定で、アメリカ国内で活動しちゃいけないんですけどねぇ。アメリカ国内での、スパイ活動って言うか、防諜活動はFBIの役目なんですよねぇ。さすがに、FBIで物語を描くわけには行かなかったと言う事かな。それと、そもそも、CIAと言う設定の方が、何かと面白そうと言う事もあるかもしれませんけどね。

劇中のセリフで、「(タックは)イギリス人なの」と残念な雰囲気で言うシーンがあったんですが、これって、どういう意味なんですかね?イギリス人男性って、何か残念なんでしょうか?

はっきり言って、お馬鹿ムービーな訳で、頭を空っぽにして、楽しむのが正しい鑑賞の仕方だと思います。

タイトル Black & White/ブラック&ホワイト / 原題 This Means War
日本公開年 2012年
製作年/製作国 2012年/アメリカ
監督 マックG
出演 リース・ウィザースプーン(ローレン・スコット)、クリス・パイン(FDR)、トム・ハーディー(タック)、ティル・シュヴァイガー(カール・ハインリッヒ)、チェルシー・ハンドラー(トリッシュ)、(アンジェラ・バセット/コリンズ・FDRとタックの上司)

[2012/04/21]鑑賞・投稿

バトルシップ / Battleship

2012年04月15日 | 洋画(アメリカ系)
2012年、突如、地球外から未確認物体が襲来し、地球に多大な被害を与える。その地球外からの落下物は、数年前から行われていた国際ビーコンプロジェクトに関連した物と考えられた。たまたまハワイ沖で行われていたRIMPAC海域にも地球外生命体の物と見られる未確認物体が落下していたので、USSジョン・ポール・ジョーンズ、USSサンプソン、護衛艦みょうこうの3艦は調査に派遣されるが・・・。

突っ込みどころ満載です。何がって・・・、ねぇ。26歳で海軍に入隊したかと思うと、気がついたら駆逐艦のTAOになっているって、どういう事(笑)? それに護衛艦艦長クラスの上級幹部(ナガタの事)は、普通あまり対抗戦(今回はサッカー)に主力選手として出場したりしないし、まして、他国の士官と喧嘩したりもしない。下級水兵かよ。

それに、地球外生命体の方も、通信その他のすべてを遮断するバリアを形成する程の科学力が有りながらも、武器は普通の砲撃?それに逆に、地球側の普通の砲撃にやられるし。バリアは?

地球全体の危機の雰囲気がありながらも、実際の危機にひんしているのは、もしかしてハワイだけ?香港は落下物で被害は出ているけど、他の国は?

突っ込むのはその位にして、今までのアメリカ映画との違いも散見されます。まず、冒頭のサッカーシーン。その後の伏線のために必要なのかもしれませんが、アメリカが負けるとはねぇ。って言うか、その相手が日本。この作品は、ナガタを演じる浅野忠信が準主役級で出ていて、これも従来から考えるとかなり異例だと思います。イギリスとか、オーストラリアとか英語圏の国なら解るんですが。

それより何より、地球外生命体から攻撃を受けるストーリーのアメリカ映画は、これまでも数多ありますが、それらでは『インデペンデンス・デイ』に代表されるように、地球全体の危機であるにもかかわらず、アメリカばかりが戦っていたり、あるいはアメリカが他国と協調する様なシーンは描かれた事は殆ど皆無でしたが(『インデペンデンス・デイ』では、弱点をモールスで世界各国に伝えましたが攻撃は各国個別)、この作品は前述のように自衛隊員のナガタが大活躍するんですよねぇ。半分指揮を取っているのではと思うほど。元々この作品は、2010年に撮影されていたので実際にはそうでは無いはずなんですが、3.11のトモダチ作戦からの絆を感じさせられました。

と、B級テイスト満載なんですが、不思議と駄作だとは感じません。何で?

タイトル バトルシップ / 原題 Battleship
日本公開年 2012年
製作年/製作国 2012年/アメリカ
監督 ピーター・バーグ
出演 テイラー・キッチュ(アレックス・ホッパー/USSジョン・ポール・ジョーンズTAO)、アレクサンダー・スカルスガルド(ストーン・ホッパー/アレックスの兄・USSサンプソン艦長)、ブルックリン・デッカー(サマンサ・シェーン/アレックスの恋人)、リアーナ(コーラ・レイクス)、浅野忠信(ナガタ・ユウジ/海上自衛隊護衛艦みょうこう艦長)、リーアム・ニーソン(シェーン提督/サマンサの父)、ジョン・ツイ(ウォルター・"ビースト"・リンチ/USSジョン・ポール・ジョーンズ乗組員)、ジェシー・プレモンズ(ジミー・"オーディ"・オード/USSジョン・ポール・ジョーンズ乗組員)、グレゴリー・D・ガトソン(ミック・キャナルズ/サマンサの患者・アメリカ陸軍退役中佐)、ハミッシュ・リンクレイター(キャル・ザパタ/国際ビーコンプロジェクトの科学者)、ピーター・マクニコル(国防長官)

[2012/04/15]鑑賞・投稿

アーティスト / The Artist

2012年04月14日 | 洋画(フランス系)
2012年の第84回アカデミー賞で作品賞、監督賞(ミシェル・アザナヴィシウス)、主演男優賞(ジャン・デュジャルダン)、作曲賞、衣装デザイン賞を受賞。映画がサイレントからトーキーに移り変わる頃を舞台に没落するサイレント時代のスター俳優と、トーキーの隆盛とともにスターダムに登る女優を描いている。サイレント映画としては、83年ぶりの作品賞受賞であることと、フランス映画が史上初の作品賞受賞ということも話題。

サイレント映画って、どうなんだろう?飽きるのかな?と思っていましたが、誤解でした。セリフがない(と言うか、セリフはあるけど聞こえない)ので、よりいっそう演じる俳優・女優たちのその表情や動きが際立ち(=と言う事は、より一層の演技力が必要と言う事ですが)、普通のトーキーよりも、より一層映像自身に集中してしまいました。ジョージを演じるジャン・デュジャルダンの表情が、何とも言えません。良い!人気の頂点から転げ落ちるスター俳優の悲哀が何とも言えません。

上述のように、基本的にセリフはなく、俳優の表情や仕草でその場面を表現しています。付け加えると、この作品では、背景の看板などの文字でその状態を示したりしていて、非常に理解が助かります。あと、犬のアギーもいい仕事しています。助演賞を贈っても良いんじゃないですかね(笑)。

今年・・・と言うか、近年でもかなり上位に位置する映画です。この作品は、テレビとか、DVDではなく、映画館で見るべきですね。コメディーであり、時々ホロリと涙する映画です。

タイトル アーティスト / 原題 The Artist
日本公開年 2012年
製作年/製作国 2011年/フランス
監督 ミシェル・アザナヴィシウス
出演 ジャン・デュジャルダン(ジョージ・ヴァレンティン)、ベレニス・ベジョ(ペピー・ミラー)、ジョン・グッドマン(アル・ジマー)、ジェームズ・クロムウェル(クリフトン)、アギー(ジョージの愛犬)

[2012/04/14]鑑賞・投稿