勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

のだめカンタービレ 最終楽章 後編

2010年04月18日 | 邦画
大人気漫画「のだめカンタービレ」の完結編。2009年年末に『のだめカンタービレ 最終楽章 前編』として、千秋がルー・マルレ・オーケストラに常任指揮者として就任するあたりまでが語られましたが、今回は、完結編としてそれ以降の千秋とのだめの物語が描かれます。

完結編と言うことで、ここまでの回想シーンが所々挿入されます。あまり回想シーンが多いと邪魔になりますが、過去の記憶を呼び起こす程度なので、効果的に回想シーンが挿入されていると言って良いと思います。また、全体としては、大急ぎで物語が進行していく割には、話の破綻が少ないと思いました。ただ今回は、今までにも増して、CGを使ったのだめの妄想シーンが多かった気がするのは、気のせい? まぁ、元々が漫画で、原作のシーンをなるべく忠実に表現しようとするとあのようなCGシーンになるんだと思うんですが、賛否両論ですね。

ちょっと良く判らなかったのが、清良=水川あさみのバイオリン演奏シーン。彼女の表情と、演奏のワンショットのように見えるんですが、本当に彼女が演奏しているんでしょうか? ソン・ルイ=山田優やのだめや千秋のピアノ演奏は、表情と手元が別々で、明らかに演奏が吹き替えなんですが・・・。もし上手い下手は別にして、本当に水川あさみ自身が演奏していたとすると、結構凄いですね。

さて今回、テルミン奏者のヤドヴィが出ています。彼女の声の吹き替えは、主演の上野樹里の親友である蒼井優が演じているんですが、本当は、このヤドヴィ自身も、外人のカツラをつけた蒼井優が演じるという構想もあったそうです。なだぎ武ならまだしも、蒼井優までがカツラで・・・と言う話があったかどうかは知りませんが、最終的には声の吹き替えと言う事で落ち着いたそうです。

最後ですが、まぁ、一応ハッピーエンドになっていますが、本当に物語が完結したと言う感じではないですね。あの終わり方は確かに一旦終了はしていますが、続編も製作可能なエンディングですね。まぁ、原作も同時に終了はしているので、直ぐに続編ということはないかもしれませんが、この手のモノは、原作が無くても映画側では勝手に物語が進んだりもする事があるんで、今後の動きに要注意かもしれません。

実は昨日、同じく漫画を原作とする映画『ダーリンは外国人』を見ました。漫画を原作とすると言う一点では、この映画と『ダーリンは外国人』は同じですが、内容的には全く違いますね。両作品ともに基本コメディなんですが、『ダーリンは外国人』がコメディに紛れて様々な含蓄があるのに対し、こちらの『のだめカンタービレ』はコメディに徹しています。まぁ、『のだめカンタービレ』は完全フィクションであるのに対し、『ダーリンは外国人』が作者の実体験に基づくので、当然かも知れませんが。

タイトル のだめカンタービレ 最終楽章 後編
日本公開年 2010年
製作年/製作国 2010年/日本
監督 武内英樹
原作 二ノ宮知子
出演 上野樹里(のだめ/野田恵)、玉木宏(千秋真一)、ウエンツ瑛士(フランク・ラントワーヌ)、ベッキー(タチヤーナ・ヴィシニョーワ)、山田優(ソン・ルイ)、なだぎ武(テオ)、福士誠治(黒木泰則)、瑛太(峰龍太郎)、水川あさみ(三木清良)、小出恵介(奥山真澄)、吉瀬美智子(エリーゼ)、伊武雅刀(峰龍見)、竹中直人(フランツ・フォン・シュトレーゼマン)、マヌエル・ドンセル(シャルル・オクレール)、マンフレット・ウダーツ(トマ・シモン/ルー・マルレ・オーケストラ コンサートマスター)、エグランティーヌ・ランボヴィル(ヤドヴィガ(ヤドヴィ)/声=蒼井優)

[2010/04/18]鑑賞・投稿

ダーリンは外国人

2010年04月17日 | 邦画
小栗左多里氏の人気コミックエッセー「ダーリンは外国人」の映画化。

さおりがトニーと付き合い始めた頃から、結婚するまでの時期が、舞台に設定されています。映画化されているこれらのエピソードが実際にこの時期のモノかは不明ですが、エピソードそのものは、原作本で見たものが多いので、実際に起きたことだと思います。

面白いエピソードばかりなので、基本的なトーンは『笑』なのですが、物語終盤のさおりとトニーの仲に暗雲が立ち込める所辺りで、迂闊にも、「良い話だぁ」と思って泣きそうになってしまいましたよ(苦笑)。って言うか、大竹しのぶスゲェ。やっぱり彼女は、大女優ですね。その二人の仲に暗雲が立ち込めている時に、さおりは実家に帰るんですが、その時の演技には、大竹しのぶの素晴らしさを感じます。何気ない表情とか、間のとり方がスゴイです。この映画の一番の見所は、ココですね。

トニー役のジョナサン・シェアも良いです。トニー・ラズロ氏本人の事は、基本的にみんな知っているわけで、そのような状況にも関わらず、トニー・ラズロ氏本人のイメージを壊さず、上手く演じていたと思います。

劇中のさおりの仕事部屋ですが、原作者の小栗左多里氏が、自分の仕事部屋をイメージしながらインテリアをデザインしたそうです。それと、さおりが漫画を書いているシーンですが、手元を小栗氏が吹き替えをすると言う構想もあったそうですが、主演の井上真央が猛練習して、吹き替え無しで撮影されています。その甲斐あって、井上真央の姿と手元が、ワンショットになっています。

さて映画には、トニーことトニー・ラズロ氏が、さおりの姉三佳の結婚式の神父役で出演しています。原作者の小栗左多里氏も、エンドロールの出演者に名前があったので何処かに出ていると思うのですが、発見できませんでした。あ、あと、さおりが疲れた時に飲むのは、やっぱりチョコラBBドリンクでした(笑)。

ホンワカする中にも、人と人の繋がることの難しさや、逆に、人と人が繋がることの素晴らしさを感じる映画です。意外に泣かされます(苦笑)

タイトル ダーリンは外国人
日本公開年 2010年
製作年/製作国 2010年/日本
監督 宇恵和昭
原作 小栗左多里
出演 井上真央(さおり)、ジョナサン・シェア(トニー)、国仲涼子(三佳/さおりの姉)、大竹しのぶ(一江/さおりの母)、國村隼(正利/さおりの父)、戸田菜穂(遼子/さおりの担当編集者)、入江雅人(編集者)、川岡大次郎(伸介/さおりの兄)、坂東工、パトリック・ハーラン(ポール/さおりの英会話教師)、ダンテ・カーヴァー(フランコ)、ジェームス・JJ・デ・バラード(クリス)、ガウ(ルーシー)、トニー・ラズロ、小栗左多里

[2010/04/17]鑑賞・投稿

シャッター アイランド / Shutter Island

2010年04月11日 | 洋画(アメリカ系)
まず最初に記しておきます。この映画は、ネタバレ禁止です。

1954年。ボストン沖合で、精神を病んだ犯罪者の収容施設が設置されているシャッター アイランド。脱出不能の施設から女性患者が行方不明に。レオナルド・ディカプリオ演じる連邦保安官テディ・ダニエルズは、その謎を解くべく、島へと赴いた・・・。

いやぁ、ネタバレ禁止と言われても、あれで本当に良いんですか? って言うか、最後まで見ても、まだ騙されている気が・・・。何が本当で、何が虚構なのか。一応の見た目は、ああ言う、結構ビックリの結末ですけどね。似たようなプロットの映画は・・・、他にもありますが、それを記すと最後のネタのヒントになってしまうので、敢えて止めておきます。そう言えば、その作品もネタバレ禁止でした。

えーと、ネタバレ禁止なので、あまり記すことが無いんですが、最後の30分くらいで、いきなり話が変わってきます。って言うか、そこまでは、間違った方向に誘導されていると言うことですね。

あ、TVCMでは吹替版が結構イチオシ的な扱いですが、必ずしも吹き替えである必要はないと思います。ディカプリオの生声が好きな方は、字幕版で良いと思います。

タイトル シャッター アイランド / 原題 Shutter Island
日本公開年 2010年
製作年/製作国 2010年/アメリカ
監督 マーティン・スコセッシ
原作 デニス・ルヘイン
出演 レオナルド・ディカプリオ(テディ・ダニエルズ)、マーク・ラファロ(チャック・オール)、ベン・キンズレー(ジョン・コーリー医師)、ミシェル・ウィリアムズ(ドロレス・シャナル)、マックス・フォン・シドー(ジェレマイアー・ネーリング医師)、イライアス・コティーズ(アンドルー・レディス)、ジャッキー・アール・ヘンリー(ジョージ・ノイス)、エミリー・モーティマー(レイチェル・ソランド)

[2010/04/11]鑑賞・投稿

第9地区 / District 9

2010年04月10日 | 洋画(アメリカ系)
舞台は、今年ワールドカップサッカーが開催される南アフリカ共和国のヨハネスブルグ。突如姿を表した異星人の乗る宇宙船。宇宙船は、一向に立ち去る気配を見せず、宇宙船に乗っていた異星人達は、「難民」として“第9地区”に隔離・収容される。そしてそれから28年後、スラムと化していた異星人居住地区の“第9地区”からの異星人移送計画が発動され、事件は起きる・・・。

作品は、ドキュメンタリー風に描かれています。なので、しばしば“関係者のインタビュー”的画像が挿入されます。それが、多くの場合は、地球の科学力を軽く凌駕し、地球へ侵略してくると言う対象の異星人が“難民”として描かれていると言う、ともすれば荒唐無稽にも思える作品のプロットに、臨場感を与えています。

作品中で異星人は“エビ”と言われていますが、その“エビ”はshrimpではなく、prawnと呼ばれる方のエビなので、中型くらいのエビと言う事ですね。でもなぁ、私には“エビ”には見えないんですけどね:-p

ところで、映画の舞台が南アフリカ共和国と言うのは、日本で公開される映画としては珍しい設定です。作品中でも、「NYでも、ワシントンD.C.でも、シカゴでも無く、何故ヨハネスブルグ」と言う事を自虐的に(?)言っています。

内容的話ですが、スラムの居住者を強制移住させると言う行為は、嘗て南アフリカ共和国で実際に『第6地区』と言う地域に対して強制移住が行われたと言うことを下敷きにしているらしいです。また、第9地区(=スラム)で行われている数々の違法行為は、現在の南アフリカの治安状況を語っているようにも思えます。いろんな意味で、(過去と現在の)南アフリカ共和国を象徴している映画ですね。

ストーリーは、概ね、予想通りに進行します。って言うか、欲に目がくらんだ人間の汚い一面が、中々衝撃的です。しかし、結末は、そういう事なんですね。アカデミー賞の作品賞にノミネートされた理由が判る気がしました。

第82回アカデミー賞4部門(作品賞、脚色賞、編集賞、視覚効果賞)ノミネート。

タイトル 第9地区 / 原題 District 9
日本公開年 2010年
製作年/製作国 2009年/アメリカ
監督 ニール・ブロムカンプ
制作 ピーター・ジャクソン
出演 シャルト・コプリー(ヴィカス)、デヴィッド・ジェームズ(クーバス大佐)、 ジェイソン・コーブ(クリストファー・ジョンソン)、ヴァネッサ・ハイウッド(タニア/ヴィカスの妻)

[2010/04/10]鑑賞・投稿 / [2010/04/12]記事修正