勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

レッド・スパロー / Red Sparrow

2018年03月30日 | 洋画(アメリカ系)
前途有望なバレリーナだった女性が、「スパロー」と呼ばれる魅惑の女スパイ(美人局?)になり、活動する様を描いた物語。

中々複雑な物語ですね。一瞬、誰が敵で、誰が味方かわからなくなります。しかも、米露のスパイ同士、協力しながら、騙し合いながら闘いを繰り広げていきますからね。まったく、協力するのか騙すのか、どっちなんだ(笑)

ロシアの描写で“大統領”と言うセリフが度々出てくるのが興味深いですね。これはアメリカ映画なので、敢えてそういうセリフを入れて、先ごろ再選された“かの”強力な大統領を意識させているのだと思います。

ジェニファー・ローレンスが“スパロー”に扮したわけですが、男を手玉に取る“スパロー”を見事に演じています。しかも、結末がね。「えっ!そう来るんだ!」と言うちょっとビックリの展開。そのために、用意周到に準備していたんですね。

ネイトが、アメリカのCIA的な言い方では“強化尋問技術”と呼ばれる“尋問”を受けるシーンがあるんですが、ちょっと・・・。+R15指定なのですが、ムフフなシーンよりも、このシーンが引っかかったのかな。

どんどんパチパチと言うスパイ映画ではありません。そういう作品を期待していると外れますが、スパイによる頭脳戦・神経戦。中々見応えがありました。

タイトル レッド・スパロー / 原題 Red Sparrow

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2018年/アメリカ
監督 フランシス・ローレンス
原作 ジェイソン・マシューズ『レッド・スパロー』
出演 ジェニファー・ローレンス(ドミニカ・エゴロワ)、ジョエル・エドガートン(ネイト・ナッシュ)、マティアス・スーナールツ(ワーニャ・エゴロフ/ドミニカの叔父)、シャーロット・ランプリング(監督官)、メアリー=ルイーズ・パーカー(ステファニー・ブーシェ/CIA)、ジェレミー・アイアンズ(コルチノイ将軍)、キアラン・ハインズ(ザカロフ参謀)、ジョエリー・リチャードソン(ニーナ・エゴロワ/ドミニカの母)、ビル・キャンプ(マーティー・ゲーブル/CIA)、テクラ・ルーテン(マルタ)、ダグラス・ホッジ(マクシム・ヴォロノフ/ドミニカの現場管理官)、サキナ・ジャフリー(トリッシュ・フォーサイス)、セルゲイ・ポルーニン(コンスタンティン)、セバスティアン・ハルク(マトーリン)

恋するシェフの最強レシピ / This Is Not What I Expected (喜欢·你)

2018年03月18日 | アジア映画
大金持ちで食に対して非常なこだわりを持つ青年実業家が、ドジで破天荒な若手女性シェフに振り回されるラブコメディ。

なるほど~。最初に不幸な(?)出来事で出会うとか、途中まで相手が近くにいることを相互に把握していないとか、お互いを認識すると必要以上に意識してしまうとか、ラブコメの要素がきちんと押さえられていますね。しかも、女性がちょっぴりドジなところが、なんとも可愛く見えます。

女性シェフを演じるチョウ・ドンユィですが、とってもキュート。ちょっと(かなり?)おっちょこちょいと言う、こういうラブコメには必須の登場人物を演じています。

そして金城武。日本では、このところあまり見かけませんでしたが、ここにいましたが。劇中、流暢に中国語を話しているのも当然、彼のフィルモグラフィを確認してみると、殆どが中国語圏の作品でした。

結末としては、まぁ、典型的なラブコメのストーリー展開とだけ言っておきましょうか(笑)

タイトル 恋するシェフの最強レシピ / 英題 This Is Not What I Expected / 原題 喜欢·你

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2017年/香港・中国
監督 デレク・フイ(許宏宇)
出演 金城武(ルー・ジン(路晋))、チョウ・ドンユィ(周冬雨)(グー・シェンナン(顾胜男))、スン・イージョウ(孫藝洲)(メン・シンジー(孟新杰)/ルーの秘書)、ミン・シー(奚梦瑶)(シュウ・ジャオディ(徐招娣)/シェンナンのルームメイト)、トニー・ヤン(楊祐寧)(チェン・ジーチェン(程子谦)/ホテル支配人)、リン・チーリン(林志玲)(ルーの個人シェフ)

人生はマラソンだ! / De Marathon

2018年03月10日 | 洋画(その他)
結構前に公開された作品なので、ネタバレもしています。

2012年10月オランダ本国で公開されると、日に日に口コミで動員を増やして、最終的には、10週以上のロングランヒットとなった作品。同じころに公開されていた『007 スカイフォール』に次ぐ第2位に2週連続ランクインも果たしている。

いやぁ、“自由の国”オランダって言う感じですね。特に、ギーア。彼はガンを患っていて余命幾ばくも無いのですが、治療ではなくマラソンを選んでいます。プラス面、マイナス面を勘案して、本人の選択に委ねるところ、その辺りが本当の“自由”なんだと思います。結果としての責任も、自分が追う訳ですしね。売春も、ドラッグも、安楽死も合法化されている国。そう言うオランダを垣間見した気がします。

話としてはねぇ、「やっぱり、そうなるよね」と言う、サプライズは無いストーリー。それが、オランダの普通のおじさんたちの日常生活に投射されています。パッと見「だらしねぇな」と思わずにはいられないところもありますが、そんな普通の人の日常は、そんなものなのかもしれません。

試走のため、ロッテルダムからアムステルダムに行くのですが、アムステルダムが、地元ロッテルダムのサッカーチームのライバルの地?と言う事の描写は、普通の日本人には、ちょっとわかりにくい?

ロッテルダムマラソンのシーンは、ロッテルダムマラソン事務局の全面協力の下、カメラを8台投入して撮影したそうです。普通のロケじゃ、あの臨場感は出ないよね。

いや、中々面白かったです。R15+指定と言うのは、まぁ、ね(苦笑)

タイトル 人生はマラソンだ! / 原題 De Marathon

日本公開年 2014年
製作年/製作国 2012年/オランダ
監督 ディーデリック・コーパル
出演 ステファン・デ・ワレ(ギーア)、マルティン・バン・ワールデンベルグ(レオ)、フランク・ラメルス(キース)、マルセル・ヘンセマ(ニコ)、ミムン・オアイッサ(ユース)

ウイスキーと2人の花嫁 / Whisky Galore

2018年03月04日 | 洋画(イギリス系)
実話を下にした作品。

第2次世界大戦中の1941年、スコットランド・エリスケイ島沖で起きた貨物船SSポリティシャン号座礁事件がもとになっている。また、日本未公開の1949年に製作された同名映画「Whisky Galore」のリメイクでもある。

スコットランドって、何かにつけてウィスキーなんですね。なので、ウィスキーが無くなると、何もできなくなってしまう・・・。そんなところに、天からの配材か、目の前にウィスキーが沢山あるんですから、そりゃぁ、欲しくなりますよね(笑)。それにしても、かなり脚色しているであろうとは言え、こんな事が実際にあったとは。

興味深いのは、“安息日”が厳格に守られている事。一瞬、ユダヤ教徒かと思いましたが、そうではなくて、カトリックと言う事ですね。しかも、かなり厳格な。いまもヨーロッパでは、日曜日になると街中の商店と言う商店が閉まりますが。それと、パブのオヤジが、裏切ってしまうのですが、それに対して島民が「ユダ!」と言葉をかけるのも、なんともカトリックですね。

その他にも興味深いのが、“軍務の経験がほとんどなさそうな民間人”が“大尉”と言う将校の地位にある事。なので、アフリカの激戦の地から戻ってきたきちんと訓練を受けている軍曹が、そのぼんくら大尉の指揮下に入ってしまうと言う・・・。大尉は、どうもホーム・ガード(Home Guard)と言う、ナチス・ドイツによる本土侵攻に備えて、17歳から65歳までの男性により組織された義勇兵組織みたいですね。指導者的な立場にあったのは主に地域や自治体の有力者みたいだったので、まぁ、町内会?的な感じと言うと、言い過ぎ?だから、軍務経験のない人物が将校になっていたりするんですね。

戦時中とはいえ、どこかのんびりとしているところが中々面白かったです。それと、寂しいながらも、二人の娘を嫁に出すお父さんに、娘への愛を感じました。

タイトル ウイスキーと2人の花嫁 / 原題 Whisky Galore

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2016年/イギリス
監督 ギリーズ・マッキノン
原作 コンプトン・マッケンジー『Whisky Galore』
出演 グレゴール・フィッシャー(ジョセフ・マクルーン)、ナオミ・バトリック(ペギー・マクルーン)、エリー・ケンドリック(カトリーナ・マクルーン)、エディ・イザード(ワゲット大尉)、ショーン・ビガースタッフ(オッド軍曹)、ブライアン・ペティファー(アンガス)、ケビン・ガスリー(ジョージ・キャンベル)、ジェームズ・コスモ(マカリスター牧師)、ジョン・セッションズ(マクレーン医師)、ティム・ピゴット=スミス(ウールシィ)

ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ / The Big Sick

2018年03月03日 | 洋画(アメリカ系)
実話を下にした作品。

パキスタン出身の男性コメディアンとアメリカ人女性のカップルが、結婚に向けて様々な障壁を乗り越えていく様を描いた物語。俳優クメイル・ナンジアニと、ナンジアニの妻である脚本家のエミリー・V・ゴードンが自分たちの体験をもとに脚本を作り、ナンジアニ自身が主演を務めている。

エミリーがリアルに大病になっていますが、ここはやっぱり、二人の幸せを阻む因習が“病気=ビッグ・シック”なんですよね。確かに、その因習に悩まされている側からすると、因習そのものが“病気”であり、因習にとらわれている人たちも“病気にかかっている”様にも思えてくるのかもしれませんね。

また、邦題のサブタイトルも“ぼくたちの大いなる目ざめ”なんてなっています。これは、やっぱり“ぼくたち”となっているところが、ミソなのでしょうか?この“ぼくたち”は、因習にとらわれている人たちと言う解釈もありますが、実は、『本当に愛しているのは誰であるのか』と言う事を、病気を通じて改めて感じた、クイメルとエミリーの二人なのでは無いかとも思いました。

結婚は、日本人同士であったとしても、育った環境の違いによっていろいろな違いがあって、なにかと障壁になりますが、国際結婚はそれ以上。しかも、少なからず宗教も絡んできてしまっていますから、余計に大変。口で言うのは簡単ですが、作品からはリアルな苦しみが感じられます。

この作品の素晴らしいところは、“リアル”なところ。脚本も当事者たちが書き上げ、且つ、演じているのも(男性側は)本人。そりゃ、リアルになりますよね。

タイトル ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ / 原題 The Big Sick

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2017年/アメリカ
監督 マイケル・ショウォルター
出演 クメイル・ナンジアニ(クメイル)、ゾーイ・カザン(エミリー)、ホリー・ハンター(ベス/エミリーの母)、レイ・ロマノ(テリー/エミリーの父)、アヌパム・カー(アズマ/クイメルの父)

15時17分、パリ行き / The 15:17 to Paris

2018年03月03日 | 洋画(アメリカ系)
実話を下にした作品。

2015年8月21日に発生した、アムステルダム発パリ行きタリス内で発生したイスラム過激派の男による無差別殺傷事件に遭遇したアメリカ人の3人の青年が、事件を防ごうと活躍した姿を描ている。主人公のアンソニー、アレク、スペンサーの三人を、本人たち自身が演じている。またその他、乗客の一部も、事件に遭遇した当事者たちが演じている。

“素人”のアンソニー、アレク、スペンサーの三人を、堂々とメインに据えて作品を作り上げた、クリント・イーストウッド監督に敬意以外の何物も無いですね。いやぁ、よく怖くなかったなと。最初は、カイル・ガルナー、ジェレミー・ハリス、アレクサンダー・ルドウィグの3人のプロ俳優を使っての作品を検討していたそうなのですが、最終的に、当事者本人を使うと言う決断をイーストウッド監督が下しています。

イーストウッド監督の英断で起用された、アンソニー、アレク、スペンサーの三人は、素人ながらに“まぁまぁの演技”も見せています。中でもアンソニーは、少年時代のエピソードでも明らかにされていましたが、“口が上手い”と言う人物らしいので、三人の中では一番演技が出来ていたように見えました。アレクとスペンサーは、何とかなっていましたが、少しぎこちないところも感じました。そういう意味では、プロの俳優の演技の凄さも感じました。

素人を起用したがゆえになのか、クライマックスのタリスでのシーンは、短いです。作品の多くは、そこに至るまでの三人の姿を描いています。プロ俳優を使った作品だったら、もっと違う感じになっていたでしょうね。

タイトル 15時17分、パリ行き / 原題 The 15:17 to Paris

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2018年/アメリカ
監督 クリント・イーストウッド
出演 アンソニー・サドラー(アンソニー・サドラー/アレクとスペンサーの友人)、アレク・スカラトス(アレク・スカラトス/オレゴン州兵)、スペンサー・ストーン(スペンサー・ストーン/アメリカ空軍兵)、ジェナ・フィッシャー(ハイディ・スカロトズ)、ジュディ・グリア(ジョイス・エスケル)、レイ・コラサニ(アヨブ・エルカザニ)、トニー・ヘイル(ジム・ティーチャー)、トーマス・レノン(学園長)、ポール=ミケル・ウィリアムズ(アンソニー・サドラー(少年時代))、ブライス・ゲイザー(アレク・スカラトス(少年時代))、ウィリアム・ジェニングス(スペンサー・ストーン(少年時代))