勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

7つの贈り物

2009年02月22日 | 洋画(アメリカ系)
芸達者ウィル・スミスの最新作。監督は、こちらもウィルの感動の作品「幸せのちから」でメガホンを取ったガブリエレ・ムッチーノ。どちらも、ウィルの演技力を試すような内容の作品になっていますが、ウィルは、その期待に見事に応えています。

さて、先にも「幸せのちから」の監督の作品と書きました。「幸せのちから」は、何となくホッとするような、ジンワリとする感動を覚える作品でしたが、こちらは全く違います。主人公“ベン”を演じるウィル・スミスの力の無い表情、どこか悲しい表情の通り、話はむしろ悲しいです。悲しすぎます。

“ベン”は、そんな悲しい表情を浮べながら、他人の人生を調べるような謎の行動を繰り返すわけですが、その謎の行動の理由は比較的初期に予想が付きます。って言うか、少しだけ最後に予想外のことは起きますが。“ベン”と“”付きで、名前を表記しているのは、そう言う理由です。

いやぁ、ウィル・スミスは本当に凄い役者ですね。表情だけで、この人物が心に何らかの問題(悲しい出来事)を抱えていて、人生に何の希望を見出していないという事を、非常に見事に表現しています。彼を芸達者と言わずして、誰を芸達者と言うのでしょう。

あんまり書くとネタバレになってしまうので躊躇するんですが、あんな結末になって、エミリーは、救われたんでしょうか? 体は救われたかもしれませんが、心は救われないのではないんでしょうか? 私だったら、かなり真剣に悩みます。宣伝上は「感動作」となっていますが、感動ねぇ・・・。結末が、悲しすぎますよ。とは言え、映画はかなりいい作品です。あんまり楽しい気持ちには、ならないかもしれませんが。

タイトル 7つの贈り物
原題 Seven Pounds
日本公開年 2009年
製作年/製作国 2008年/アメリカ
監督 ガブリエレ・ムッチーノ
出演 ウィル・スミス(ベン・トーマス)、ロザリオ・ドーソン(エミリー・ポーサ)、ウディ・ハレルソン(エズラ・ターナー)、バリー・ペッパー(ダン)、マイケル・イーリー(ベンの弟)

[2009/02/22]鑑賞・投稿

チェンジリング

2009年02月21日 | 洋画(アメリカ系)
1928年、ロスアンゼルスで実際に起きた出来事。ちなみに“チェンジリング”とは、“フェアリーなどの伝承の生物と秘密裏に取り替えられた子供”と言う意味。ヨーロッパなどで、広く伝承されてきた話だそうです。

20世紀初頭のアメリカの司法・警察機関って、どこも腐敗していたんですね。FBIもそのころは、BOIと呼ばれていたりしていましたが、腐敗しきっていて、ジョン・エドガー・フーヴァーが登場して、その腐敗を一掃したりするんですがね。(もっとも、ジョン・エドガー・フーヴァーの時代が長くなりすぎて、その後半には彼が居る事による腐敗があったりもするんですが。)

さて、映画の話。最初にこの話が来たとき、アンジェリーナ・ジョリーは、「自分の子供に同じことが起きたらどうだろうか?」と言うことを考え、クリスティンを演じる事を躊躇したらしいですが、最終的にはクリスティンの力強い生き方に共感して出演する事にしたらしいです。そして、その彼女の演技は非常にすばらしいですね。実際に子供が居る事が、自分の一人息子の無事を案じる母親の姿を演じるだけでなく、子供を失った母親の辛さをある意味“実体験”させ、この演技に通じたのだと思います。その他、グスタヴ・ブリーグレブ牧師を演じるジョン・マルコヴィッチや、クリスティンを苦しめるJ・J・ジョーンズ警部役のジェフリー・ドノヴァン、クリスティンが監禁された精神病院で彼女を励ますキャロル・デクスター役のエイミー・ライアンなど、いろんな俳優・女優がいますが、アンジーの演技に勝るものは無いですね。

映画で見るべきは、20世紀初頭のロスアンゼルスが見事に画面に再現されていた事。もちろん、いまのロスアンゼルスには市電は走っていませんし、ダウンタウンは高層ビルばっかり。ロスアンゼルス郊外などで、当時の雰囲気を持つ街を見つけ撮影したそうです。車のT型フォードなどが走っていたので、これも実走可能なT型フォードを見つけてきたんでしょうね。

それにしても、こんな出来事が20世紀のアメリカで実際に起きていたとは驚きです。実際の出来事なので、必ずしもエンディングがハッピーとは限りませんが、非常に印象に残る映画です。

タイトル チェンジリング
原題 Changeling
日本公開年 2009年
製作年/製作国 2008年/アメリカ
監督・製作・音楽 クリント・イーストウッド
出演 アンジェリーナ・ジョリー(クリスティン・コリンズ)、ジョン・マルコヴィッチ(グスタヴ・ブリーグレブ牧師)、ジェフリー・ドノヴァン(J・J・ジョーンズ警部)、コルム・フィオール(ジェームズ・E・デイヴィス警察本部長)、ジェイソン・バトラー・ハーナー(ゴードン・ノースコット)、エイミー・ライアン(キャロル・デクスター)、マイケル・ケリー(レスター・ヤバラ刑事)

[2009/02/21]鑑賞・投稿

ベンジャミン・バトン 数奇な人生

2009年02月08日 | 洋画(アメリカ系)
実は、あまり見に行こうと思って居なかったんですが、2008年度第81回アカデミー賞で、最多の13部門(作品賞、主演男優賞(ブラッド・ピット)、助演女優賞(タラジ・P・ヘンソン)、監督賞(デヴィッド・フィンチャー)、美術賞、撮影賞、衣装デザイン賞、メークアップ賞、作曲賞、音響賞、視覚効果賞、脚色賞、編集賞)にノミネートと言う話を聞いて、見に行ってみました。アカデミーに功罪はありますが、それでも、アカデミーノミネート作品に駄作は無いと思ったので。

人が若返って行くなんていう話は、ファンタジー以外にはありえないんですが、ファンタジーがファンタジーでなく作られています。物語は、次第に若返っていくブラッド・ピット演じるベンジャミン・バトンが、タラジ・P・ヘンソン演じる育ての母クイニーに優しく育てられながら、ケイト・ブランシェット演じるデイジー(雛菊なんて、凄い名前ですね)と衝撃的な出会いをし、それぞれ別の人と恋をした後、二人で一緒になる・・・かと思いきや、別れてしまうと言う恋物語(長い説明でスイマセン)。別に物凄いジェットコースター物語と言う訳ではないんですが、お互いを思いつつ、なぜかすれ違う二人の姿は、正に悲哀ですね。人の愛(育ての母の愛、恋人との成就する事の無い愛)を描いた映画と言って良いんでしょうね。

アカデミー主演男優賞にノミネートされているブラッド・ピットの事はさておき、意外に、ベンジャミンの育ての母クイニー役のタラジ・P・ヘンソンが良いです。見ず知らずの、しかも、不気味な姿をした赤ん坊を育て上げる愛情たっぷりの女性の姿を、存在感たっぷりに演じています。助演女優賞ノミネートも納得です。

物語の舞台は、あの大被害を出したハリケーン・カトリーナの日のニューオリンズ。映画の最後に、時計が洪水に流されてしまうという映像は、何か象徴的なモノを感じました。って言うか、その時計が掛け替えられたと言うこと自体が、ベンジャミンそしてデイジーの人生を象徴する事だったのかもしれません。

不思議な話の割りに、何故か不条理な感じはせず、結構見入る事が出来た映画なんですが、物語の結末が思いっきり端折った感じがするのは、ちょっといただけません。もっとも、その頃のベンジャミンを描こうとすると、ブラッド・ピットを使うのはもはや不可能なので、仕方が無いとも言いますが。まぁ、最後はそんな感じですが、全般的には、良い意味で裏切られました。

タイトル ベンジャミン・バトン 数奇な人生
原題 The Curious Case of Benjamin Button
日本公開年 2009年
製作年/製作国 2008年/アメリカ
監督 デビッド・フィンチャー
出演 ブラッド・ピット(ベンジャミン・バトン)、ケイト・ブランシェット(デイジー)、タラジ・P・ヘンソン(クイニー)、ジュリア・オーモンド(キャロライン)、ジェイソン・フレミング(トーマス・バトン)、イライアス・コーティーズ(ガトー氏)、ティルダ・スウィントン(エリザベス・アボット)、ジャレッド・ハリス(マイク船長)、エル・ファニング(幼少期のデイジー)、マハーシャラルハズバズ・アリ(ティジー)

[2009/02/08]鑑賞・投稿

20世紀少年-第2章-最後の希望

2009年02月01日 | 邦画
昨年夏に公開された映画『20世紀少年』の第二部。3部構成なので、残るは第三部。こちらは、今年の夏公開予定。ちなみに、映画公開のとき、第一部にはサブタイトルは無かったと思いますが、DVD化に際して『20世紀少年 第1章 終わりの始まり』と言うタイトルになったようです。

三部構成の第二部と言うことで、謎を解きつつ、伏線を残すという困難な場面転換が求められる位置。少し謎が残りすぎた気もしますが、それなりに無難に話は進んだと思います。とは言っても、元がマンガだから仕方ないかもしれませんが、最後の第三部に繋がるところの繋ぎがかなり強引。一気に場面転換が図られはしましたけどね。

前回出た俳優陣は、それなりに老けメイクをして、時代が進んだ事を示そうとしていますが、ちょっと苦しかったかも。あと、前回は出ていませんが、ユースケ・サンタマリア、彼の老けメイクは悲しいです(笑)。って言うか、日テレの羽鳥アナもアナウンサー役で出ているんですが、彼まで老けさせる必要はあったのでしょうか? もしかして、本人役だから、老けさせた?

小池栄子の演技が怖いです。無駄に元気で、目を大きく開いた演技は、かなりの恐怖です。それと、小泉響子役の木南晴夏は似てますねぇ。意外に重要な登場人物なんですが、無難にこなしていたと思います。それに比べ藤木直人。彼に演技をさせてはダメですね。

次回が結末。次回も見に行きたいと思います。

タイトル 20世紀少年-第2章-最後の希望
日本公開年 2009年
製作年/製作国 2009年/日本
監督 堤幸彦
原作・脚本・監修 浦沢直樹
出演 豊川悦司(オッチョ/落合長治)、常盤貴子(ユキジ/瀬戸口雪路)、平愛梨(カンナ/遠藤カンナ)、香川照之(ヨシツネ/皆本剛)、ユースケ・サンタマリア(サダキヨ/佐田清志)、藤木直人(蝶野将平)、石塚英彦(マルオ/丸尾道浩)、宇梶剛士(モンちゃん/子門真明)、小日向文世(ヤマネ/山根昭夫)、黒木瞳(キリコ/遠藤貴理子)、唐沢寿明(ケンヂ/遠藤健児)、小池栄子(高須)、古田新太(春波夫)、木南晴夏(小泉響子)、前田健(マライア)、荒木宏文(ブリトニー)、六平直政(仁谷神父)、光石研(ヤマさん・警察庁長官)、佐藤二朗(ホクロの巡査)、甲本雅裕(カンナの担任教師)、石橋蓮司(万丈目胤舟)、中村嘉葎雄(神様)、片瀬那奈(敷島ミカ)、森山未來(漫画家・角田)、西村雅彦(七龍の店主)、西村和彦(斉木刑事)、手塚とおる(漫画家・金子)、田鍋謙一郎(漫画家・氏木)、田中要次(東野刑事)、フレッド・マックィーン(ブラハルツ事務総長)、羽鳥慎一・日本テレビアナウンサー(アナウンサー)、小倉淳(リポーター)

[2009/02/01]鑑賞・投稿