勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

カプチーノはお熱いうちに / Allacciate le cinture

2015年09月22日 | 洋画(イタリア系)
ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞(イタリア映画アカデミーが決定する、イタリア映画における最高の名誉とされる賞)で、監督賞、主演女優賞を始め、全11部門にノミネート。2014年3月第3週のイタリアNo.1の作品。

“ちょっと”恋多き、でも、人生に成功していた女性が、乳がんが発覚して、これまでの人生と、今後の人生を考えなおした物語。

なるほどねぇ。人生に成功しかけて、もっとアクセルを踏もうと思った時に発覚するガン。そういえば最近、NHK『国際報道2015』のキャスターだった黒木奈々さんがガンでなくなりましたが、それも、人生で成功しかけて・・と言うパターンですね。この作品の主人公も、そして黒木さんも、若いですからね・・・。

物語のエンディングが、中々面白い演出になっています。あれって、いわゆる走馬灯の演出なんですかね?単純な走馬灯だけでなく、そこに至るまで描かれていなかった話の背景が描かれていて、その時間軸に至るまでの経緯がストンと落ちました。

eiga.comでの評価が2.7(2015/09/22現在)なのが、ちょっと不思議。いやぁ、中々、見どころと含蓄があっていい作品だと思うんだけどなぁ。どこが評価されないポイントなんだろう?アメリカ西海岸の地震を描いた映画(eiga.comの2015/09/22付けの評価は、3.5)よりも、よっぽどいいと思うんだけどな。

邦題『カプチーノはお熱いうちに』は、イケてないですね(失礼)。もっと良い邦題があったと思うのだが。

タイトル カプチーノはお熱いうちに / 原題 Allacciate le cinture
日本公開年 2015年
製作年/製作国 2014年/イタリア
監督 フェルザン・オズペテク
出演 カシア・スムトゥアニク(エレナ)、フランチェスコ・アルカ(アントニオ/エレナの夫)、フィリッポ・シッキターノ(ファビオ/エレナの親友)、カロリーナ・クレシェンティーニ(シルヴィア/エレナの親友)、フランチェスコ・シャンナ(ジョルジョ/資産家)、カルラ・シニョーリス(アンナ/エレナの母)、エレナ・ソフィア・リッチ(カルメラ/ヴィヴィアナ/ドーラ/エレナの叔母)、パオラ・ミナッチョーニ(エグレ/病室の友人)、ジュリア・ミケリーニ(ディアーナ/エレナの担当医)、ルイーザ・ラニエリ(マリクラ/美容室店主)

鑑定士と顔のない依頼人 / La migliore offerta (The Best Offer)

2013年12月15日 | 洋画(イタリア系)
姿を見せようとしない女性の依頼人からの美術品鑑定依頼。当初は、姿を見せようとしない依頼人に反発を覚えていた鑑定士のオールドマンだったが、ある時、依頼人の姿を隠れ見て、その美しさに引かれていってしまう・・・。

互いに時には非常に失礼な態度を示し反発し合いながらも、なぜだか、鑑定を降りようとしないヴァージル・オールドマン。気に入らなければ、降りれば良いと思うんですが、最後に明らかになりますが、そこに至るまでは様々な“罠“が仕掛けられているんですよねぇ。しかも、時間もかかるし、規模も大規模な“罠”。いやぁ、『お見事!』としか、言いようがありません。

作品中、謎の美女の館の向かいのカフェが何度も出てきて、「何かの伏線?」と思ったのですが、その通りでした。って言うか、ああ言う描き方は伏線以外の何ものでもないですよね。

作品中のヴァージル・オールドマンの秘密のコレクションは、スゴいです。《ジャンヌ・サマリーの肖像》とか、世界の有名絵画がズラリ・・・。って言うか、ここにこれらの作品があるということは、世界の美術館にある作品は、どう言う位置づけなんでしょうね?(謎)

いやぁ、一級のミステリーです。「そうくるか」と唸らされました。

タイトル 鑑定士と顔のない依頼人 / 原題 La migliore offerta / 英題 The Best Offer
日本公開年 2013年
製作年/製作国 2013年/イタリア
監督 ジュゼッペ・トルナトーレ
出演 ジェフリー・ラッシュ(ヴァージル・オールドマン)、ジム・スタージェス(ロバート)、シルヴィア・ホークス(クレア)、ドナルド・サザーランド(ビリー)

[2013/12/14]鑑賞・[2013/12/15]投稿

ブルーノのしあわせガイド / Scialla!

2013年05月01日 | 洋画(イタリア系)
初イタリア映画のような気がします。

元教師で、現在はゴーストライターと家庭教師と言う経歴のブルーノ。ある生徒の母親から、自分の留守中息子ルカを預かって欲しいと言われる。そして、そのルカは、15年前にブルーノとの間に出来た子供だと言われる。

そんな感じで、ルカとブルーノの共同生活は始まるんですが、ルカは、遅刻は当たり前で、授業は途中で抜けだすと言う典型的な落ちこぼれ生徒。他方、ブルーノはブルーノで、これまたあまり見本になるような生活を行なっている訳ではないんですね。これが、中年イタリア男の現実なんでしょうか?

不良少年のルカは、不良少年に有りがちなトラブルに巻き込まれてしまうのですが、ここで威力を発揮したのは、ブルーノの経歴。そう言う状況になった時、何となく、そう言う落ちになりそうな気がしたんですが、予想通りの落ち。やっぱりね、先生は、いつまで経っても先生なんですよね(笑)。

原題の“Scialla”は、イタリアの若者のスラングで、“何とかなる”、“落ち着け”、“リラックス”、英語で言うと“take it easy”に近い意味らしいです。確かに、そう言う感じですね。特に映画の終盤、そう言う雰囲気を感じました。

中々、良かったと思います。

タイトル ブルーノのしあわせガイド / 原題 Scialla!
日本公開年 2013年
製作年/製作国 2011年/イタリア
監督 ランチェスコ・ブルーニ
出演 ファブリッツィオ・ベンティボリオ(ブルーノ)、バルボラ・ボブローバ(ティナ)、ビニーチョ・マルキオーニ(“詩人”)、フィリッポ・シッキターノ(ルカ)

[2013/05/01]鑑賞・投稿

塀の中のジュリアス・シーザー / Cesare deve morire

2013年01月26日 | 洋画(イタリア系)
2012年2月の第62回ベルリン国際映画祭で最優秀作品賞に相当する金熊賞を受賞。

イタリアのレビッビア刑務所に収監されている囚人たちによる演劇実習を描いた作品。月中出演しているのは、実際の囚人たちである。実質的に演劇実習のドキュメンタリー。

毎年このような演劇実習が行われているというのは、驚きです。稽古は、刑務所のありとあらゆる所で行われているんですね。廊下、屋外運動場などなど・・・。看守たちも、何か応援している雰囲気出し、演劇に参加しない他の囚人たちも、掛け声で応援したりと、刑務所全体で演劇に前向きに進んでいる感じが伝わってきます。

演劇に出演しているのは、重警備棟に収容されている囚人たちですが、彼ら各々の罪状を見ると、組織犯罪であったり、麻薬取引であったりと結構な重罪です。ですが、セリフ(本音?)に「芸術を知ってから、監房に居るのは辛くなった」と言う様な事をレーガが言っていて、演劇実習が更生に向けての一助になっているような気がします。劇をしている時は、みんな生き生きとしているしね。

そんな、劇への入れ込みが、時として、現実の自分と劇中の役との境目を本人たちに分からなくしてしまっているような描写もあります。まぁ、あれだけのめり込めばねぇ。そうなるか。

面白いです。

タイトル 塀の中のジュリアス・シーザー / 原題 Cesare deve morire
日本公開年 2013年
製作年/製作国 2012年/イタリア
監督 パオロ・タヴィアーニ、ヴィットリオ・タヴィアーニ
出演 コジモ・レーガ(カシアス/カッシオ)、サルヴァトーレ・ストリアーノ(ブルータス/ブルート)、ジョヴァンニ・アルクーリ(ジュリアス・シーザー/チェザーレ)、アントニオ・フラスカ(アントニー/マルカントニオ)、フアン・ダリオ・ボネッティ(ディシアス/デチオ)、ヴィンチェンツォ・ガッロ(ルシアス/ルチョ)、ロザリオ・マイオラナ(メテラス/メテロ)、フランチェスコ・デ・マージ(トレボニアス/トレボニオ)、ジェンナーロ・ソリト(シナ/チンナ)、ヴィットリオ・パレッラ(キャスカ/カスカ)、パスクアーレ・クラペッティ(軍人)、フランチェスコ・カルゾーネ(占い師)、ファビオ・リッツート(ストラトー/ストラトーネ)、マウリーリオ・ジャフレーダ(オクタヴィアス/オッタヴィオ)、ファビオ・カヴァッリ(舞台監督)

[2013/01/26]鑑賞・投稿