川天使空間

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サバのみそ煮のいうとおり 小川美篤 朝日学生新聞社

2012年03月16日 05時17分02秒 | 創作・本の紹介
病院に長期入院している子どもたちのお話。

脳の血管の病気を持つ明彦は6年生。
クッション入りの保護帽をかぶり、腎臓病で4年生の元太郎と紙相撲の真剣勝負。
段ボールの土俵の力士は、脳外科山と腎臓の海。
脳波検査で使ったあとのいらない紙でできている。
行司がふりかざす軍配は、なんとかコロンと薬の名前が書かれたうちわ。

もう、これだけで、ぐいっと心を掴まれる。
その場面がすぐ目にうかぶから、かな。

ふたりは、段ボールをたたいて力士を戦わせる。

  たたきます、たたきます、土俵をたたきます。
  なんのうらみもないのに、土俵をたたきます。
  ようしゃなく、とことんたたきまくります。

  ボッコン、ボッコン、ボッコン。

長い長い入院の鬱憤が、こっちにも伝わってくる。
ふたりにとって紙相撲は、病気のことを忘れていられる時間。
勢い余って段ボールの土俵がこわれ、元太郎が「いい子」モードで看護師さんにお願いする。

 「きれいでやさしい看護師さん! 点滴の箱、くださーい。薬の箱はやめてんか。すぐ壊れんねん」
  声もちょっとかわいくしてみました。

505号室には明彦と元太郎のほかに、父親が医者の5年生の直樹がいる。
直樹は左手が不自由で、自慢屋。
いつもカーテンをしめて勉強している。
四人部屋へ入ってきた新しい友だちは、なんと19歳で長身なのになにもできない伸之助。
心臓病で1年生の美生は、元太郎にお嫁さん気取りでまとわりつく。

同室の子が夜中に急変していなくなる。
でも彼らは、検温に来た看護師さんにそのことを聞かない。
暗黙の了解。
胸が詰まる。

で、「サバのみそ煮のいうとおり」は、おまじないなのだ。
なんのおまじないかというと……

あ、ネタバレしそうなのでここまでで。
とにかく、病気の子どもの気持ちが、ほんっとに深く描かれている。
ここまで書ける人、いないんじゃないかな。

小川さま、すてきなご本をありがとうございました!

いいご本を読むと、いい文章が書けそうな気がする。
今夜次男が帰省予定。
今日もびよよよ~~ん (*^ __ ^*)

コメント (5)
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