川天使空間

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私は赤ちゃん 松田道雄・著 いわさきちひろ・挿絵 岩波新書

2020年02月02日 06時02分58秒 | 創作・本の紹介

今月、潟上市の保健師さんなどを対象に、
「乳幼児健診の栄養指導」に役立つ「乳幼児の食」について講演する。
その準備に、いろいろ本を読んでいたけれど、どうしてもこの本は外せなくて。



初版は1960年3月7日だから、もう60年も前の本。
90歳で亡くなった小児科医、松田道雄先生の代表的な著書だ。

この本を大学時代に読んだこともあって、私は小児科医になるのを決めた気もする。

もとは新聞の連載記事で、ページ毎にいわさきちひろの挿絵があるのがすてき。



今回プレゼンを作るのに他に入手したご本も役立ったけれど、この本は別格だった。

赤ちゃんが大人の言葉で話す内容だが、
「産院」「乳がでない」「タンが切れない」「夜泣き」などに加えて、「離乳1〜4」とある。

確かこの本、どなたかに差し上げて手元にはなかった。
この離乳のところを皆様に報せたくて、また入手した。
去年6月5日で86刷! やっぱりすごい本だった。

離乳食を難しく考えて頭を悩ますお母さんに、
お母さんの年の離れた一番上のお姉さんが言う。

「離乳なんて、おらあ、何ヶ月で始めたかおぼえてねぇよ。
 早え子もあったし遅え子もあったよ、
 親が抱いててめし食うとき、何だかほしそうにすりゃ、その時やりゃいいんだ。
 ほしがらねえもの、いくらやったって、食うもんじゃねえ。

 かゆのきれえなものもいたよ。
 そういうのは、歯がはえんの待って、いきなりめし食わしたよ。
 うどんの好きなものもいたし、めしよりかゆの好きなものもいたな。

 おかずだって、親の食うもんの中からやわらけえもの拾ってやったよ。
 歯のしっかりはえてねえのにやるもんてば、決まってるさ。
 卵か豆腐か魚さ」

これがいいんだなあ。
やっぱり離乳の基本はこれだと思った。

感染予防という観点でも、濾したりすりつぶしたりを清潔にやるのは至難の業。
作りたてのおかずの中から、やわらかいものをあげたほうが、どれだけ清潔か。

まあ、牛乳をあげることとか、離乳食にお砂糖を入れるとか、
時代に合わせてバージョンアップすべきことはいろいろあるが、
「子どもを愛情一杯に育てる」という骨子がぶれていないのがすごい。

離乳食でこの本に追加することは、アレルギー関連とベビーフードかな。
今のベビーフードはほんとうに進化している。
実際外来でも、離乳期の赤ちゃんで絶対的に必要な鉄分は、
「レバー入りのベビーフードがいいですよ」と指導しているし。

松田道雄先生、私にとって今も尊敬する小児科医だ。

こんな本が私にも書けたらいいな、と思ったら、
とんでもない方向に妄想が湧き出て、だだっと書いたのだった。
今日は夕方から市立病院小児救急当番。

今日もびよよよ〜〜ん (*^ __ ^*)

コメント (4)
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