今月、潟上市の保健師さんなどを対象に、
「乳幼児健診の栄養指導」に役立つ「乳幼児の食」について講演する。
その準備に、いろいろ本を読んでいたけれど、どうしてもこの本は外せなくて。
初版は1960年3月7日だから、もう60年も前の本。
90歳で亡くなった小児科医、松田道雄先生の代表的な著書だ。
この本を大学時代に読んだこともあって、私は小児科医になるのを決めた気もする。
もとは新聞の連載記事で、ページ毎にいわさきちひろの挿絵があるのがすてき。
今回プレゼンを作るのに他に入手したご本も役立ったけれど、この本は別格だった。
赤ちゃんが大人の言葉で話す内容だが、
「産院」「乳がでない」「タンが切れない」「夜泣き」などに加えて、「離乳1〜4」とある。
確かこの本、どなたかに差し上げて手元にはなかった。
この離乳のところを皆様に報せたくて、また入手した。
去年6月5日で86刷! やっぱりすごい本だった。
離乳食を難しく考えて頭を悩ますお母さんに、
お母さんの年の離れた一番上のお姉さんが言う。
「離乳なんて、おらあ、何ヶ月で始めたかおぼえてねぇよ。
早え子もあったし遅え子もあったよ、
親が抱いててめし食うとき、何だかほしそうにすりゃ、その時やりゃいいんだ。
ほしがらねえもの、いくらやったって、食うもんじゃねえ。
かゆのきれえなものもいたよ。
そういうのは、歯がはえんの待って、いきなりめし食わしたよ。
うどんの好きなものもいたし、めしよりかゆの好きなものもいたな。
おかずだって、親の食うもんの中からやわらけえもの拾ってやったよ。
歯のしっかりはえてねえのにやるもんてば、決まってるさ。
卵か豆腐か魚さ」
これがいいんだなあ。
やっぱり離乳の基本はこれだと思った。
感染予防という観点でも、濾したりすりつぶしたりを清潔にやるのは至難の業。
作りたてのおかずの中から、やわらかいものをあげたほうが、どれだけ清潔か。
まあ、牛乳をあげることとか、離乳食にお砂糖を入れるとか、
時代に合わせてバージョンアップすべきことはいろいろあるが、
「子どもを愛情一杯に育てる」という骨子がぶれていないのがすごい。
離乳食でこの本に追加することは、アレルギー関連とベビーフードかな。
今のベビーフードはほんとうに進化している。
実際外来でも、離乳期の赤ちゃんで絶対的に必要な鉄分は、
「レバー入りのベビーフードがいいですよ」と指導しているし。
松田道雄先生、私にとって今も尊敬する小児科医だ。
こんな本が私にも書けたらいいな、と思ったら、
とんでもない方向に妄想が湧き出て、だだっと書いたのだった。
今日は夕方から市立病院小児救急当番。
今日もびよよよ〜〜ん (*^ __ ^*)