川天使空間

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 FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 

2020年02月25日 06時12分00秒 | 創作・本の紹介

公衆衛生の第一人者であるハンス・ロスリングと、その息子夫婦による著書。
Kindle版で手に入れて、去年読んでいた。

今、新型コロナのアウトブレイクへの対応が急務になっているなか、
きっと何か役に立つことが書かれているのではと、読み直してみた。
(ブツブツと長いのでお忙しい方はスルーしてください)

2014年、西アフリカでエボラが流行したときのことが書かれている。
 
……危機が差し迫っていると感じたら、最初にやるべきなのはオオカミが来たと叫ぶことではなく、
データを整理することだ。誰もが驚いたことに、集計されたデータを見ると、
感染が確認された人の数は2週間前にピークを打ち、それ以降は減っていた。
逆に、感染の疑いのある人の数は増えていた。
一方、現場ではリベリアの人たちの習慣を変えることに成功し、
人々は必要のない接触を避けるようになっていた。握手もハグもしなくなっていたのだ。
生活習慣の変化に加えて、店舗、公共の建物、救急車、病院、葬儀場、
それ以外のあらゆる場所で衛生管理を徹底したことの効き目が出始めていた。対策は効いていた。
でも、オーラがその表を送ってくれるまで、誰もそれに気づいていなかった……

モザンビークのナカラで医師として働いていた博士は、自らの「焦りゆえの失敗談」も書いている。
ナカラの町に麻痺や失明に至る原因不明の患者が一気に数百人も出て、
流行を阻止せねばと焦り、「感染症も否定できないからナカラを閉鎖すべき」と市長に提言した。
その結果、行商に行くバスに乗れなかった子どもが船に乗り、船は難破してみな溺れてしまったとのこと。
結局その病気は毒抜きが不十分なキャッサバを食べたことが原因だったが、
身をもって知った「焦る」ことの危険性を博士は強く説いている。

……感染症の専門家のあいだではいまも、
新種のインフルエンザが最大の脅威だというのは共通の認識になっている。
その理由は、インフルエンザの感染経路にある。
インフルエンザウィルスは目に見えない粒子になって飛沫感染する。
感染者が地下鉄に乗ると、同じ車両の人は全員感染する可能性がある。
接触しなくても感染するし、同じ場所に触らなくても感染する。
あっという間に広がるインフルエンザのような感染症は、
エボラやHIV・エイズのような病気よりもはるかに大きな脅威になる。
感染力が強くどんな対策も効かないウィルスからあらゆる手で自分たちを守ることは、
あたりまえだがかなり重要だ……

……どこかで感染症が猛威をふるったときには、データが鍵になるはずだ。
だからデータそのものの信頼性と、
データを計測し発表する人たちの信頼性を守ることが、とても大切になる。
わたしたちはデータを使って真実を語らなければならない。
たとえ善意からだとしても、拙速に行動を呼びかけてはいけない……
 
まさに新型コロナはこのような大きな脅威になる感染症。
あっというまに拡がり、軽症例も多いがゆえに全体の把握が難しい。
しかもインフルより潜伏期が長く、完全な隔離も非現実的。
そして新型コロナの感染者数や死亡者数のデータは出ているが、
インフルエンザ対策と同じで良いのかどうかのデータは出ていない。
 
現時点でわかっていることは、

・基礎疾患のある高齢者が危険・バスやクルーズ船などの密閉空間での感染例が多い・
・マスクをしていても感染する・飛沫&接触&エアロゾール感染・潜伏期は1-12.5日(多くは5-6日)
・ウィルスは大きく、ウィルス表面はエンベローブと呼ばれる脂質で覆われているので、
 アルコール消毒が可能、石けんの手洗いも効果的。

運転手さんの感染例が多いのは、車内の時間が多いから? ハンドルを握るから?
陰性になって再度陽性になった患者の報告も出ているし、
もしかしてノロのようにしばらく体内にいるのかもしれないし。

小児科医にとってコロナウィルスとは、ふつうの風邪ウィルス。
上気道炎も胃腸炎もおこす。
でもその生態は軽症ゆえに、あまり知られていない。
今回のアウトブレイク対応で大切なのは、
「ウィルスの生態・感染の拡がり方を詳しく観察し対策すること」なのではと思っている。

統計学的に観察しているページを探してみた。

これは世界の推移。
https://gisanddata.maps.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6

中国とクルーズ船以外で死者が多いのは、イラン・韓国・イタリア。
全国民を検査しているわけではないので、感染者数より、
死亡者数のほうが、流行の実態を示しているのかもしれない。

https://www.sbcloud.co.jp/entry/2020/02/20/COVID-19

これを見ると、中国の死亡者数はまだ増加中。

ウィルスが中国全土に広まって全体が免疫をもつか、
気温が上がってウィルス生存の適温ではなくなるか、
あるいは有効な治療薬が使われるようになるか、
でなければ、この蔓延速度は鈍らないと思われる。
中国では学校を休みにするなど、日本よりもっと国民の行動を規制しているはずなのに。

https://curlpingnosiawase.com/graph-of-changes-and-summary-of-latest-information-about-the-number-of-people-have-coronavirus-infections-by-country-and-prefecture-number-of-pcr-testers-and-percentage-of-positive
 
こちらを見ると、韓国ではすでに数万のPCR検査実施済みと言われているのに、
日本ではまだ一日1000件ほどの検査しかできていない。
そして、韓国、日本、イタリアではすでに流行期=市中感染症になっている可能性が。

今、近隣の保育園でノロが流行中。
外来の待合や診察室で吐いちゃう子も毎日のようにいる。
でも、スタッフで罹るものは少ない。

ノロウィルスはエンベロープを持たない小さいウィルスだからアルコールは効かない。
吐いたあとは皆で一斉に片付けてハイター消毒、しばらく全部の窓を開けて換気している。
ノロ予防には、手洗い・消毒そして換気が重要だってわかっているから。

同じ事がきっと今回の新型コロナでも何かあるはず。
まずはノロやインフルと同じような対応をするしかないんだけれど。

リンのことその他でなかなか創作に気持ちがシフトしない。
まあ、こういう時もあるよね。
今日もびよよよ〜〜ん (*^ __ ^*)
コメント (2)
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