かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

雲が好き

2016-06-20 20:30:50 | 日記

夏空の水平線の向こうにぽっかりとおむすびをいくつも並べたような南西諸島の雲が好きでなりません。飛行機の窓から眺める眼下の雲も飽かず眺めることができるし、最も記憶に残り、人生を変えたといっていい雲を見たのは、数年前、あの富士登山競争の練習に雨の富士山を夜通し登り、夜明け前に五合目に降り立ったとき北西の峰々から沸き立つ雲の峰です。疲労からか、湧く雲が、お一人お一人の菩薩様に見え、思わず手を合わせ涙がこぼれたのです。菩薩様は、現れてはいつの間にか形を変えて掻き消えましたが、その後すぐまた別の菩薩様が現れ始めたのです。その雲の周囲には、天上の音楽のような小鳥の声が、あるいはせせらぎの様に、あるいは笛のように、あるいは天女の奏でる琴のようにも聞こえたのでした。後で、調べたら、その声の持ち主は「ルリビタキ」であることが分かりましたが、雨ですっかり冷えたからだも忘れ、おいらは、あの五合目の砂礫の道に30分も立ちすくんでは、「色即是空、空即是色」という仏教の宇宙観を、少しは体得したのかもしれません。「形あるものは、じつは何でもなく、何でもないものは、じつは形になる。だから、ひとつにこだわることなく、時々の変化を意識しようぜ。」

そのような、ことをいつも教えてくれそうな「雲が好き。」

 

山頭火辞世の句 「もりもり盛り上がる雲に歩む」

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