かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

不条理と秩序

2017-03-10 18:24:07 | 日記

朝、書類をいじっていたら。朝日新聞2000年5月26日金曜日の朝刊、音楽評論家吉田秀和さんの「音楽展望」の切抜きが出てきた。「不条理と秩序」というテーマ。

この時代の吉田秀和さん、何を憂いていたんだろう。通り魔によって殺される人。電車の脱線によって命を落とす人。手術もできないような箇所に不治の病を発症した人。何で、私が被害に、災難にあわなければならないのかという不条理。

でも、裏返しに、何で私だけが、このように愛され、幸せなのか、という根拠のない出来事も不条理。世界は、空虚で何もない。

そんな考えにとり憑かれて、音楽を聴くための窓を開ける気力もなくなったのだという。秩序というものは、ありえない話なのか。

「モーツァルトも明るすぎ悲しすぎてとても聴かれない。」

そのような、こころの状態から救ってくれたのは、バッハの平均律。

「心が静まり、世界には何もないのかもしれないが、その空虚の中で空虚のままに一つの宇宙的秩序とでもいうべきものが存在しているのかもしれないという気がしてくる。」

「この音楽を聴きながら、蝋燭の炎のような澄んだ明かり、慰めか祈りの声、風通しがよく、爽やかな風が吹き通う、決して重苦しくはならない秩序の存在。」

(結びの言葉)

「不条理の中で生きるとはどういうことか。年とともにますますわからなくなった。ただ、「生きていればこそ、幸せにもなれたろうに」というトルストイの言葉《戦争と平和》に間違いはなかろうに。」

 

明日で、「あの日」から6年。オイラは、不条理に目をつぶって逃げてきたのだろうか。

名取市ゆりあげの日和山山頂に無残に風に吹かれていた「じゆうちょう」

りなちゃんは、今、どうしているのだろう。

 

 

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