森を歩けばきのうの森ではない。あしたの森でもない。ゆくとしの森でもなければくるとしの森でもない。
1日中、青葉の森には、ホトトギスくんたちがやってきていた。托卵相手のウグイスさんたちは、警戒を強めているようで気が荒い。
きょう1日、森を歩けば今日のおみやげが待っていてくれる。
今日のおみやげは、まず白い毛並みのカモシカに出会って、少し追いかけられたこと。
道を下っていくと、20メートルくらい先でおいしそうに低木の葉を食んでいる白い毛並みのカモシカに出会った。カモシカは♂♀ともツノがあって、おしっこのスタイルでしか雌雄を判別できないらしく、ここでは「シロちゃん」と呼んでおこう。こちらにきずいたみたいだが、気にもせず葉を食みだした。路の真ん中にいたので、ニアミスをさけるべく少し後ずさりしながら元の道を戻ろうとした。離れつつも気になるのでシロちゃんの動向を探ると、相手もこちらを見ていた。もうすこし離れると、なんとついてくるではないか。すこし足早に登り、「この辺だったらさすが、相手との距離をのばしたか・・」と少し安心して振り向くと、ギクッ!なんと7,8メートルの近くに登ってきてジーとこちらを見ている。そして余裕たっぷり、近くの葉っぱをまた食み出した!なんという、おっとりくん。
カモシカに襲われたなんて聞いたことはないが、さすがツノがある動物、興奮したら何をされるか分からんと、小心者のオイラは恐くなって、ザックに取り付けていたホイッスルを吹いてみた・・・・・が何と全く動じない!むしろ何やら興味を持って近づいてくる様子!
さすがに、焦って困ってしまい、オイラは両手を広げて「WAOOOOO~!」と声をあげてみたら、さすがシロちゃん危険を察ししたのか、森の中にそそくさと消えていった。
オイラは、毎日シロちゃんの縄張りを歩いている。去年、遠目に目撃したのもシロちゃんか。この先も、またどこかで出くわすかもしれないが、果たして怖いオノコとして覚えていてくれていて、おたがいに目と目が合えば距離をとろうとしてくれるのか、野生の気持ちは分からないことばかりだ。
なお、オイラは、八ヶ岳でも、ヒトを恐れず鷹揚に草を食んでいるカモシカくんと出会っている。(このブログの顔)。「特別天然記念物」に指定され保護されるようになる以前、どれだけ猟師の手にかかったのか、と想像する。
ツノの長さが違うシロちゃん。今度出会ったらすぐに判別できるだろう。
第二の贈り物。木の枝にさえずキビタキ君に出会った。撮影叶わなかったが、キビタキ語の「ピコリー・ピッコナイ・ピッコナイ」というリズムを体感したこと。
出会ったキビタキ君はすぐに、♀か対抗馬の♂君を追いかけて森に消えていった。もう、キビタキ君の声に迷いはないだろう。
そして、帰路の山路で、ことしはじめてサンコウチョウくん(♂)にであえたことが、第三の贈り物。カメラをアップしたがピントが合わないうちに飛び去って行った。頭の毛(冠羽)が逆立っていた。相手の♂に興奮するときにこのような髪になるのだという。ホイホイホイとけたたましく鳴いて森に消えて行って。一瞬の出来事だった。
ありがとう!今日という日の青葉の森さん!