かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

されどフィルムカメラ、思い出だけが美しいか・・・

2024-06-24 16:20:24 | 日記

ミドルエイジ以降のカメラ愛好家なら「ペンタックス」というカメラの愛称で呼ばれていたカメラを知らない人はあるまい。かつては旭光学工業という会社のカメラメーカーがつくるカメラだった。

とくに風景写真を目指した方なら「ペンタックス67」や「ペンタックス645」などの中版カメラに憧れたもんだ。昭和の終わりから平成の半ばまで、おいらは幾度となくこれらの機材(交換レンズまで含めて)購入を検討したが、山歩きには重いという理由のほか、新品で一揃い購入したら数十万はかかるだろうという、おもに経済的理由でついに手を出さなかった。あるいは、手を出していればほかの遊びをやめて、別の人生を歩んでいたかもしれないのだが・・

たとえば、90年代の半ばに知り合ったある団体の事務局長は、重たくて大きい「ペンタックス67」の愛好者で、日本全国の「滝」の写真撮影に熱を入れ、週末ともなるとあちこちの深山幽谷を歩き回っていたようだ、その疲労のためか、若くして脳卒中で命を落としたように・・

その「ペンタックス」が、いつのまにか「リコー」の傘下になっていたことは知らなかった。2001年の沖縄行き以降、おいらはやれマラソンだ、トライアスロンだ、トレイルランだ、富士登山だ・・など体育会系遊びにうつつを抜かしていたため、すっかりカメラ界の事情には興味を失っていたわけだ。

ついこないだの話だが、ネットのニュースで、「ペンタックス17」というリコーから発売されようとしているカメラが、「注文殺到のため新規予約を中止した。」との報道に接した。その時初めてペンタックスブランドがリコーのものになっていることを知ったわけだが、驚いたのはそのことではなく、その「ペンタックス17」という新製品は、今主流のデジタルカメラではなく、プロや一部のハイアマチュアを除いて、庶民にはすでに過去のものとなったと思っていたフィルムカメラなのであった。

発売価格は10万円で、昔よくあった35ミリフィルムを半分に分けて撮影できるようにした、ハーフサイズ専用のカメラのようだが、注文殺到って、いったい誰が買うんだろうと疑問を生じたが、どうやら今の若い女性を中心とした若者層みたいなのである。

フィルム購入→カメラに装てん→撮影→取り出し→カメラ店へ現像・プリントを注文→受け取り

というフィルムカメラの面倒くささをデジカメは省いてくれて、すぐに写りの出来不出来を確認できて、いいものだけを取り出してSNSなどに投稿という便利さがデジカメの流行りをもたらし、今や画質もコストもフィルムを凌駕する時代になったと思っていたのに、どうして今の若者はフィルムカメラに手を出したりするのだろう。

たしかに、柔らかな質感はフィルム固有のものであり魅力を感じるのも肯けるのだが。

だが、フィルムの値段が20年前の十倍ほどになった現代において、プラスの現像・プリント料などを含めると、もう贅沢はできない「年金不労者」には、フィルムカメラを手にすることはあるまいと、オイラは昨年までに、いくつかのフィルムカメラを売りに出して、残っているのはニコンF3くん(観賞用として)だけになってしまっている。

ただ、フィルムカメラを数万円で買ってくれるカメラ屋さんがあるということは、まだそれなりの需要があると思ってはいたが、まさか今さら新製品が出て、それが注文殺到になるなんて予想もしていなかった。

たしかに最近、街を歩くとおしゃれな若者が、首から往年のフィルムカメラをぶらさげているのを目にする機会があり、なにやら、そのスタイルがファッションのように見えていたのだが、今の若者がフィルムカメラの魅力に取りつかれ始めているとしたら、それはそれで大変興味深いなと思った。

リコーという会社は、「フィルムカメラプロジェクト」を立ち上げて、どうやら新しいフィルムカメラの需要を掘り起こそうとしているみたいで、すこし注目していきたい。

そして、そんなフィルムカメラが復活してきたら、オイラも家にあるF3くんを、もう1度フィールドに連れ出してみたくもなる。あのリバーシブルフィルムの名品「富士フィルム・ベルビア」(今は.もう1本3000円以上もしている・・)を装填してね。

ちなみに、今日しばらくぶりにF3くんを手にしたら、銀電池が切れているようで反応してくれなかった。まずは銀電池探してみようか・・売ってるかな・・・

 

 

ペンタックス17をめぐる報道

 

リコーのフィルムカメラプロジェクト

 

フィルムの価格現状(ヨドバシカメラ)

 

 

 

 

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