茄子の花;五月茄子の苗を植えると、太い紫黒色の茎を分枝させながら伸びてゆき、6月頃から、葉の脇に淡紫色の合弁花をつける。花は下向きに咲き、黄色い雄蕊がよく目立つ。開花期は長く、花は次々に咲き、順に実がなり、収穫。それが秋まで続く。「親の意見と茄子の花は千に一つも無駄がない」ということわざがあるほど、実がなる。●下向きの可憐な花の紫色はけなげで、しっとりとした味わいがあり、庶民の暮らしを詠んだ句が多い。「茄子咲いて越年の酒苦かりけり 佐藤鬼房」「うたたねの泪大事に茄子の花 飯島晴子」「停年の夫が佇む茄子の花 中村啓子」「茄子苗や童女も土をひとすくひ 和田祥子」「茄子の苗一天紺をうばひ立つ 有馬朗人」「茄子の苗灯台守にとどけけり 大串 章」(茄子の花に 朝の蜂沈みゆく ケイスケ)