シラネアオイ(アオイ科)花言葉は、優美。アオイ科の落葉低木で、初秋のころの朝、淡紅色の五弁花を開き夕方にはしぼむ。翌朝自生することもあるが、主として庭などに植えられる。酸美容は園芸品種で、花の色が朝は白いが、午後に紅を帯びる。「枝ぶりの日のごとにかはる芙蓉かな 芭 蕉」「日を帯びて芙蓉かたぶく恨みかな 蕪 村」「芙蓉さく朝一天に雲もなし 紫 暁」「反橋の小さく見ゆる芙蓉かな 夏目漱石」「物かげに芙蓉は花をしまいける 高浜虚子」「美しき芙蓉の虫を爪はじき 後藤夜半」「芙蓉咲く風の行方の観世音 桂 樟渓子」「おもかげのうするゝ芙蓉のひらきけり 安住 敦」「朝な梳く母の切髪花芙蓉 杉田久女」「やや水のやさしさもどる花芙蓉 能村登四郎」「白芙蓉朝も夕も同じ空 阿部みどり女」「呪ふ人は好きな人なり紅芙蓉 鷹羽狩行」「暮れてなほ空のみずいろ酔芙蓉 徳田千鶴子」「花びらを風にたゝまれ酔芙蓉 川崎展宏」「ゆめに見し人のおとろへ芙蓉咲く 久保田万太郎」「さやに咲く芙蓉の朝はたふとかり 五十崎吉郎」「哀感の常に酒あり酔芙蓉 福田蓼汀」「紅芙蓉けふの花をたためけり今日終わる 西山 誠」「芙蓉咲き誰にも言葉優しくす 塩谷はつ枝」「白根葵咲けりといふよ山彦も 水原秋桜子」「白根葵丘人の霊あそぶごとし 青柳志解解樹」「白根葵なほ暮れかねて雪浄し 大田泰樹」。シラネアオイはキンポウゲ科から独立し、「一科一属一種」の日本固有種である。花が美しいので古くから山草として栽培される。中部以北と北海道の行きの多い地帯の落葉樹林下に生える。高さ約20cm、地ぎわから出る葉は掌状で大型。6~7月、花は茎の先端に一個つき、径5~10cm、淡い青紫色、白色もある。花弁のように見えるのは萼片で、花弁はない。黄色の雄蕊が多数あり、目立つ花が終わると草丈60㎝ほどに伸びる。有名な歌人の詠まれた句が非常に多い。(夕日消えて岩にまぎれし紅葵 ケイスケ)