アヤメ(アヤメ科)花言葉は、神秘な人;よき便り。江戸時代に「あやめ」と「しょうぶ」と呼び若られるようになった。また花姿や開花期が似ているので杜若、花菖蒲などと混同されてきた。これを区別するには生えている場所である。水草の杜若は水の中、水陸どちらでも咲く花菖蒲は、水辺、あやめは陸草なので普通の畑地に生える。アヤメは草丈30~50cm、葉は剣状線形で巾1cm、杜若より葉巾が狭い。花菖蒲は中肋があるので区別できる。5月紫や白などの優美な花が咲く。外側の花弁は垂れ下がり、基部に黄と紫の編目があって虎班模様をなしている。これが「あやめ」の語源である。内側の花弁三個は細長く直立する。中国名「渓蒋」。「花あちゃやめ」は古名。「チャボあやめ」は古名。「ちゃぼあやめ」は小型品種である。◎花菖蒲や杜若特別するため、山路の様子など野趣を添えて描くと、あやめらしさが伝わるのではなかろうか「きる手元ふるひ見えけり花あやめ 其 角」「一人立ち一人かゞめるあやめかな 野村泊月」「寝る妹に衣うちかけぬ花あやめ 富田木多」「あやめ咲き雨読の父がよみがえる 平畑静塔」「結納にしばし間のあるあやめかな 川畑火川」「あやめ咲く野のかたむきに八ヶ岳 木村蕪城」「衣ぬぎし闇のあるあやめかな 桂 信子」「風筋立つ野あやめの二三本 星野麦丘人}「西行塚訪うて佇む野のあやめ 大塚敦子」「野あやめの咲く畦づたひ伊勢神楽 藤田湘子」「白あやめ逢魔が刻はそびえけり 八田木枯」「針仕舞ふ女のうしろあやめ咲く 福田甲子雄」「花あやめ一茎倒し逢いにゆく 宇多喜代子」「花と花間きびしき花あやめ 大井雅人」「あやめ咲く咲かぬも同じしずけさに 加藤瑠璃子」「手拭を噛めどあやめの濃く咲きぬ 鳴門名菜」「父の庭あやめ棒立ちしてをりぬ あぎ蓉子」「木曽殿の討たれしあたり花あやめ 岩本尚子」「晩節や紺潔きあやめの草 土持三郎」。(垣そとを川波ゆけり菖蒲草 ケイスケ)