「海の森」については「千年の森構想は今」(4月27日)で否定的に紹介しましたが、東京都は本日、アイルランドからボノさんを招き、実質的な起工式(植樹)を行ったようです。ボノさんはこの事業に非常に積極的で、歌を作るとも言っているとのことです。
環境対策に取り組む東京都は23日、アイルランドの人気ロックバンド「U2」のボノさんらを招き、27日と31日に植樹イベントを開催すると発表した。
都は東京湾に浮かぶごみ処分場に苗木を植え、緑の島に変える「海の森」事業を進め、環境保護活動に取り組むボノさんがこの事業に賛同したという。
27日はボノさんのほか、宇宙飛行士の毛利衛さんや小学生ら計約120人が参加する。31日はノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんも植樹する。
(共同通信社)
皆さんはU2のボノさんに関心がありますか。我が家にはボノさんがアフリカ開発会議に出席するために来日するということで、連日、横浜(?)方面に駆けつけている家族がいます。お陰でぼくも名前だけはよく知っているのですが、コンサートを聴いたこともないし、その社会的活動もキチンとは知らないのです。
アフリカだけではなく、この東京のことにまで協力するというのですから、この人のことを知りたくなりました。
そこで、ボノさんと「海の森」とがどこでつながったかを調べてみました。鍵はこの事業のデザイナーである安藤忠雄という建築家にありました。
今は東京都の副知事をしている猪瀬直樹さんと安藤さんの対話記事です。
「10年後の首都のあり方を考える」
(朝日ニュースター『日本のキーパーソン』07年10月27日放送)
(略)
○安藤● これからはエネルギーをできるだけ使わないような建築にならない
といけない。私いま渋谷の駅をやっているんです、東急の。地下30メートルで
す。
○猪瀬● 東横線がちょうど地下に入っていくんですね、駅をなくして。
○安藤● 東京メトロといっしょにするんです。
○猪瀬● 東急文化会館か、プラネタリウムのあった下ですよね。
○安藤● そうです。これは地下30メートルの駅まで自然光、自然の風が入っ
てくるんです。
○猪瀬● 風が流れてくるんですか。
○安藤● はい。風が流れますので、いわゆる強制排気をしなくて済むんです。
世界で初めての地下30メートルで強制排気をしなくてよい、自然で
やる駅です。これも含めて、住吉の長屋のときの中庭と考え方がつながってい
ると思うんです。
○猪瀬● 安藤忠雄、いよいよ渋谷に進出ですね。
○安藤● ははは、これはまた嫌がられますね(笑)。
○猪瀬● 若者の街であり、通勤の街でありいろいろな雑駁なものも全部吸収
する渋谷は流行の先端です。そこに安藤忠雄の思想が入ってくると
いうことは、僕はおもしろいと思うんです。それでここに『10年後の東京』と
いう冊子があります。東京湾から風が流れてくる。そこにいろいろな高層ビル
があってぶつかる。そこに風の回廊みたいなものをつくっていかないといけな
い。それであちこちに緑をつくっていくことがあります。
僕はこの間、参議院の議員宿舎をあんなものやめちまえと言いましたが、あ
そこも代々木公園からずっと明治神宮の外苑から皇居につながる風の回廊で、
あそこの清水谷公園は大事なんです。そこにへんな高層ビルの参議院の議員宿
舎なんかつくったらとんでもない話で。それはそれとして、緑の回廊を考えて
いくにあたって、ひとつは海の森公園があります。
○安藤● これは中央区にある100ヘクタール30万坪のゴミの山です。
○猪瀬● 場所は晴海、お台場とあって道路でつながっている海のほう。ここ
がゴミ捨て場というか廃棄物の処理したものが埋められているんで
す。それで丘になっている。それで全部緑にして。
○安藤● これを1000円募金で100万人くらい集めてやるときに、世界中に
ゴミの山がありますから、日本からゴミの山を緑の山にすることに
よってゴミを出さないでおこうという意識になるといいなと思いまして、あち
こちにお願いした。
○猪瀬● 小さいように見えるけど、じつは皇居くらいある。
○安藤● 明治神宮と皇居と同じくらいですよ。
○猪瀬● けっこうでっかい森になる。
○安藤● これをやっていたら、U2のボノという人がいまして、この人はロ
ックシンガーなんですが。
○猪瀬● ええ、有名ですよね。
○安藤● この人はいまアフリカのエイズと貧困の撲滅というのを、クリント
ン大統領とビルゲイツさんでしていまして、この人に海の森の応援
団やってくれませんかと頼みに行ったら、俺が応援団をやって「海の森」とい
うレコードをつくりたいと。
○猪瀬● レコードつくるって?
○安藤● 1000万枚売るんですよ、彼らは。それでシラク大統領に手紙を出し
たんですよ、海の森の応援団をやってくれませんかと。そうしたら、
その話は世界中にゴミがあるからこれからいちばん大事なんで、東京発世界と
いうのはおもしろいからというのでサインをいただきました。
○猪瀬● 東京都の条例がこの間の議会で通って、これ1口1000円で5万口か
な。
○安藤● 5億円ですから50万人ですね。
○猪瀬● みなさんというか一般市民や都民から集めようと。いいですよね、
みんなでつくっていくというか、税金じゃなくて。
○安藤● 1000円出して自分の森と思ってもらうために、出してもらった人の
名前を全部書いた本をつくって入り口あたりに置いておこうと考え
てます。
○猪瀬● 神社に寄付するみたいな感じだ。
○安藤● 講演会をすると、1000人いたら300人出します。この間ボノさん
がアイルランドで講演会をしましたら、3000人いて700人くれま
した。70万円です。
それでボノさんが自分も同じだけ寄付をしたいと言っておられますから14
0万円になるんです。それで私もそうしようと思って、私は各地で講演会して
講演料をもらいますから、募金したお金と同じだけ出していこうと思っていま
す。300人いたら30万円だから私も講演料から30万円出すようにしていけば、
けっこう集まるのではないか。やっぱり命懸けで思いをこめてやれと石原さん
に言われまして、やるならば思いをこめてやれと。
○猪瀬● シラク大統領は?
○安藤● シラク大統領は了解してくれて、今度日本に行くときはそういう講
演会をしてもよいと。ボノさんもボランティアで講演会をすると言
っておられます。ボノはものすごい熱心なんです、これに。私はいまたまたま、
ボノさんの家を設計しているんです。アイルランドのダブリンに。そういうこ
ともあって付き合いがありますので、彼はいま猛烈に頑張っています。私は東
京から世界中にないものを発信していく。東京はおもしろいことをやるなと。
それならオリンピックも可能性あるんじゃないかと世界中の人に感じてもらう
ためには、ビッグなおもしろいおじさんにボランティアで参加してもらう。
○猪瀬● 夢が出てきますね。
○安藤● これは私はいいと思うんです。
○猪瀬● そうですね。結局ゴミの山ですから。この話おもしろいんだけど、
実際に緑がだんだん増えていく。じつは『10年後の東京』で、小学
校の校庭をみんな芝生にしようとしています。それと並木を徹底的につくって
いく。
○安藤● 電柱も地中化しようと言っておられます。これもすごい画期的なこ
となんです。
○猪瀬● そういう方向で行けばよいのだけど、CO2の量がその計画を上回
る速度で進んでいますから。なんとか安藤さんの思想でやっていた
だきたいと思います。これから緑を増やしていくことと安藤さんの生き方みた
いなものも、若い人が学んでいくというか形で見せていくことが必要だと思う
んです。渋谷という若者の集まるところで、外から風が入ってくるというよう
な。これは目でわかるんですか。
○安藤● わかるんです。
○猪瀬● 外は見えるんですか。
○安藤● はい。地下30メートルありますが。東京都というのは自然換気でや
るとか、おもしろい都市東京と、ゴミを緑にするとかいろいろなこ
とを重ね合って、たとえば渋谷の駅ひとつからだけでも世界に発信することに
なれば、若い人たちも自分たちの考えたことが形になるということを学んでい
ただくと、僕の生き方もちょっとくらいは役に立つのではないかと思います。
(以下略)
この対談の全文を読むには次の青文字をクリックしてください。
http://archive.mag2.com/0000064584/20071115150951000.html
渋谷駅のことは初耳です。まもなく開通する地下鉄副都心線がやがて東急東横線に乗り入れるようになり、川越から乗り換えなしで中華街に行ける日が来るとは聞いていたのですが。「海の森」についてはどう考えたらいいのでしょうか。推進する東京都の関係者が夢を語るのは解りますが、ぼくが知る限りは「千年の森構想」とはかけははれた新たな公園づくりに過ぎないように見えます。関心がある方はこの計画をよく調べて是非とも御意見を寄せてください。ボノさんの考えも聞かせて貰いたいと思っています。
いま、東京新聞のサイトを開くとボノさんが植樹する様子が動画で見られます。
環境対策に取り組む東京都は23日、アイルランドの人気ロックバンド「U2」のボノさんらを招き、27日と31日に植樹イベントを開催すると発表した。
都は東京湾に浮かぶごみ処分場に苗木を植え、緑の島に変える「海の森」事業を進め、環境保護活動に取り組むボノさんがこの事業に賛同したという。
27日はボノさんのほか、宇宙飛行士の毛利衛さんや小学生ら計約120人が参加する。31日はノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんも植樹する。
(共同通信社)
皆さんはU2のボノさんに関心がありますか。我が家にはボノさんがアフリカ開発会議に出席するために来日するということで、連日、横浜(?)方面に駆けつけている家族がいます。お陰でぼくも名前だけはよく知っているのですが、コンサートを聴いたこともないし、その社会的活動もキチンとは知らないのです。
アフリカだけではなく、この東京のことにまで協力するというのですから、この人のことを知りたくなりました。
そこで、ボノさんと「海の森」とがどこでつながったかを調べてみました。鍵はこの事業のデザイナーである安藤忠雄という建築家にありました。
今は東京都の副知事をしている猪瀬直樹さんと安藤さんの対話記事です。
「10年後の首都のあり方を考える」
(朝日ニュースター『日本のキーパーソン』07年10月27日放送)
(略)
○安藤● これからはエネルギーをできるだけ使わないような建築にならない
といけない。私いま渋谷の駅をやっているんです、東急の。地下30メートルで
す。
○猪瀬● 東横線がちょうど地下に入っていくんですね、駅をなくして。
○安藤● 東京メトロといっしょにするんです。
○猪瀬● 東急文化会館か、プラネタリウムのあった下ですよね。
○安藤● そうです。これは地下30メートルの駅まで自然光、自然の風が入っ
てくるんです。
○猪瀬● 風が流れてくるんですか。
○安藤● はい。風が流れますので、いわゆる強制排気をしなくて済むんです。
世界で初めての地下30メートルで強制排気をしなくてよい、自然で
やる駅です。これも含めて、住吉の長屋のときの中庭と考え方がつながってい
ると思うんです。
○猪瀬● 安藤忠雄、いよいよ渋谷に進出ですね。
○安藤● ははは、これはまた嫌がられますね(笑)。
○猪瀬● 若者の街であり、通勤の街でありいろいろな雑駁なものも全部吸収
する渋谷は流行の先端です。そこに安藤忠雄の思想が入ってくると
いうことは、僕はおもしろいと思うんです。それでここに『10年後の東京』と
いう冊子があります。東京湾から風が流れてくる。そこにいろいろな高層ビル
があってぶつかる。そこに風の回廊みたいなものをつくっていかないといけな
い。それであちこちに緑をつくっていくことがあります。
僕はこの間、参議院の議員宿舎をあんなものやめちまえと言いましたが、あ
そこも代々木公園からずっと明治神宮の外苑から皇居につながる風の回廊で、
あそこの清水谷公園は大事なんです。そこにへんな高層ビルの参議院の議員宿
舎なんかつくったらとんでもない話で。それはそれとして、緑の回廊を考えて
いくにあたって、ひとつは海の森公園があります。
○安藤● これは中央区にある100ヘクタール30万坪のゴミの山です。
○猪瀬● 場所は晴海、お台場とあって道路でつながっている海のほう。ここ
がゴミ捨て場というか廃棄物の処理したものが埋められているんで
す。それで丘になっている。それで全部緑にして。
○安藤● これを1000円募金で100万人くらい集めてやるときに、世界中に
ゴミの山がありますから、日本からゴミの山を緑の山にすることに
よってゴミを出さないでおこうという意識になるといいなと思いまして、あち
こちにお願いした。
○猪瀬● 小さいように見えるけど、じつは皇居くらいある。
○安藤● 明治神宮と皇居と同じくらいですよ。
○猪瀬● けっこうでっかい森になる。
○安藤● これをやっていたら、U2のボノという人がいまして、この人はロ
ックシンガーなんですが。
○猪瀬● ええ、有名ですよね。
○安藤● この人はいまアフリカのエイズと貧困の撲滅というのを、クリント
ン大統領とビルゲイツさんでしていまして、この人に海の森の応援
団やってくれませんかと頼みに行ったら、俺が応援団をやって「海の森」とい
うレコードをつくりたいと。
○猪瀬● レコードつくるって?
○安藤● 1000万枚売るんですよ、彼らは。それでシラク大統領に手紙を出し
たんですよ、海の森の応援団をやってくれませんかと。そうしたら、
その話は世界中にゴミがあるからこれからいちばん大事なんで、東京発世界と
いうのはおもしろいからというのでサインをいただきました。
○猪瀬● 東京都の条例がこの間の議会で通って、これ1口1000円で5万口か
な。
○安藤● 5億円ですから50万人ですね。
○猪瀬● みなさんというか一般市民や都民から集めようと。いいですよね、
みんなでつくっていくというか、税金じゃなくて。
○安藤● 1000円出して自分の森と思ってもらうために、出してもらった人の
名前を全部書いた本をつくって入り口あたりに置いておこうと考え
てます。
○猪瀬● 神社に寄付するみたいな感じだ。
○安藤● 講演会をすると、1000人いたら300人出します。この間ボノさん
がアイルランドで講演会をしましたら、3000人いて700人くれま
した。70万円です。
それでボノさんが自分も同じだけ寄付をしたいと言っておられますから14
0万円になるんです。それで私もそうしようと思って、私は各地で講演会して
講演料をもらいますから、募金したお金と同じだけ出していこうと思っていま
す。300人いたら30万円だから私も講演料から30万円出すようにしていけば、
けっこう集まるのではないか。やっぱり命懸けで思いをこめてやれと石原さん
に言われまして、やるならば思いをこめてやれと。
○猪瀬● シラク大統領は?
○安藤● シラク大統領は了解してくれて、今度日本に行くときはそういう講
演会をしてもよいと。ボノさんもボランティアで講演会をすると言
っておられます。ボノはものすごい熱心なんです、これに。私はいまたまたま、
ボノさんの家を設計しているんです。アイルランドのダブリンに。そういうこ
ともあって付き合いがありますので、彼はいま猛烈に頑張っています。私は東
京から世界中にないものを発信していく。東京はおもしろいことをやるなと。
それならオリンピックも可能性あるんじゃないかと世界中の人に感じてもらう
ためには、ビッグなおもしろいおじさんにボランティアで参加してもらう。
○猪瀬● 夢が出てきますね。
○安藤● これは私はいいと思うんです。
○猪瀬● そうですね。結局ゴミの山ですから。この話おもしろいんだけど、
実際に緑がだんだん増えていく。じつは『10年後の東京』で、小学
校の校庭をみんな芝生にしようとしています。それと並木を徹底的につくって
いく。
○安藤● 電柱も地中化しようと言っておられます。これもすごい画期的なこ
となんです。
○猪瀬● そういう方向で行けばよいのだけど、CO2の量がその計画を上回
る速度で進んでいますから。なんとか安藤さんの思想でやっていた
だきたいと思います。これから緑を増やしていくことと安藤さんの生き方みた
いなものも、若い人が学んでいくというか形で見せていくことが必要だと思う
んです。渋谷という若者の集まるところで、外から風が入ってくるというよう
な。これは目でわかるんですか。
○安藤● わかるんです。
○猪瀬● 外は見えるんですか。
○安藤● はい。地下30メートルありますが。東京都というのは自然換気でや
るとか、おもしろい都市東京と、ゴミを緑にするとかいろいろなこ
とを重ね合って、たとえば渋谷の駅ひとつからだけでも世界に発信することに
なれば、若い人たちも自分たちの考えたことが形になるということを学んでい
ただくと、僕の生き方もちょっとくらいは役に立つのではないかと思います。
(以下略)
この対談の全文を読むには次の青文字をクリックしてください。
http://archive.mag2.com/0000064584/20071115150951000.html
渋谷駅のことは初耳です。まもなく開通する地下鉄副都心線がやがて東急東横線に乗り入れるようになり、川越から乗り換えなしで中華街に行ける日が来るとは聞いていたのですが。「海の森」についてはどう考えたらいいのでしょうか。推進する東京都の関係者が夢を語るのは解りますが、ぼくが知る限りは「千年の森構想」とはかけははれた新たな公園づくりに過ぎないように見えます。関心がある方はこの計画をよく調べて是非とも御意見を寄せてください。ボノさんの考えも聞かせて貰いたいと思っています。
いま、東京新聞のサイトを開くとボノさんが植樹する様子が動画で見られます。
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