渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

映画『ウルフ・オブ・ウォー』(2015)

2024年08月06日 | open
 


全編戦闘シーン。
ハリウッド顔負けのカメラ。
時々、中国映画特有のギャグ
お涙頂戴が入るが、本作
かなり面白い。
特殊部隊物というより、一人
のスナイパー兵士と同胞を描
いた作品。
ただ、中国兵は生物兵器を製
造密売する中国人黒幕が
雇っ
た元ネイビーシール
ズ出身者
で編成した傭兵たち
に次々と
倒される。
しかし、多勢に無勢、中国領
内に侵入した傭兵部隊も次々
に倒されて行く。
彼らが中国領土内に侵入した
目的は、悪の黒幕の弟を狙撃
て殺害した主人公を中国軍
演習地で演習に紛れて抹殺
事だった。そして、隠
したウイルス兵器を搬出す
る事。
だが、超絶戦闘能力の高い主
人公は、中国人民解放軍特殊
隊「戦狼」の一員として
兵たちと戦う。
何度も危機を乗り越えて。
 
最初から最後まで戦闘シーン
の本作、物凄く金をかけてい
る。
当然、中国軍全面協力だろう。
戦闘シーンもリアルだ。
唯一、地雷を踏んでから足を
離さず処理する例の嘘以外は。
現実は地雷は踏んだら即爆発
する。映画によくあるのは映
像的な虚構だ。実際には瞬時
に爆発するので損害が出る。
手榴弾のような遅延式スイッ
の地雷はほぼ存在しない。
(らしい。聞きかじりだ)
空爆以外では地雷とスナイパ
ーという森林戦場で一番脅
となる敵と戦う主人公。
だが、彼もまた優秀なスナイ
パーなのであった。

森林での戦闘シーンは殆
どサバゲ状態に近い。
実際に演習の時は模擬ペ
イント弾で青軍と赤軍に
分かれて中国軍は訓練し
ていた。
そこに傭兵部隊が侵入し
て実弾配備されて実戦と
なった。
最後に、国境まで逃げ切
ろうとした傭兵は草原に
出る。
これも日本のサバゲフィ
ールドのような地形だ。


これはまるで日本のサバゲ
フィールドそのもの。
 






敵はしぶとく被弾しながら
も逃げる。
この場面も、サバゲに激似
のシチュエーションだ。
ここで撃ち合ったら、ゲー

ムではほぼ同時ヒットで両
方ともヒットアウト退場に
なるが、映画はそうならな
い。


ストーリーを楽しむよりも
映像そのもののアクション
シーンを楽しむ作品だ。
だが、チャチな点がほぼ無
く、存分に楽しめる作品に
仕上がっている。
岸部史郎のような麻薬王の
悪役が無表情でかなりよい
演技。
主人公は、カンフー映画の
主人公のようなキャラクタ
だ。
ただ、やたらと同志愛や同

胞愛、家族愛を場面に差し
込むのは中国ならではか。
だが、本作は「ハリウッド
映画」と言われても納得す
る程の出来に仕上がってい
る。

中国がこのような映画を撮
れるというのは、もう中国
は40年前の全員人民服で自
転車乗っていた中国とは違
うのだなぁと思える。
なお、軍の装備は全て西側
の戦闘服や銃器(中国オリジ
ナル95-1式等)を参考にして
装備大改編をしている。これ
は現実でもそう。
ヘリの国籍マークさえも、
ただの星ではなく、米軍の
帯付きを模倣して星の両脇
に帯のマーク。
それが妙にカッチョイイ。
真似して本家以上の物を作
るのは日本のお家芸だった
が、中国もかなりやる。





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