仲間内でのマスツーの時や、見知
らぬ人と道行きが一緒になった時
でも、二台以上で走行する際には
互い違いのいわゆる「千鳥走行」
で直線区間は走る。
これは、前走者が転倒やトラブル
があった時の追突を避けるためだ。
二輪の乗り屋はこれをごく自然に
危険回避運転として実行する。
意識はするが、もう無意識のうち
にサッとラインを変えて千鳥に
取る。まるで全員の意思が統一
された行動のように。
その動きは見ていて美しい。
前走者の位置取りによって後続
車がラインをスッと淀みなく
変更するのだ。
こうしたフォーメーションは集団
走行時における一つの協和の軌跡
で、美しくかつ走っていて面白い。
ラインの位置取りを適宜瞬時に
都度変更するのだが、それは二輪
に完全に「乗れて」いないと困難
を伴う。息が合うと10台だろうが
20台だろうが、そうした適宜順当
位置取り変更はスムーズに行なわ
れ、ガチャガチャとする事はない。
そして乗れている連中はまるで
白バイの複数走行のように車間
距離が近いが、事故は起こさない。
ただし、コーナリングでは一直線
になるのがセオリーだ。
これも暗黙の了解のうちに。
むしろ旋回過程では千鳥は危ない。
一直線だと前走者が転倒しても
交互隊列なので後続車は避けら
れるが、旋回中に千鳥だと後ろ
から転倒車が前に激突とかもす
る可能性があるからだ。
旋回中に一直線ならば前走者が
転倒したらアウトに逃げていく
だけだ。二次事故は防げる。
こうした事はすべて物理的な現象
を乗り手がどう対処するかという
事に基づいている。
二輪の乗り屋は、そうした事を
重ねて事故を未然に回避してい
る。