ケン坊のこんな感じ。
キーボーディスト、川村ケンのブログです。




今日は終戦の日ですね。アメリカでは「対日戦勝記念日(Victory over Japan day)」と言うそうです。名前はとにかく、双方に、また世界中にとんでもない犠牲を出した戦争を考える日であることには間違いないようです。

僕の祖父は、父方、母方共にかの大戦で、実際に戦地で戦った経験を持つ、戦争体験者でした。

一緒に暮らしたことのある母方の、いつもは温和だった祖父が、その時は電話でかつての上官と話をしていたのでしょうか、「ハッ!ハッ!」と直立不動で受話器を握っていた姿を見たことを、薄っすらとだけ覚えています。生前、もっと色々聴いておけば良かった、と悔やまれますが、もはやそれは適わないのです。祖父はあの頃、一体どんな体験をしたんだろうか。

先日、「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」という映画を見ました。日本人であるのに、ハリウッドのアメリカ人の作った映画で硫黄島のことを知り、こうして考えさせられているというのも、考えてみれば何だか皮肉な話でもありますが、とにかく、これはどちらも一見の価値のある映画でした。特に「硫黄島~」での、アメリカ兵が日本人捕虜を殺害するシーンの挿入などに至っては、他のアメリカ製戦争映画とは一線を画す、イーストウッド監督のヒューマニズムと、負の歴史に対する真摯で公平な目と姿勢を強く感じました。

ただ、これは「映画」ですから、史実を元にしてるとは言え、フィクションです。調べていくうち、僕はテレビで放送された約80分のドキュメンタリー番組「『鎮魂 硫黄島』 ~硫黄島で散った勇士たちの霊に捧ぐ」というのがあるのを知り、補完として、今日YouTubeで観ました。

これは特に、この映画を観られた方には是非ご覧になることをお勧めしたいです。映画にも登場した人物の、実際の素顔の一面や、生還者の方のインタビューなどが見れます。これを観ると、現実の戦いは映画で描かれていたよりも遥かに悲惨で壮絶であったことも、よくわかります(こちら)。

「硫黄島の戦い」は、終戦の半年ほど前に、ここに本土戦略の為の拠点を作ろうとするアメリカ軍からの、言ってみれば守りの戦いでした(硫黄島は東京都です。大きさは世田谷区ほどだそうです。)。当初「5日で占領する予定だった」、というアメリカ側の思惑に反し、36日間もの間、日本側にはろくに水も食料もない地獄のような環境で戦った、酷い戦いでした(アメリカ軍にしても、同じように酷い戦いだったのですが)。

色々調べてみると「一日でも長く抵抗し、島を守ることで、本土への攻撃を少しでも遅らせる」ための、ハナから勝ち目は無い、時間稼ぎの戦いであったと言えるようです(とても悲しいことですが)。なぜなら、戦局も悪化している時とはいえ、作戦途中で早々に支援も打ち切られていますし、大本営(戦時中の日本の、最高統帥機関です)からは事実上「玉砕せよ」との命令が下っていたようですから。「玉砕」とは、決して降伏することなく、最後まで戦い抜いて、潔く死ぬ、ことです(神風特攻隊の突撃も、こういった独特の精神の元、断行された恐ろしい作戦でした)。

大艦隊を控えたアメリカ側に対して、支援が無ければ、日本側はほどなく弾も尽きます。なので、戦えなくなり、「捕まるくらいなら」と手榴弾を抱えて自決(自爆、自殺)した方も沢山いたようです。また普通はありえないことらしいですが、指揮官クラスの人までもが、ふんどしひとつで、日本刀で戦車に切り込んでいったと言います。これをサムライ・スピリットなどというには、あまりにも悲しい光景だったことでしょう。

長い戦いの末、結果的には、アメリカ軍の勝利。戦いの後、一人のアメリカ人兵士が、土に埋めていた日記帳を取りに戻って、そのまま崖から身を投げたそうです。その兵士は、一体何を見たのでしょうか。何を考えたのでしょうか。

今日ドキュメンタリーを観て、ちょっとやそっとでは書ききれないほど、色々と考えさせられました。沢山の貴重なお話、言葉で溢れていましたが、番組冒頭で当時を知る元軍人さんが、「実は、硫黄島で実際に戦った兵隊さんというのは、お百姓さん、魚屋さん、八百屋さん、会社員の方達といった、どちらかと言えば体の弱い、普通の人達だったんです。職業軍人なんかじゃなかったんです。」と語っていたのが印象的でした。そうだ、今の僕達の生活は、そういった「すぐ隣の人達」の犠牲の上にあるんだよな、と。

「戦争のことなんて考えるの、難しそうだし、めんどくさい。」、「毎日の自分のことで、忙しいんだよ。」「今さら、そんな古い話持ち出さなくても。」・・・もしかしたら、こんなご意見もどこかにあるかと思います。でもね、もし戦争で亡くなった方達がそんな言葉を聞いたら・・・さぞかし悲しむことでしょう。「・・・俺達は、お前達の為に、戦ったんだけどな。」って。

あるニュース記事で読んだのですが、街で戦争について訊いたら、「戦争?別にいいんじゃない、やったって。だって、もしやられたらやり返さなきゃ。その時は、しょうがないでしょ。」と言って笑った若者がいたそうです。

「おいおい、ちょっとそこへ座りなさい。」という気持ちになりますが、やっぱり鬱陶しがられるのでしょうかね。でも、どうしても座らせて、ちょいと話をしなくちゃいかんな、なんていう気持ちなんですよね、今日の僕は特に。

戦争は、どんな理由があれ、もう二度とやっちゃいかんのです!と、とにかく書いてみる、終戦の日。

ではー。



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