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二年ほど前だったでしょうか、カーラジオでFMをつけていた時に、たまたまこの映画のことを知りました。主役の二人の、プロモーション来日でのラジオ出演だったんだと思います
。
僕は聞くともなしに聞いていたので、そこで流された曲が「聞き心地の良い曲だなぁ」ってなんとなく思ったくらいでした。聞き役の女性アナウンサーがやたらと「素晴らしいですよねー」と興奮して何度も褒めているのが変に気になってしまい、逆にちょっと引き気味だったくらいです。
そして、映画のことは、忘れてしまっていました。
この正月に実家に帰った際、母親に「ねぇ、あなた『ONCE』って映画は観た?」と訊かれ、「ワンス?・・・知らないなぁ。どんな映画
?」と答えた位です。
話を聞くうちに、「あ、アイルランドかどっかのストリートミュージシャンの映画でしょ?なんかそれラジオで知った気がする。」と思い当たり、「あれ、そんなに良かったの?」と訊くと、
「素晴らしい映画だった」
と言うのです。
口コミが一番効果がある宣伝手段である、というのは、やはり変わらないようです。
そして今からですとちょっと前になりますが、レンタルショップでDVDを借りてきて、デッキにかけました。なんの情報も予備知識も無しに観てみました。1時間半に満たない、短めの映画でした。
・・・映画の本編が終わって、エンドロールになっても、ソファから立ち上がれず。
お恥ずかしながら、涙でぐしょぐしょでした。しかし、決して悲しい涙ではなく。
切なくて、愛おしくて、・・・愛おしくて、・・・愛おしくて。
この映画はミュージカルではありませんが、劇中、沢山の曲が流れます。歌われます。
音楽を仕事にしているというのが理由になるかわかりませんが、僕はたぶんミュージカル映画とか、音楽映画だから、といって真っ先に飛びつく事はないんです。仲間のミュージシャンと話していても、よくそんな話になるんですが、「むしろ音楽映画はねぇ」と、ちょっと一歩引いているって仲間も結構多いんですよ(勿論、人によると思います)。音楽が題材なだけに、逆になんとなく・・・っていう気持ち、分かっていただけますでしょうか。
でもね、好きな音楽映画は沢山あります。
その中でも、この映画は、僕は個人的に三本指に入れたいです。ってか、今の気持ち的にはトップでもいいくらい。
本当に素晴らしかったです。そして、誰にでもお勧めできる映画・・・というか、観ていただきたい映画です。
音楽が大好きなあなたには、是非とも
。
その夜のうちに、このCDをポチしていました。アマゾンだしすぐに届くかと思いきや、どうも海外盤を購入してしまった様で、到着まで二週間ほどかかりました。そして、やっと手元に。
映画の公式サイト「ONCE ダブリンの街角で」。
アマゾンのDVD販売ページ(←ユーザーレビューをご参考にしていただけたら、と。ただし、一部映画の内容に触れたレビューががあります)。
何もかもが愛おしい映画ですが、とくに、音楽が、・・・とにかく素晴らしい。歌詞もね。
何度泣かされたことか
。
・・・じつは、翌日もまた見てしまって、またボロボロ泣いて
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(←二度目に余計に泣くタイプ(笑))。
そして、どなたかが、
「メロディーのパターンはもう全て出尽くしたと言われているが、まだメロディーにはこんなにも新しい可能性がある、ということを証明している」、
というような事を書いておられました。
そして、そんな曲たちのコードを拾ってみると本当に実にシンプルで、ここでまたビックリなんです。
本当にね、スリーコードに毛の生えた位って言ってもいいくらい、・・・もっと分かりやすく言えば、楽器を触ったことのない人が、初めて楽器を手にしたその日の内に弾けてしまう様な簡単なコードだけで作られている曲が、多いんです。
もう目から、いや、耳から、インドマグロ・・・いや、マッコウクジラ級の驚きですよ
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。
映画で歌われている楽曲が、2007年度のアカデミー歌曲賞を獲ったのですが、その「Falling Slowly」という曲はですね、とっても素晴らしいメロディーの曲なのですが、なんとコードをたったの4つしか使っていないのです。
C、F、G、とAmだけで出来ているんです。ピアノで言えば、白い鍵盤しか使わないし、コードの勉強を始めた初日に習うようなシンプルなコードだけで作られているんですよ。
つまり、それだけでも、アカデミー賞を獲れてしまうような、世界中の人の心を揺さぶり動かすメロディーが作れてしまう
、ということなんですね(・・・いえ勿論、歌詞、声、歌い方、等という様々な要素も絡み合ってのこと。それは百も承知の上として、ですが)。
とにかくこちらの映画、未見の方は、是非とも次の一本にどうぞ。自信を持ってお勧めします
。
そして僕は今、このCDをかけてるだけで、映画のシーンが思い出されて泣けてくる、という状態であります。
なのでここ数日、慢性的に目が赤いのであります
。
・・・ち、ちがいますって、慢性的に酔ってるんじゃないですって
(笑)。
ではー。