東京を離れて、ご主人の故郷である雪深い旧K町で34年を過ごしたY子さん、一人暮らしになって24年の生活、昨年の12月23日、83年の生涯を閉じ、過日、本人の強い願いどおり、ご主人が眠る、山裾の墓地で再会。
ご長男自作のご挨拶状で紹介された、Y子さんが晩年に読んだ数首の短歌には、
雪を心の友達と呼び、雪解けを待って咲く「かたくり」に身近な幸せを感じ、毎年、増える蛍を楽しむなど、この地をこよなく愛した心情や、いずれの日か、住み家となるご主人が眠る山裾の墓で会うときは、良い話を持って行きたいと、ほのぼのした、夫婦愛を感じさせる。
短歌のほか、日本舞踊,書道、和裁、編み物など嗜む才女である、Y子さんだが、日ごろの話題では、さらりと触れるだけ、また、長いこと携わった裁判所調停委員としての仕事は、自身にとって貴重な体験だったと良く言っていた。
塀がない屋敷の入り口には、ご主人が好きだった大きなケヤキが一本、ご主人への思いをこめて植えられた24歳のケヤキ、会う度に語ってくれたY子さん、今は、ご主人と積もる話で、お休みする時間もないかも。