「坂東玉三郎~歌舞伎座立女形への道~」(中川右介)読了。
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![](http://hbb.afl.rakuten.co.jp/hgb/?pc=http%3a%2f%2fthumbnail.image.rakuten.co.jp%2f%400_mall%2fbook%2fcabinet%2f3449%2f34498170.jpg%3f_ex%3d128x128&m=http%3a%2f%2fthumbnail.image.rakuten.co.jp%2f%400_mall%2fbook%2fcabinet%2f3449%2f34498170.jpg%3f_ex%3d80x80)
内容としては、筆者が玉三郎の舞台を見ての感想・論評、というよりは、
梨園の御曹司ではない玉三郎が
周囲に見出され、本人の力も相まって
歌舞伎座で立女形に位置付けられるまでの経緯を、
様々な書籍や論評などを元に描いていく、というもの。
筆者の他の本は読んでいないのだが、
おそらくこのあたりの「二次資料」を元にストーリーを紡いでいくのが
この筆者のスタンスなのだろう。
玉三郎の役の推移や観客の声等を知るには良い本ではあるが、
芸術性・新しさがストレートに描かれた書籍だと
純粋に思ってこの本を買うと裏切られるかも知れない。
さらに言えば、この本は玉三郎の芸よりも、
歌右衛門の「権力」「政治」への傾倒を描き、
場合によっては指弾するのがメインになっているように思う。
個人的には、タイトルに「歌右衛門」の文字があって然るべきと感じる。
また、その歌右衛門の言動についても、
どこまで事実でどこから想像かはぼやかされており、
一部は曲解では、と感じるところもある。
政治力のためか、三姫を始めとした大役はずっとやっていたとは言え、
晩年の歌右衛門が綺麗だとは私も思えない。
その歌右衛門の価値を論じる書籍は巷に溢れているので、
この本は(運動論として)「アンチ・歌右衛門」のスタンスで書かれているのだろう。
ただそれにしても、玉三郎と歌右衛門に共通・通底する部分への言及は少ないし、
芸について書かれている部分は、もっと詳細に書かれた適切な本なり劇評なりがある。
この本を読んでも、玉三郎の芸質について理解が深まるとは思えないなあ。
陰謀論・スキャンダルとして読むには面白い本だろう。
あと、誤字誤植が散見され、興醒め。
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内容としては、筆者が玉三郎の舞台を見ての感想・論評、というよりは、
梨園の御曹司ではない玉三郎が
周囲に見出され、本人の力も相まって
歌舞伎座で立女形に位置付けられるまでの経緯を、
様々な書籍や論評などを元に描いていく、というもの。
筆者の他の本は読んでいないのだが、
おそらくこのあたりの「二次資料」を元にストーリーを紡いでいくのが
この筆者のスタンスなのだろう。
玉三郎の役の推移や観客の声等を知るには良い本ではあるが、
芸術性・新しさがストレートに描かれた書籍だと
純粋に思ってこの本を買うと裏切られるかも知れない。
さらに言えば、この本は玉三郎の芸よりも、
歌右衛門の「権力」「政治」への傾倒を描き、
場合によっては指弾するのがメインになっているように思う。
個人的には、タイトルに「歌右衛門」の文字があって然るべきと感じる。
また、その歌右衛門の言動についても、
どこまで事実でどこから想像かはぼやかされており、
一部は曲解では、と感じるところもある。
政治力のためか、三姫を始めとした大役はずっとやっていたとは言え、
晩年の歌右衛門が綺麗だとは私も思えない。
その歌右衛門の価値を論じる書籍は巷に溢れているので、
この本は(運動論として)「アンチ・歌右衛門」のスタンスで書かれているのだろう。
ただそれにしても、玉三郎と歌右衛門に共通・通底する部分への言及は少ないし、
芸について書かれている部分は、もっと詳細に書かれた適切な本なり劇評なりがある。
この本を読んでも、玉三郎の芸質について理解が深まるとは思えないなあ。
陰謀論・スキャンダルとして読むには面白い本だろう。
あと、誤字誤植が散見され、興醒め。