もう
何年経っただろうか
ムスメの
ピアノの先生
でもあり
ワタシの
尊友とでも
云える
年上の友人から
お借りしていた
木目が美しい
ピアノ
カノジョが
最初に
お父さまから
買ってもらった
想い出であり
原点でもある
逸品
ムスメの進路も
決まり
ピアノからも
遠ざかり
失礼ながら
調度品と
なってしまっていたなか
次なる
生徒さんのお宅へと
受け渡すコトが
決まった
調律は
していただいても
日々
奏でないと
住まない家みたいに
活気が
無くなってしまうから
良かったのかもしれない
いざ
喪うと想うと
いろんなコトが
想い出される
坂井理華さんの
作陶展の度に
偉大なる
ピアニストたちに
弾いてもらっては
拍手の嵐を
呼び起こしたっけ
ワタシの誕生日には
まだ
習い始めた
ばかりの
ムスメが
ヨレヨレの
ハッピーバースデートゥーユー
を
弾き語りしてくれて
遠吠えの
記憶を
思い出してか
つられて
ワンコも
何故か
調子っ外れに
唄い出しては
みんなで
驚きながら
笑ったっけ
きっと
ピアノも
なんらか
ワタシたちに
縁を
感じていてくれたかな
内心
ホッとしてるのかな
手際よく
運び出された跡には
たくさんの
ホコリやら
ワンコのオモチャやら
出てきて
可笑しいけれど
ちょっとだけ
泣けた
残されたモノで
価値をはかるのも
おかしいけれど
何処か
家族の一員みたい
だったなぁ
リビングの顔に
なっていたもんね
感謝を込めて
掃除をして
ぽっかり空いた
其処に
ワンコの
ケージを
お引越ししてみた
急に
2代目リビングの顔に
任命された
ケージが
真新しく見えて
ワンコと
顔を見合わせて
可笑しくなった
けれど
やっぱり
ちょっとだけ
泣けた