この本は、百田 尚樹という作家が、平成24年7月に発刊し、ボクが買ったのは
今年の5月で24版という売れ筋の本だ。
上下2冊の単行本になっている。 1冊500ページほどもあるので、
読み応えがある。昨年の【本屋大賞】に選ばれた。
名前は変えてあるが、実態は出光興産初代創業社長、出光 佐三 の伝記ものの感がある。
商売人とはどういうものか、どう生きていくものなのか、じっくりと教えてくれる。
ボクも銀行から出向して、小売業に従事したことがないわけでないが、
明治生まれの神戸商大卒の若者が、国内だけでなく、統治領の中国、
特に満州鉄道に商品を売り込む凄まじい行動力等には凄惨さまで感じる。
読んでいても、社長の意思の強さ、変身の早さ、決断の重みなどが
じわじわと伝わってくる作品だ。
去年、ボクの一番の本だった【終わらざる夏】に次ぐほどのレベルの高い本である。
人間、こんな風にして人生を過ごせるものなら本望だろう。
ボクなんか、安易に生きてきたのが、グサっと胸に突き刺さる感じだ。
グサっと胸に突き刺さって、多いに反省するべきところなのだが、反省は猿でもできる
とのこと。この歳になって、今までの人生を全否定されたような衝撃を
感じるのだ。
私たちにとって、すでに経済・軍事大国になった中国と、連綿と続いてきた
朝鮮王朝と現在の状況を教えてくれる歴史本としても価値ある作品だ。
それにしても、東京証券所がなんとしても上場を待ち望んでいるのは
この出光興産とサントリーだったという。隠蔽性と秘密主義、社長の独裁
などは、共通しているのだろう。閉鎖的で中身がよくわからない。
ただ、出光は2006年東証に上場、創業家は経営から一切、手を引いた。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます