久しぶりの推理小説だった。
しかも、かなり古い時代(1985年以降の舞台設定)、
文庫本としては2001年初版の物語だ。
ただTVドラマにもなったし、薄っすらと聞き覚えがあって、
親近感から買い求めたのだった。
(あらすじはwiki pediaからお借りしました)
杉田平介は自動車部品メーカーで働く39歳。
妻・直子と11歳の娘・藻奈美との3人で暮らしていた。
1985年冬、直子の実家に行くために、直子と藻奈美の2人が乗ったスキーバスが
崖から転落してしまう。直子と藻奈美は病院に運ばれたものの、
直子は死亡してしまい、藻奈美は一時は回復不能といわれたにもかかわらず、
奇跡的に助かる。しかしそれは、仮死状態になった娘・藻奈美の身体に、
死んでしまった妻・直子の魂が宿っていたのだった。
藻奈美の身体に宿った直子に、平介は戸惑いながらも周囲には
決してバレないように生活する。
やがて月日はたち、娘の身体に宿った妻との生活に、次第に心のずれが生じてくる。
そして直子は、医学部を目指して進学校とされる高校を受験し、見事合格する。
奇妙な二人の生活が限界を迎えたある日、
長らく消えていた藻奈美の意識が再びあらわれる……。
時代が古いので、携帯やスマホの時代に住む我々には、ちょっと
ピンとこない部分もあるが、殺人モノの推理小説と違って、
妻や娘の心情を細かく分析した手法は、さすが東野 圭吾だなと感じさせる。
もともと現実にはあり得ない設定なので、安心して読めた。