はりぶろぐ

鍼灸師のブログです。東京都国分寺市にて孔和堂鍼灸院を開業しています。
http://kouwado.com

基本を学び直す

2020-12-27 21:53:34 | 鍼灸

今月上旬、弟子仲間とオンラインでの勉強会をしました。

夏に引き続き、実際に会う事が難しい状況が続いているため、今回で2回目のオンラインとなりました。

前回からの状況の変化を伝え合い、悩みを相談し合ったりと、こうした集まりを持つことの大切さを実感しました。

 

今回は私のリクエストで、各自が普段よく読む書籍について教えてもらいました。

その中で出てきた一冊が、『ツボ単』です。


カバーを外したデザインが素敵です。
 
『ツボ単』は2011年に刊行されている本で、存在は知っていたものの、ツボに関する本はすでに数冊持っていたので購入するまでに至っていませんでした。しかし今回話をする中でかなり充実した内容である事が分かったので、今更ですが購入しました。
 
ツボ=経穴は東洋医学独自の概念ですが、どの筋肉上にあるのか、どの神経が関わっているのか、西洋医学的な面からもしっかり理解しておく必要があります。鍼灸学生の時は国家資格試験対策として必須な事もあり、ひたすら暗記してしっかりと頭に入っていましたが、臨床するうちによく使う経穴以外は忘れていってしまうのが実状です…
忘れた時が本当の卒業とも言われる、と、学生時代に先輩から聞いていたことをふと思い出したりしますが、経穴は鍼灸師として基本中の基本。より正確に経穴を探り当てる事で治療の精度も上がるので、慢心せず日々弛まず学び続ける事が必要です。
 
今月は仕事も手作り関係も忙しいので、まだ少ししか読めていませんが、思っていた以上に分かりやすく復習に役立ちそうです。連休に入ったらじっくり読みたいと思います。
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内出血へのお灸

2020-11-26 21:57:49 | 鍼灸

先日、自宅で朝食の準備をしている時に左手小指を勢いよく物にぶつけ、爪のところが内出血しました。

ぶつけた直後は触らなくてもジンジンする感覚で、爪を少し圧迫すると鋭い痛みがありました。
こういう時にもお灸は効くので、その日治療院に着いてすぐにお灸(台座灸)をすえました。

お灸の熱とともに爪の部位が拍動する感覚がして、間接灸なのにかなり強めの熱さを感じました。
15分ほどその感覚が続きましたが、その後は次第に和らぎ、圧迫した時の痛みも軽減していました。

翌日の爪。内出血の色が明るく薄めに変わっています。強めに圧迫した時の痛みも随分減りました。

2回目のお灸。台座灸はしっかり張り付くので、爪にも簡単にくっついてくれて便利です。


お灸の1時間後の状態。より薄く、範囲は広がっています。


翌々日、内出血の範囲はほぼ変わりませんが、痛みは強く圧迫してもほとんどなくなっていました。念のため3回目のお灸をしました。

大きな変化はありませんが、つけ根の辺りの鬱血したような色が解消されています。
 
 
内出血ができた時にするお灸の方法としては他にもありますが、今回は患者さんの参考になればと台座灸を使用しました。目に見えて効果が分かりますし、痛みの改善が早まるのは助かります。内出血は8日間でほとんどなくなりました。
 
お灸は様々な症状に対応できるので、一家に一箱常備しておくと本当に便利です。
とっさの時に「お灸しよう!」と思い付くには慣れが必要かもしれませんが、ぜひ日常生活に取り入れて頂けるといいなと思います。
 
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変化を察知できる身体づくり

2020-11-18 21:29:00 | 鍼灸

鍼灸治療によって得られる効果は様々なものがあります。本来持っている体の機能が存分に働くようになる、というのもその一つです。

初めて治療を受ける方の中には、体が冷えていると仰る方がいます。また、気温の変化に体がついていかないと訴える方も多いです。
これらの症状に限ったことではありませんが、身体の不調は大きく分けて以下の要因で起こりやすくなります。
①身体のどこかで気や血のめぐりが滞っている。
②体質的もしくは一時的に気や血の量が不足している。
①②ともストレスが原因で生じますし、過労や過緊張などによっても生じます。
 
鍼灸治療を受け続けると気や血のめぐりが改善し、気と血が身体に見合った量に調整されます。すると、気候の変化にきちんと対応できる身体になります。
身体が強く丈夫になる、というよりも、個人的には気温の変化や身体の冷えに敏感になるといった感じです。
 
気温や天候の変化を察知できるようなることで、早めに対応ができて風邪などを未然に防ぐことができ、同時に、今自分がどのくらい疲れているのかを察知できるようになります。「消化に良いものを食べるようにしよう」「とにかく早めに寝よう」等、疲労がたまり過ぎないうちに対応することが可能になります。
 
ご自身の身体が本来持っている力を生かせるようになりたい方には、ぜひ継続して鍼灸治療を受けることをおすすめしたいです。
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鍼灸治療で心身の緊張を緩める

2020-10-11 19:59:57 | 鍼灸

今年の4月以降、しばらくは新規の患者さんからの予約が入ることが少なくなっていましたが、8月に入る頃から問い合わせや予約が増えてきました。これまで当院はご紹介による新規の患者さんが多かったのですが、ここ2ヶ月はHPを見たという方がほとんどで、すでに鍼灸治療の経験がある方が多いです。通院していた治療院が遠くて移動が心配になり、近くで鍼灸院を探していたという方。鍼灸整骨院で試しに受けてみたことがあるけれど、全身治療は受けたことがないという方。数年ぶりに鍼灸治療を受けてみたくなった方。事情は様々ですが、皆さんに共通していることがあります。それは心身共に緊張状態にあるということ。睡眠の質の低下、疲労感が抜けない、持病の悪化、息苦しさ等、共通点が多く見られます。

その原因として、あらゆる場面で気を遣うようになったことがあるように思います。緊急事態宣言解除後も一人一人が感染対策に気を配る日々が続いていますが、いつこの状況が終わるのかが見えない中で日に日に経済活動は活発になっています。人が移動する機会が増えたことで、さらに気を配らなければならない場面も増えていると思います。

常に緊張状態を強いられた心身がさすがに悲鳴をあげ始めたのではないでしょうか。

新たに来院された患者さんの話の中によく登場するのが、「自律神経」という言葉。私たちの身体は、意志とは関係なく自律神経である交感神経と副交感神経の調整がなされています。日中活動時には交感神経が、夜の就寝時には副交感神経が働いています。それぞれの役割があり、バランスよく切り替わっているのが理想的な状態です。しかし、過度なストレスなどで緊張状態が続くと、交感神経から副交感神経に切り替わりづらくなり、疲れが取れなくなったり睡眠不足になってしまいます。また、自粛を徹底することで自宅から出る機会が減ると、昼間も横になって眠ってしまい副交感神経が優位の状態が続いて、身体を動かす気力がなくなったりします。

鍼灸治療はこの自律神経の調整をするのが得意です。交感神経優位で緊張状態にある場合はそれを緩め、逆に活動しなければいけない時にもぼーっとしてしまうような場合は程よい緊張感で動けるようにする効果があります。ネットでもそのような説明がされているサイトがあるようなので、現在新規の方からの問い合わせが多いのも、その効果を求めて鍼灸治療を受けようと思い付いた方が少なくはないのかなと思われます。

鍼灸治療で自律神経の調整をする際に、このツボでなくてはいけない、ということはありません。確かに特に効果が高いとされるツボはありますが、その時の体調に合わせてより最適なツボを探し、それを組み合わせて用いることが大切です。どのツボも効果があるとも言え、効果を得られるかどうかは私たち鍼灸師にかかっています。不安定な状況の中で深刻な症状を抱えている患者さんは、たくさんある治療院のHPを見比べて選択されています。当院を選んでくださった患者さんの症状を少しでも改善できるよう、感染防止対策に引き続き気を付けつつ責任を持って治療に臨みたいと、以前にも増して思うようになりました。

 

ちなみに、この状況下で疲労を感じるのは治療する側の鍼灸師も例外ではありません。私の場合は夫も鍼灸師の資格を持っているため、いざという時に治療をお願いできるのでとても助かっています。お互い頻繁に治療をすることはできませんが、時々受けるのでもかなり身体が楽になることを実感します。この休みに久しぶりに治療してもらいましたが、自覚のなかった部位のツボにも疲れの反応が出ていたようです。新規の患者さんの治療はより気力を遣うので、自分が感じているよりも心身が緊張していたのだと判りました。

 

これからインフルエンザなど風邪が流行する季節を迎えます。今年は皆さんマスクと手指消毒を徹底されているので、例年よりも感染者が少なくなることを願いつつ、自分自身の体調管理に一層気を配りながら過ごしたいと思います。

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絵本「はらのなかのはらっぱで」

2020-06-28 12:37:45 | 鍼灸

古来、病の原因は虫によるものと考えていた時代がありました。

虫について書かれた書物の中でも、とびきりユニークで親しみやすく書かれているのが、「針聞書(はりききがき)」という書物です。

永禄11(1568)年、摂津の国に住んでいた茨木元行という人物によって書かれたとされています。針の打ち方、人体解剖図、病気の原因と考えられた想像上の虫の姿が描かれ、その虫の特徴と治療に有効な漢方薬などが記されています。
九州国立博物館に所蔵されているので、詳しくはこちらのサイトをご覧ください。
 
まだ九州国立博物館行ったことがないのでいつか実際に見てみたいとは思いますが、ひとまず手元にある絵本と書籍で楽しんでいます。
特にこの絵本「はらのなかのはらっぱで」は腹の中にいて病の原因とされている虫たちが、ちょっぴり不気味だけれどかわいい姿で描かれていてお気に入りの一冊です。
冒頭の写真はカバー写真、下の写真はカバーをとった本体の写真ですが、どちらもとてもかわいいです。
裏表紙には五臓六腑のイラストが描かれています。
私たち鍼灸師にはお馴染みの絵で、個人的には現代医学の解剖図よりもしっくりくる感じで好きです。
 
九州国立博物館のサイトに虫たちについて掲載されているので、こちらをご覧ください。
 
私は鍼灸学生時代に肝虫に一目惚れしましたが、絵本のどこかにみなさんにとってのお好みの虫がきっといるはずです。ちなみに当院の患者さんで小3の女の子にこの絵本を読んでもらったところ、肺虫が一番かわいいとのことでした。


この絵本なら東洋医学の知識がなくても十分楽しめますし、読んでいるうちになんとなく東洋医学の世界観が分かってくるかもしれません。入手困難な時期がありましたが、現在九州国立博物館のオンラインショップで購入可能のようです。
 
来院予定で試しに読んでみたい方は、ぜひお声かけくださいね。
 
 
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オンラインで勉強会

2020-06-10 20:43:06 | 鍼灸

昨年から始めた、鍼灸師の弟子仲間による症例検討会。3回目となる今回はオンラインでの開催となりました。

初めての試みであることと、オンライン上では多少タイムラグが生じて対面よりも会話しづらいことを考慮して、事前にテーマを3つ決めました。また本来であれば症例検討会として互いの臨床の話をする場ですが、今回は新型コロナウイルスに関することに絞りました。
 
まずは、今回の新型コロナウイルス感染拡大下で困ったこと、大変だったことを話しました。
来院される患者さんの減少はみな共通。特に4月は3〜4割減で新規の患者さんはほぼいない状況でした。往診においても自らが媒介とならないよう余分に上着を羽織って移動するなど、これまでにはない気配りが必要だったようです。
 
次に、感染防止対策として行ったことを報告し合いました。
鍼灸師として普段から手指消毒には気を遣っていますが、より徹底して行なう、室内の換気や消毒も十分に行なう、患者さんへの説明をこれまで以上に行なう、といった内容でした。
東洋医学が西洋医学と異なることの一つに、病気にならないよう養生するという概念があります。このような状況なので、初めて鍼灸を受けてみようと思う人はまずいないと思います。まだ東洋医学を知らない人たちにも良いところを知ってもらい、病気に罹りにくい身体作りの一環として鍼灸治療に親しみを感じてもらえるようになったらいいなとも思います。
 
 
最後に、鍼灸師として何ができるかを話し合いました。大事ではあるけれど漠然としたテーマでもあり、はっきりと結論が出たわけではありません。これだという正解があるわけでもないので、それぞれが日々の臨床の中で見つけて実践していく中で自ずと答えが出てくるのかなと思いました。
 
次回はみんなで集まれる状況になっていることを願いつつ、会を終了しました。
 
 
 
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開院9周年を迎えて

2020-06-02 21:35:57 | 鍼灸

今日6月2日で開院9周年を迎えました。

昨年・一昨年は記事を書くのを忘れましたが、今年は忘れることなく迎えることができて良かったです。
 
この一年でこんなに世の中が大きく変わることになるとは、一年前には思ってもみませんでした。
新型コロナウイルスのもたらした影響はあらゆることに及んでいます。緊急事態宣言が解除されて少しほっとしているところはあるものの、油断できない状況はこの先も続くと思われます。
 
このような状況下で鍼灸師として何ができるのか、診療を続けるかどうかを含めて葛藤しながら考える日々でした。自分の治療が東洋医学の持つ力を生かせられているといえるものなのかどうかも自問自答しました。
東洋医学は経験医学といわれています。基本となる概念を元に、先人たちが創意工夫を重ねて現代まで受け継がれている医学です。もし眉唾物だったとしたら、人々から信頼されることなく歴史上のどこかで消えてしまっていたと思います。自然環境や社会状況の変化に応じて変わってきた部分はありますが、根本的なところは変わっていません。その変わらない部分とは、人体を局所ではなく全体で診るということ。どんな症状であっても、外面的なことも内面的なこともその人の全てを診て、原因を探り治療方法を見つけ出すことができる。東洋医学の素晴らしい点であり、強みでもあります。
 
師匠をはじめとする何十年と臨床経験を積まれている先輩方にはまだ遠く及びませんが、及ばないところを認め、真摯に鍼灸と向き合うことで、確実に一歩一歩進めるようになってきたとは思います。
 
10年目もさらに精進して、少しでも患者さんへの治療に還元できるようにがんばります。
7月末には新店舗への移転が決まりました。そろそろ準備を始めるところです。
どうぞ今後ともよろしくお願いします!
 
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症例検討会と針供養

2019-12-09 22:50:00 | 鍼灸
今年から、弟子仲間と一緒に症例検討会を始めました。
鍼灸は流派が様々あり、学会や勉強会もたくさんあります。経験豊富な先輩鍼灸師から学ぶ形の勉強会が多いのですが、経験年数が同じくらいの鍼灸師同士が集まって勉強することもあります。

東洋医学は「陰陽」と「五行」という2つの概念を組み合わせています。この概念は紀元前後2,3世紀頃に体系化され始め、先代たちの経験に基づいて築き上げられたものです。そのため、治療方法を経験豊富な先輩から学ぶことはとても重要です。
私もようやく鍼灸師として丸10年。まだ経験不足は否めませんが、師匠から学んだことへの感謝の思いを込めて、更に学びと実践を深めていくためにも、共に師匠の元で学んだ弟子の集まりを企画するに至りました。

第1回目は6月に開催。まずはお試しということで、それぞれが日々の臨床で悩んでいる症例を持ち寄り、お互いの考えを述べ合いました。とても有意義な時間を過ごせて大満足でしたが、途中師匠への想いを語りすぎるところもあり、より勉強会らしくなるよう工夫し、今回2回目を開催しました。

どの症例も他人事と思えなくて、みんな同じような悩みを感じるものなのだと改めて実感。それぞれの症例に対し、各自で意見を出し合いました。自分1人では思いつかなかった考え方もあり、これからの臨床に役立てられる気付きがたくさんありました。
治療院で患者さんと一対一で向き合い続けていると、知らないうちに独りよがりになって、そのこと自体に気付けないまま視野が狭くなる危険性があります。このような機会を持つことで、患者さんにもより良い治療を受けていただけるようになれたらと思います。


この会の当日、12月8日は針供養の日とされています。2月8日にも行われたり、両日行うところもあるようです。今回、せっかくみんなが集まった機会なので、ささやかながらお豆腐に鍼を刺して感謝の気持ちを込めてお祈りしました。






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開院8周年を迎えて

2019-08-04 08:45:00 | 鍼灸
今年の6月で開院8周年を迎えました。
昨年も開院日を過ぎて気付いたのですが、今年はそれ以上にすっかり忘れていました😓

最初は国分寺南口、殿ヶ谷戸庭園のそばで開業しました。環境は気に入っていたのですが、駅から緩やかな坂道が続くため、足腰の症状を抱える患者さんには負担をかけてしまっていました。
より良い物件を探し続けて、ようやく見つかったのが、駅からほぼ平坦な道の現在の建物です。
この8月末で、国分寺北口に移転して3年。大家さんから許可を頂き、内装は初めてのDIYに挑戦したのが随分前のことのように感じます。

国分寺に限ったことではありませんが、年々治療院の数は増え続けています。国家資格保有者の数が増え続けているから当然のことではありますが、たくさんの選択肢がある中で当院を選んでくださった患者さんのおかげで、鍼灸師として働き続けることができています。
本当にありがたいことです。


東洋医学の良いところの一つは、具体的な病気や症状があってもなくても対応できること。
病院に行くほどではないかな?と悩んでいる症状や、病院に行ったけれど特に問題ないと診断された症状がある方には、東洋医学が身体を元気にする第一歩となる可能性があります。
具体的な症状や慢性疾患を抱えて病院に通っている方には、東洋医学を併用することで相乗効果が生まれる場合もあります。


当院は看板も特になくやっているので、ご紹介以外ではネットで見つけて頂くしかない環境にあります。
たまたまHPやブログを見つけていただいて、予約を検討して実際に当院に足を運んくださるのを待つ立場ではありますが、まずは気軽に小さなことでもご相談頂けると嬉しいです。

少しでも親しみを感じてもらえる鍼灸院になれるよう、9年目もさらにがんばります!
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弟来院、その後2

2019-06-06 21:35:58 | 鍼灸
先日、久しぶりに弟が来院しました。
 
2015年に頚椎ヘルニアを発症してから時々治療に来ていたのですが、前回来たのは一年以上前。そろそろ症状が悪化しているのではと思っていたところ、痛みがひどいから診てほしいと電話がありました。
(治療開始直後はこちら、その後の様子はこちらをご覧ください)
 
今回は頚よりも背中に強く痛みを感じているようで、思い当たる節はあるかと聞いたら、2日間ほぼ同じ姿勢でテレビを観続けていたとのこと。
それまでは割と調子が良く、油断していたとも言っていました。だから、せめて半年に1回くらいは治療を続けるようにと言ったのに・・・とつい小言を言ってしまいましたが、調子が良くなると治療間隔が空きがちになるのは何も弟に限ったことではありません。(男性には結構いらっしゃいます。)
身内を患者として診ていて難しさを感じるのは、こうした時についついきつく言ってしまうことと、患者である側も、まあ何とかしてくれるでしょ、みたいなゆるい感じになりがちになるところです。アドバイスをしても右から左といったことはしょっちゅうです。
 
いろいろ言いたいことはありましたが、プロとしてまず治療に専念することに。
背中に症状が出ている時は、たいていお腹側にも何らかの反応が出ていることが多く、弟の場合も筋肉が全体的に硬く緊張している状態でした。背中側の筋肉は肩甲骨の間から少し下にかけての緊張が強く、自覚症状としては深いところにコリがあるという感じでした。
弟は子どもの頃から猫背気味になることが多かったという記憶があり、今回、テレビを観ていた時の姿勢も同じような感じだったのかもしれません。
鍼の刺激に弱いタイプなので、できる限り少ないツボで改善するよう意識して治療しました。
結果としては、こちらの予想していた以上に痛みが取れ、本人もスッキリしたようでした。背中の痛みが緩和されたことで、これまで背中の痛みで隠されていた頚の違和感が出て来ました。そこで、翌週もう一度来院してもらうことにしました。
 
 
翌週来院した時点では背中の痛みはほとんどなく、頚は緊張した状態でした。
頚の症状が主訴ではありますが、生まれつき胃腸が弱い体質を考慮して、温める治療を中心に行いました。
これを機に半年に1回治療を受けることと、自分でできるメンテナンスとしてお灸をすすめました。面倒くさがるかなと思いましたが、案外あっさりと、お灸してみる、とお灸を買って帰りました。
 
自宅でお灸をすえるというのは根気も必要ですが、少しずつでも続けてくれたらいいなと思います。
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素直なカラダ

2019-05-12 23:39:00 | 鍼灸
昨年、鍼灸師の友人にすすめられて、『素直なカラダ』という漫画を買いました。
 
東洋医学の世界に興味を持ってくれている患者さんたちにおすすめしたり、待合室でご家族を待っている方に読んでもらったりしています。読んだ方からは分かりやすくて面白いと好評です。
 
作家の東野柚子さんは、漫画家であり鍼灸師。
作品の舞台である盛岡のご出身だそうです。
東洋医学の基本的な考えをしっかり踏まえつつ、親しみのある物語で鍼灸治療の魅力が描かれています。
 
この漫画に登場する患者さんたちは、鍼灸治療院においてよくみられる症状を抱えています。
各症状の特徴を捉えて分かりやすく表現されていて、東洋医学についての説明も所々に描かれており、とても読みやすい作品となっています。
一口に鍼灸治療といってもさまざまな治療方法があるので、鍼灸の持つ世界観をどう表現するか、考えるのが大変だったのではないかと思います。
鍼灸治療を受けたことのある人はまだまだ少ないのが実情。興味はあるけどやっぱり抵抗がある、といった方も多いようですが、この漫画は鍼灸治療っていいかも、と思わせてくれるきっかけになると思います。
 
 
これは私の考えですが、本のタイトルになっている通り、本来身体というものは「素直」であることが理想だと思います。
仏教用語に「身心一如(しんじんいちにょ)」とありますが、東洋医学においても、身体と心の状態は切り離せない1つのものという概念があります。
身体と心の状態が一致した状態は「素直」といえます。身体が辛い時にはそれに応じた反応がツボに現れるし、身体が元気な時にはツボに反応はありません。
ストレスを感じて体調がわるくなったり、低気圧の影響で頭痛が出たり、状況に応じて変化するのが「素直」な身体です。初めは日常生活に大きく影響が出ていても、治療と養生を続けることで速かに症状や体質が改善することが多いです。
無理しすぎるのが当たり前の生活になっている方は、疲れのサインすら身体に現れづらくなっている場合があります。それは身体が「素直」でなくなっている状態で、治療しても効果が出るまでに時間がかかることが多いです。
 
すぐに体調を崩しがちな方はそれを気にして落ち込んでることもありますが、「素直」な体であることにまず自信を持っていただきたいです。
 
 
現代医学の進化により救われる命が増えて治せる病気も増えましたが、病院に行くほどではないけれど気になる症状を感じている方は、この漫画を読んで東洋医学における診断と治療の世界をのぞいてみてください。
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猛暑と冷房

2018-07-23 21:57:31 | 鍼灸
異例の早さで梅雨が明け、その後は急激に猛暑に。
ここ数年、異常気象が続いていますが、これほどまでの温度変化に身体が対応できる人は少ないと思われます。

昨年から来院されている20代女性の患者さん。
最初に来院されたのは、定期的に行っている運動中の怪我がきっかけでした。当院に来院される女性の患者さんは冷えを自覚されている方が多いのですが、この患者さんはそのようなことはなく(と言っても隠れ冷え性タイプですが)、体力も十分にあり、いつも元気な印象でした。

先日その患者さんが、会社の席替えで冷房の風が直接当たる場所になり冷えて寒くて仕方がなかった、と話してくれました。
膝掛けなどで対応したものの、たった1日で身体が冷え切って辛くて仕方なかったそうです。
すぐに上司に相談し、冷房の風よけを設置してもらえたそうで、風の直撃は2日間ですみました。
それまでは、冷房で身体が冷えて辛いという人の話を聞いてもピンとこなかったそうですが、この件があってから初めて「このことか」と納得できたようでした。
ちなみに、それまでその席に座っていたのも女性で、寒いのを我慢をしていたそうです。
会社は大勢の人がいて、室温の調整は特に難しいと思いますが、可能な限り相談して環境を変えることは大切だと感じました。


体力が十分にあり、冷えとは無関係に見える人でも、実は身体のどこかに冷えが潜んでいることはよくあります。
この患者さんの場合は、自覚はなかったもののお腹と足が冷えていることが多かったので、対処法を伝えていました。また、体質と冷えへの意識が随分変わってきたため、以前よりも身体を冷やす事柄に敏感になってきています。
冷え性なんて私には関係ない、と言っていた方が冷えが分かるようになると、こちらとしては一安心。
他の患者さんから「鍼灸治療を受けるようになってから冷え性になっちゃった」と笑顔で言われたこともありますが、身体のセンサーが正しく働くようになった証拠、良かった!と嬉しくなります。

あと数日で、猛暑のピークはとりあえず過ぎるとの予想ですが、果たしてどうなるやら。
昼夜問わず冷房なしとはいかない日が続きそうなので、なるべく直接冷たい風が当たらないよう気をつけたいもの。
今回の夏は快適に室温を調整したとしても、外気温との差がかなり大きくなります。
加えて冷たい飲み物を摂ると、胃腸はびっくりして働きが低下してしまいます。
つい冷たいものに手が伸びてしまいがちですが、この猛暑だからこそ、時々は常温や温かい飲み物で水分補給を心がけたいものです。
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次の予約の取り方について

2018-05-13 22:01:50 | 鍼灸
患者さんから、
「どのくらい治療を続ければいいですか?」
「次はいつ予約を取ればいいですか?」
「治療は続けなければいけないものですか?」
と聞かれることがよくあります。

鍼灸治療がどのくらい必要なのかは体質や症状によって異なります。また、鍼灸師によって見立てや治療方法が異なるため、治療回数や受ける頻度の説明も異なります。

当院の場合、どのような症状で来られたとしても体質改善を目的とした施術を重視しています。ぎっくり腰や寝違えのような急性の症状でも、1回のみの治療で終了することはほとんどありません。初回の治療を含めて、できれば2,3回続けて治療を受けて頂くことをおすすめしております。
そうすることで体質を改善するための基礎を作ることができますし、同じような症状を繰り返す可能性が低くなると考えているからです。

根本的に身体を調えたいという方には、1ヶ月〜1ヶ月半くらいの間に2,3回続けて治療を受けられそうなタイミングで予約を取ることをおすすめしています。最初の治療をしっかり受ければ、その後は治療間隔が空いても体調が安定する期間が長くなります。
当院では3,4週に1回治療を受け続ける方が多いのですが、もちろん、症状がなくなれば治療は終了ということになります。

時間が取れなくて次の予約が取りづらい場合もあると思いますが、体質が変わるには時間がかかります。気長に、ご自身のペースで治療を継続していただけたらと思います。
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ギックリ腰はうつるのか

2018-01-21 09:22:36 | 鍼灸
先日、患者さんからギックリ腰になったとの連絡がありました。
連絡の前日に知り合いの方がギックリ腰になっているのを見てビックリし、自分もなったらどうしようと怖くなっていたそうです。連絡当日の朝、起きたら腰に痛みが走り、「ギックリ腰がうつったみたいです」とのこと。

ギックリ腰はうつるのか…現代医学的には考えにくいです。
東洋医学的にはどうか?
うつる、という言葉は適切ではないですが、つながりがない訳ではないと思います。

東洋医学には五行という概念があり、様々なものが5つに分類されています。
五季というカテゴリーでは季節が分類されており、「春・夏・長夏・秋・冬」の5つに分かれています。
五臓というカテゴリーでは臓器が分類されており、「肝・心・脾・肺・腎」の5つに分かれています。
五季の「冬」は五臓の「腎」と深い関わりがあります。「腎」は寒さに影響を受けやすいので、身体を冷やさないように気を付ける必要があります。

また、五志というカテゴリーでは感情や性格が分類されており、「怒・喜・思・悲(憂)・恐(驚)」の5つに分かれています。
五蔵の「腎」は五志の「恐(驚)」と深い関わりがあります。

そして、臓器と身体の各部位も深い関わりがあります。「腰」は「腎」と関係があります。


この患者さんの場合、数十年前に1ヶ月以上身動きが取れないほどのひどいギックリ腰になった経験をされています。
その出来事の印象が未だ強いことを踏まえた上で、今回のギックリ腰について考えてみると、
・「腎」に影響の出やすい「冬」であること
・知り合いがギックリ腰になったのを見て“驚いた”こと
・自分もギックリ腰になったらどうしようと“怖く”なったこと

以上のことが重なり、ギックリ腰が発生しやすい状況になったのではないかと思われます。
「冬」という季節の影響だけではなく、心の状態も身体に影響すると東洋医学では考えます。


現在、患者さんの症状は回復に向かっています。
一度強烈な痛み感じると、脳はしっかり記憶します。
またギックリ腰になったらどうしようという思いは出来る限り振り払ってもらい、再発防止のお役に立てたらと思います。
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6年ぶりの見学で感じたこと

2017-09-04 23:28:30 | 鍼灸
私は2008年8月から3年間、師匠の治療院見学で学ばせて頂きました。
今年の8月で師匠の元を離れて6年。当時一緒に学んでいた弟子仲間と、6年ぶりに見学をすることになり、先日行ってきました。

久しぶりの見学は本当に嬉しくて、程良い緊張感を持ちながら見学しました。
勉強会で目にする師匠の治療と、ご自身の治療院での治療。どちらも鍼灸治療の醍醐味を知ることのできる貴重な機会ですが、私は後者の方がより好きです。
それは患者さんへの接し方に、師匠のお人柄が現われているからです。
今回来られた患者さん方も症状は様々。メンテナンスに通っている方もいれば、難しい症状を抱えている方もいました。
一人一人に対して最善な方法を探りながら治療される姿は以前と変わっておらず、さりげなく優しい言葉をかけられるのもそのままでした。

基本に忠実に一つのツボを丁寧に扱う。そして患者さんへの程よい気遣い。
この6年の間に、もしかしたら師匠は私には理解できないほど高みに上り詰められているかも、という考えは全く筋違いでした。常に基本を大切に、真摯に患者さんと向き合われていました。
臨床50年を迎えられてもなおそれを徹底して行っていることに、強く感じるものがありました。

私もそんな師匠の優しさに触れてきましたが、中でも印象に残っている事があります。
6年前の2011年、あと数ヶ月で師匠の元での勉強が終わるという頃に、自宅兼治療院が可能な物件が見つかりました。
物件が見つかった勢いで開業したものの、勢いだけではうまくいかず、予想以上に苦戦しました。
そんな時に師匠にお会いして、つい泣き言を言ってしまったことがありました。
「とにかく辛抱してやっていれば大丈夫だよ、安心して自信持ってやりなさい。」
笑顔でこう答えてくださり、随分と心が軽くなったのをはっきり覚えています。

師匠は決して多くを語りませんが、治療を見ることでいろいろなことを学べます。鍼灸治療だけではなく、人として大切なこともたくさん教えてくださいます。
これからも機会のあるごとに学びを重ね、師匠のように普遍的な東洋医学に基づいた鍼灸治療の醍醐味を、優しさとともにより多くの方に体験してもらえるようになりたいと思いました。
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