宇都宮大、実験で解明 人と同様に思考の可能性
カラスの生態に関する研究を続けている宇都宮大農学部の杉田昭栄教授(動物形態学)らのグル-プが、餌を使った実験でカラスが数の大小を認識できることを解明したことが3日、分かった。同日までに動物行動学の国際誌に掲載された。杉田教授によると、カラスの数の認識力を解明したのは世界初で、「結果は意外だった。数について人間と同じような思考を持っている可能性がある」と指摘している。実験はハシブトカラス8羽で実施。縦2・5㍍、横2・㍍高さ51・9㍍のケ-ジ内に同じ容器を二つ用意し、ふたに同じ模様のマ-ク2個と5個を描いた。5個の方だけに餌を入れてふたを破って食べられるようにし、餌の取得率が70%を超えるまで訓練した。 この条件でマ-クについて①場所を一定にしない②異なる図形にする③総面積を均等にする-の3種類で20パタ-ンずつ実験。マ-クの形、面積、位置などで判断していないことを裏付けた。その後、マ-クの数を2~8個と変えても、1パタ-ン以外は平均約70%から90%の高確率で餌の入ったマ-クの数が多い容器を選択した。個々の取得率は最高82%、最低69%で個体差もあった。2003年から杉田教授と学生らが研究を重ねてきた。昨年はカラスが男女の顔を見分けられるとの研究結果を発表しており、杉田教授は「まだ見ぬ知能を引き出していきたい。いろいろなことができると思う」と話している。