丘から眼下に太平洋
霧深い緑の丘陵に茶色の斑 点のようなものが動く。エゾシ カだ。十数頭が群れ、走る。 草陰ではキタキツネが様子を うかがう。かつて肉牛が放牧された日高管内えり も町歌別の旧北海道襟裳肉牛牧場。広大な牧野 は今、採草地となっている。けげんそうな視線を送 る野生動物を横目に農道を十分ほど進むと、潮風がほおをなでた。桜 岡地区に抜ける斜面は太平洋が一望でき、見る人を圧倒する。襟裳 岬に至る百人浜の林は、明治期からの入植や開発で森林が大量に伐 採され、荒廃。海への土砂流出が進み、水産物の水揚げにも影響を 及ぼした。旧浦河営林署が地元住民と共同で緑化事業に着手。雑海 藻を堆肥にするなどの努力を続けた結果、クロマツを中心とする現在 の約192㌶の緑がある。浜を眼下に、丘陵地を歩く。ササやぶの一角 が丸く倒れている所はエゾジカの寝床だ。農道沿いにはコクワ、サクラ ンボなど大地の恵みが歩く人を迎える。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます