根に血行促進する作用
1年のうちで、地上に姿をとどめている期間が、春先のわずか4~5週間だけの植物たちのことを春の短命植物(スプリングエフェメラル)といいます。エゾエンゴサクはその代表選手の一つです。4月上旬に実にさまざまな形状をした勢いある芽出しが始まり、4月下旬にはあっと言う間に森の林床を鮮やかな青紫色に染め上げてしまいます。春の陽光を浴びたクルマバックバネソウの葉のそばで、高貴な青紫色の花を咲かせているのがエゾエンゴサクです。近寄って見つめると、植物たちの会話が聞こえそうです。目から飛び込んでくる感動も心を元気にするクスリです。漢方では、その塊茎(根)延胡策と呼ばれ、精気を巡らせ血液の流れを良くする理気、活血の作用があり、安中散、神効湯などの漢方薬に配合される生薬です。山菜としても知られていますが、地球レベルで植物たちが減り続けている現代。こんなに美しい植物を食べるだけのために摘み取るにはあまりに惜しいとおもいます。(堀田清・北海道医療大准教授)
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