特定健診・特定保健指導(畑俊一内科院長=札幌市中央区)
先日発売された週刊誌にメタポリック症候群(内臓脂肪症候群)の 厚生労働副大臣の涙ぐましいダイエット秘話が掲載されていました。 高校、大学を通じてラクビ-をしていた副大臣は70㌔の体重を保っ ていましたが、三十年後の現在、身長166㌢、体重84㌔、ウエスト 100・5㌢となっていました。厚労省は来年4月から特定健診・特定 保健指導を40歳から74歳までの被保険者を対象に行うことにしま した。これにより受診率の低い家庭の主婦や自営業者らの健診率 を上げ、メタポの該当者や予備軍に対する健診や保健指導で、予防 医療の充実を図り、医療費を削減することを狙いとしています。腹囲 が男性85㌢以上、女性90㌢以上で血中脂質、血圧、血糖のうち 二つ以上が異常を示すか、服薬しているものをメタポの該当者とし、 一つに該当するものを予備軍として人数を計算したところ、実に中高 年の男性二人に一人、女性五人に一人の約千九百六十万人と推計 されました。このうち治療が必要な服薬中の人などを除くと、実際には 約千四百万人が特定保健指導の対象となる見通しとされています。 厚労省には「生活習慣病対策室」が設置されており、厚労副大臣が 自らの取り組みを公表することによりメタポ退治を啓発する狙いもあり ます。有名洋菓子店のショ-ケ-スやシュ-クリ-ムなどのスイ-ツ に目がない副大臣はリバウンドを繰り返しながらも、五ヶ月間で体重 4・4㌔、ウエスト3・9㌢減に成功。厚労省のホ-ムペ-ジに取り上 げられ、国際英字紙「ヘラルド・トリビュ-ン」にも掲載されました。高 血圧の場合、健診の拾い上げが診断基準の140~90mmHgでは なく、130~85となっているのも心血管事故の発症予防に重点を置 いているためです。ただ、批判的な意見もあり、いくつかの研究では 体格指数(BMI)25以上のちょっと小太りの方の死亡率が一番低い という報告もあります。ウエスト径で厚労基準を満たしても脂質、血圧、 血糖が正常の方がたくさんいますし、逆にウエスト径が正常でも脂質、 血圧、血糖の危険因子を有する人も多くいます。内蔵脂肪の指標とな っているウエスト径が基準として大ざっぱという意見もあり、内蔵脂肪 チェックのためのコンピュ-タ-断層撮影装置(CT)も費用と被ばくで 問題があります。新しい生物学的指標の研究が期待されています。
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