科学技術振興機構 京都大に緊急支援 欧米との特許競争意識
文部科学省の研究費を配分する科学技術振興機構は三日、山中 伸弥京都大再生医科学研究所教授らが世界で初めてヒト皮膚細 胞から万能細胞を作製したことを受け、研究者の増員や研究スペ- スの拡大、特許取得などに数億円の緊急支援を行うことを決めた。 今年度の研究費は五千五百万円だったが、一気に数倍の規模とな る。論文発表から2週間足らずでの研究費追加は異例。山中教授ら が作製した人工多能性幹細胞(iPS細胞)は、身体の多様な細胞に 変わる能力があり、再生医療応用が期待されている。従来の万能細 胞である胚性幹細胞(ES細胞)が受精卵から作られるのに対して、 生命倫理問題が少なく、患者自身の細胞から作ることができ、実用 性が高い。山中教授らは、マウス段階では先行していたが、ヒト段階 では米大学チ-ムに追い付かれており、現状の研究規模では安全性 向上技術などの開発で欧米に抜かれ、先に特許を押さえられてしまう 恐れがあると訴えていた。科学機構はiPS細胞のシンポジウムも開き、 研究者の参入を促す。山中教授らの研究には、政府の総合科学技術 会議の議長を努める福田康夫首相や渡海紀三朗文科相も支援を表 明したが、作業部会を開いてから検討するため、時間がかかるとみら れていた。
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