寝室の明るさ気を配って
「春眠暁を覚えず」といいます。確かに春は冬の疲れが出るためか、 眠いようです。ところで、人は夜暗くなると眠り、朝明るくなると自然 と起きるのが普通です。このごく当たり前のことが起るしくみをご存 じでしょうか?動物は夜寝るものだとおつしゃるかもしれませんが、 動物はむしろ夜行性が多いくらいです。人の睡眠のリズムを決める 要因の一つに、メラトニンというホルモンがあります。メラトニンは大 脳と小脳の間の、松果体というとても小さな組織から分泌される、 催眠作用を持つホルモンです。催眠作用といっても睡眠薬のような 強力なものではなく、寝入りをスム-ズにするといった感じの作用 です。松果体には目の網膜からの情報が視床下部を経て入ってき ます。ですから、目に明るさを感じると、その情報か゛松果体に伝わ り、メラトニンの分泌が抑えられます。逆に暗くなると、松果体の抑 制が解除され、メラトニンの分泌が高まり、それによって眠気が差す というわけなのです。アメリカではメラトニンの催眠作用に注目して、 睡眠障害や時差ぼけの解消にメラトニンの服用が広く行われていま すが、副作用も少なくなく、日本では薬としての使用はまだ認められ ていません。そこで、睡眠のリズムを保つためには、寝室の明るさに 気を配るべきでしょう。夜は電気などつけずに暗い中で床につきます。 一方、朝の光で自然と目覚めるために、カ-テンは遮光性の高いも のは避けるべきでしょう。朝が弱い方、一度お試しあれ。 (とうせ・のりつぐ=札医大医学部部長)
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