゛まるかん人゛プラトーク

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においと味の不思議⑧<カニ味の正体>

2008-10-30 15:17:00 | 健康・病気

数種の物質混ぜ再現

20年ほど前にドイツに留学した際、フランス国境近くのホンブルグと                             いう街に滞在した。人口10万人に満たない街だったため、日本食を                              食べるのは至難の業だった。しかし、以前から留学していた日本人                             研究者から、ス-パ-でカニ風味かまぼこを売っているので手巻き                             ずしにするとおいしいと教えてもらった。ドイツで食べたカニ風味かま                             ぼこは、カニの身は入っていなくとも、確かにカニの味がした。水産食                            品の味は、幾つかの味物質を混ぜることで再現できる。鴻巣章二東                             京大学名誉教授らは、グリシン、アラニン、アルギニンおよびグルタミ                            ン酸(いずれもアミノ酸)、イノシン酸(核酸)、塩化ナトリウム、リン酸                             ニ水素カリウム(塩の一種)を混ぜることでカニの味が再現できること                              を示した。この時、各成分を混ぜる割合が重要で、適当にするとカニ                             とは似ても似つかない味になってしまう。ウニの味もアミノ酸、核酸と                             塩を一定の割合で、混ぜることで再現することができる。このとき分子                            内に硫黄を含むメチオニンというアミノ酸を入れることが、ウニ独特の                             風味を再現するのに重要だ。また、バリン(アミノ酸)もウニ特有の苦                             味に欠かせない。ホタテにはグリシン(同)が大量に含まれていて独                             特の強い甘味を引き起こしている。ただし、メチオニンあるいはグリシ                             ンをなめてみてもウニやホタテの味がするわけではない。あくまでも、                             何種類ものアミノ酸、核酸、塩がしかるべき割合で存在しといる中にあ                            ってこそ、その食材ならではの味が特徴付けられているのだ。                                (柏柳 誠=旭川医大医学教授)

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