「絞りすぎ」は禁物
女子マラソンの高橋尚子選手がオリンピック代表選考レ-スで敗れ、 残念ながら北京行きを逃してしまいました。ひざの手術の影響もあっ たようですが、スタ-ト後に体が思うように動かなかったようです。 レ-ス後のインタビュ-を見て、思いのほか元気な様子で安心しま した。高橋選手はレ-ス中、不調になりトイレに駆け込んだようです。 急な便意は副交換神経が緊張しているために起ります。おそらく、 副交感神経の緊張による軽いショック状態となっていた、と推測でき ます。ショック状態とは、血圧が下がって血液循環が悪くなることで す。これでは、体が思うように動くわけはありません。私はスポ-ツ 医学が専門ではありませんが、レ-ス前の高橋選手の様子を見ると、 少し体を絞りすぎているように見えました。極端に脂肪がにく、長距 離を走り抜くだけのエネルギ-の蓄積がなかったのではないでしょう か。けがを乗り越えてのレ-スは、いや応なしに緊張します。緊張は 交感神経を働かせますが、交感神経はエネルギ-の消費を高めます。 そのため、スタ-ト後の早いうちに少ないエネルギ-蓄積を使い果たし、 血糖が下がってしまったのでしょうか。血糖が下がると、はじめは交 感神経が緊張しますが、そのうち脳の働きが弱くなり、ショック状態に なるのです。日本の女子マラソン選手は体を絞りきった人が多いよう ですが、エネルギ-切れになりやすいのでは、と心配しています。体 重が軽いとスピ-ドが出るのかもしれませんが、やせすぎは禁物だ と思います。(とうせ・のりつぐ=札医大医学部長)
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