遺伝やストレスも関係=當瀬規嗣解説
「共白髪」という言葉があります。そろって長寿を迎えた夫婦に対す る、一種、尊敬の念を込めた言葉です。ここでは、白髪は年を重ねた ことの象徴として使われています。こんな大げさなことをいわなくても、 年をとると白髪が増えると誰もが信じています。ところで、どうして白 髪は増えるのでしょうか。それは、毛髪の色を決める色素を作る細 胞が失われたまま、髪が作られ伸びてしまうためです。では、どうし て色素を作る細胞が失われるかというと、実はよくわかっていません。 色素を作ることに関係する遺伝子の存在はわかっています。でも、そ の遺伝子がなぜ働かなくなるのか、原因がわかっていないからです。 それは、老化のためだ、というのが通常の理解ですが、そう簡単では ありません。例えば、若白髪とか遺伝的に生まれたときから白い髪の 人もいます。白色人種の赤ちゃんは生まれた時は髪は白く、その後し だいに茶や金髪に着色してゆきます。強い精神的ダメ-ジのためにい っぺんに白髪になることも報告されています。そう考えると、白髪は老 化現象である、とは言い切れません。あえていえば、年を重ねると、 髪の毛の色素が抜けやすくなるということなのです。白髪を老化の象 徴と考えるのは違うような気がします。若々しく活動している人もよくい ます。ロマンスグレ-なんて言葉もありますよね。「白髪、すてきだな あ」と、髪の毛の数の減少に危機を感じている私は、単純に考えてい ます。(とうせ・のりつぐ=札医大医学部長)
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