パン教室「カフェ・タプリエ」主宰 森本 まどか 自家製酵母 果実で「育てる」
自分で起こすパン酵母は「作る」というより、「育 てる」と言った方が適切です。酵母は私たちが暮 らす空気中に存在しています。発酵力を強める 作業が「酵母起こし」。増殖させる“土台”を培地 と呼び、酵母のエサとなる糖分が豊富な、果実やドライフル-を使 うと手軽です。清潔なびんの中につぶした果実と水、はちみつなどを 入れ密閉します。27度前後の場所に置くと約3日で発酵が始まり、 炭酸ガスが出始めます。ふたを開け、炭酸ガスがビ-ルの泡のよう にあふれたら発酵はピ-ク。できあがった液種を小麦に移し、さらに 発酵力を高めます。3、4回、小麦と水を足して元種を仕上げます。 完成まで長ければ10日間を要します。自家製酵母は「複合酵母」と 呼ばれ、乳酸菌や酢酸筋などと一緒に活動するため、おいしいパン に欠かせない複雑で深い香りと味わいを生み出します。ただ、純粋 培養されるイ-スト(単一酵母)と違い、温度変化に弱く雑菌も繁殖し やすいので、大量生産には向いていません。それだけに、作り手の 思いが伝わる個性的なパンが焼けます。育てる人と場所で変わる酵 母の味わいは、パンの大きな魅力です。
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