眼科や皮膚科など網羅 学会策定 ステロイド使用法提示 一般向け原因別症状や対処法も
アレルギー疾患診断・治療ガイドライン 2007 価格:¥ 4,200(税込) 発売日:2007-11-26 |
日本アレルギ-学会は、アレルギ-疾患に関する初の「診断・治療 ガイドライン」を策定した。アレルギ-疾患は眼科、呼吸器科、皮膚 科、耳鼻咽喉科、小児科などさまざまな科で診察されるものの、治 療は各科ばらばらで、専門医も少ないのが実情だった。これまで悪 役にされてきたステロイド剤が小児も含め標準治療に位置づけられ た。(荻野貴生)
アレルギ-疾患は、ぜんそく、鼻炎、結膜炎、ア トピ-性皮膚炎、食物アレルギ-などさまざま。 海外ではアレルギ-科として鼻や目、皮膚など の共通治療方針が決められているが、日本には なかった。このため各診療科の専門家が集まり、 2年がかりでガイドラインを策定した。皮膚科では 主にアトピ-性皮膚炎が取り上げられた。重症 度評価の基準を定め、ステロイド剤の使用を薬物療法の基本とし、 外用薬と内服薬ごとに、年齢と症状でどのレペル(強さ) の薬を 使用すべきかを示した。これは1980年代以降、一部でステロイド剤 の副作用が必要以上に強調された結果、過度な食事制限や不適切 な民間療法が行われ、子供に身長が伸びないなどの成長阻害が起 きたことを反省したものだ。北大病院皮膚科の阿部理一郎講師は「ス テロイド軟こうは不適切な使用をすると皮膚が薄くなったり、ニキビな どの副作用を生じるが、皮膚科専門医の指示に従えば、病気をコント ロ-ルできる。悩んでいる時は迷わずに皮膚科医に相談してほしい」 と話す。軽症のぜんそくでもステロイド剤の使用が標準治療となり、 二種類の新薬が標準治療薬に加えられた。札幌医大第三内科の田 中裕士准教授は「ぜんそく患者の半数以上はアレルギ-性鼻炎を持 っている。ぜんそくが治った後で鼻炎になる人もおり、他の診療科で どんな薬を処方するかを理解していないときちんとした治療はできな い。今回のガイドラインは専門外の医師にとっても有用なもの」と指 摘する。また、今回のガイドラインではチリダニなどどんな抗原(アレ ルゲン)が、どのアレルギ-疾患を起こすかを掲載。花粉が原因抗 原の場合、どの地域でいつ飛散するか、どのような予防策がある か-など一般向けにも優しく書かれている。例えばアレルギ-性結 膜疾患の対処法は、吸い込み仕事率二百ワット以上の電気掃除機 で一平方メ-トル当たり20秒以上かけるとか、寝具の手入れ法な どについても具体的に記している。ガイドラインの策定に当たった北 大病院眼科の大野重昭教授は「一人で複数の病気を持っている人が 増え、重症化とともに低年齢化も進んでいる。一方、医師はこれまで 各科それぞれで治療に当たってきた。予防法や薬など一般の人が見 ても分かりやすいので、ぜひ読んでほしい」と話している。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます