文明築き“オマケ”獲得=當瀬規嗣解説
ヒトはいくつまで生きられるのでしょうか?現代の最新の科学でも、 まだ解明されていません。実際に長生きをした世界長寿記録は122 歳余りですので、120歳あたりが寿命かもしれません。この場合の 寿命は、病気やけがなどで命を落とさなかったとしたら、どれだけ生 きられるのかという考え方です。でも、実際はほとんどのヒトが病気や けがなどで人生を終えるのですから、ヒトは平均的にどのくらい生きら れるのかという考え方と寿命とは異なるものですね。ところで、他の動 物の寿命をみると、あることに気づきます。それは、ほとんどの動物が 生殖能力を失うと、まもなく寿命を迎えるということです。例えば、昆虫 は卵を産むと、その数日後には死んでしまいます。病気ではなく、み んなコロッと死んでしまうので、まさしく寿命といえるみのです。産卵 を終えたサケは「ホッチャレ」なんて言われ、すっかりぼろぼろの体に なって絶命します。犬や猫などでも似たようなもので、生殖能力を失う と数年で死んでしまいます。では、ヒトはどうでしょうか?昔のヒトはや はり生殖能力が失われるころに死んでしまうことが多かったようで、「人 間50年-」なんて歌われていたりしました。しかし、今は違います。生 殖能力がなくなって、健やかで充実した人生が20年~30年は続くの です。これはどうもヒトが豊かな文明を築いた結果として獲得したようで す。「あと何年生きる」なんて考えるよりも、せつかくのオマケの人生、 楽しまない手はありませんよ。(とうせ・のりつぐ=札医大医学部長)
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